最大6倍にもなる?空き家にかかる固定資産税の問題

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こんにちは!
「不動産投資のススメ」の管理人、松崎 サブローです!

本日は、空き家にかかる固定資産税について解説します。
元々、空き家を解体すると固定資産税が増額することから、空き家を解体せずに放置する人が増えてしまっていることが大きな問題でした。
そこで、今度は一定の条件を満たした空き家(「特定空家等」)に対しては、固定資産税が多くかかるような法律(空家対策特別措置法)が施行されました。これによれば、「特定空家等」に指定された空家は、最大で固定資産税が現在の6倍もかかってしまうことになったのです。。。!


ススメ先生、本日は空き家にかかる固定資産税について教えてほしいです!


サブロー君、空き家にかかる固定資産税を学ぶうえで外せないのが、空家対策特別措置法じゃ。この法律が定められたことにより、固定資産税が最大で6倍もかかる可能性があるのじゃ。今回は空き家と固定資産税の関係と、空家対策特別措置法によって固定資産税の考え方がどう変わるのか、まとめて解説するぞ。


6倍…!必ず学んでおく必要がありそうですね。よろしくお願いします!



空き家と固定資産税は複雑な問題を抱えています。現在空き家を所有している方は、このあたりの知識をしっかり整理しておかないと、知らぬ間に固定資産税が増えてしまうということになりかねません。

この記事では、空き家と固定資産税の問題について、基礎から徹底的に解説していきます。これを読めば、空き家と固定資産税の問題をすっきり理解し、自分の空き家をどうすれば良いのかが見えるようになるでしょう。

固定資産税が実際に何倍に戻るかについてですが、一般的に6倍と表現されることが多くため、本記事でも6倍で統一しています。
ただし、実際は最大4.2倍(6倍×70%)と考えた方が正確です。 ※70%は負担調整設置

1.固定資産税と空き家の関係は?

「固定資産税」と「空き家」にはどのような関係があるのでしょうか。
簡単に言うと、固定資産税の優遇措置が空き家を増加させる一因になっています。以下、詳しく解説していきます。

1-1.土地や建物には固定資産税がかかる

固定資産税とは、毎年1月1日に土地や家屋といった固定資産の所有者に対し市町村が課する税金(地方税)です。土地や建物といった不動産を所有している場合、必ず固定資産税を支払わなければいけません。

固定資産税がいくらになるかは、以下のように計算されます。

固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%

土地と建物それぞれについて、上記計算式で固定資産税額を算出します。

○「固定資産税評価額」とは?

上の計算式をみて、「『固定資産税評価額』って何?」と思われた方もいるかもしれません。

固定資産税評価額とは、固定資産税や都市計画税、不動産取得税、登録免許税を計算するために使う評価額のことです。
固定資産税評価額の具体的な価格は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて各市町村が決定します。そして、原則として3年ごとに見直されています。

土地と建物それぞれの固定資産税評価額は、大雑把に以下の計算で見当をつけることができます。

・土地の固定資産税評価額=土地の時価×70%
・建物の固定資産税評価額=建物建築費×50~70%

自分の所有する不動産の固定資産税評価額がいくらかを正確に知りたい方は、固定資産税評価額の計算方法|土地は?建物は?で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

1-2.土地の上に建物があると固定資産税が優遇される

土地の固定資産税額の計算に関して、その土地が住宅用地である場合(土地の上に住宅が建っている場合)、以下のような特例措置が設けられています。

  <特例措置の内容>
小規模住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/6になる
一般住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/3になる

「小規模住宅用地」とは、住宅一戸あたりにおける200㎡以下の部分のことです。
「一般住宅用地」とは、住宅一戸あたり200㎡を超え、家屋の床面積の10倍までの部分のことです。
イメージが掴みにくいと思いますので例を挙げると、300㎡の土地に居住用の家屋が建っている場合、200㎡までの部分に関しては固定資産税評価額が1/6、残りの100㎡に関しては固定資産税評価額が1/3になります。

1-3.優遇措置が空き家増加の一因に…

実は、上で紹介した固定資産税の優遇措置が、空き家増加の一因になっていると言われています。上記の優遇措置の恩恵を受けるため、空き家を放置してしまう管理者が多いのです。

空き家を解体しようとすると、解体費用がかかります。加えて、空き家を解体してしまうと、「住宅用地」ではなくなってしまうので、上記優遇措置は受けられません。すると、「土地+空き家」の場合に比べて「土地のみ」になった場合の方が、固定資産税が高くなってしまう(最大6倍)ことがありうるのです。

すると、「解体してお金がかかるくらいなら、空き家のまま放置しておこう」となってしまい、結果空き家が増加してしまうのです。本来は土地が「住宅用地」でなくなったら申告をする必要があるのですが、空き家として放置されてしまってもそのまま優遇措置の適用となってしまうのです。

○シミュレーション

「土地+空き家」の場合と「土地のみ」の場合で固定資産税にどれくらいの差が出るものなのか、シミュレーションしてみましょう。ここでは話を単純にするため、先ほど紹介した基準を用いて計算します。

・土地の固定資産税評価額=土地の時価×70%
・建物の固定資産税評価額=建物建築費×50~70%(今回は「70%」とします)

土地の面積が300㎡、時価が6,000万円(1㎡あたり20万円)、家の建築費を2,000万円とします。

(1)「土地+空き家」の場合
「土地+空き家」の固定資産税額は、以下の通りになります。

土地の固定資産税額 ①200㎡までの部分の固定資産税評価額
(20万円×200㎡)×70%×1/6=233万円(小数点以下切り捨て)
②残りの部分の固定資産税評価額
(20万円×100㎡)×70%×1/3=466万円(小数点以下切り捨て)
③固定資産税額
(233万円+466万円)×1.4%=9万7,860円
建物の固定資産税額 2,000万円×70%×1.4%=19万6,000円
合計 9万7,860円+19万6,000円=29万3,860円

(2)「土地のみ」の場合
「土地のみ」の固定資産税額は、以下の通りになります。

6,000万円×70%×1.4%=58.8万円

このように、「土地+空き家」の場合より「土地のみ」の場合の方が、固定資産税が高くなってしまうのです。空き家を解体して更地にした場合、(2)に解体費が加わりますので、この差はより広がります。

2.「空家等対策の推進に関する特別措置法」で固定資産税が6倍になる!?

空き家が増えてしまうと、

・近所迷惑(景観の悪化、倒壊の危険、害虫・害獣の温床など)
・治安の悪化(不法侵入、不法占拠、放火など)
・機会損失(土地が有効活用できない)

などの悪影響が生じる可能性があります。

空き家問題については、空き家問題|深刻すぎる原因と対策を徹底解説します!の記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

そこで、国は2015年、「空家等対策の推進に関する特別措置法」を施行しました。この法律により、放置された空き家に通常の6倍もの固定資産税が課せられる可能性が発生しました。

以下、「空家等対策の推進に関する特別措置法」につき詳しくみていきます。

2-1.「空家等対策の推進に関する特別措置法」とは?

「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家対策特別措置法)は、2015年に施工された空き家対策を進めるための法律です。
参考:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

空き家対策特別措置法では、空き家の中でも特に危険な空き家を「特定空家等」として指定し、国が「措置の実施のための立入調査」や「指導→勧告→命令→代執行の措置」を採れるようにしています。

具体的には、国は「特定空家等」に対して「除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令」をすることができます。所有者がそれに従わない場合は「要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行」をすることも可能です。また、先述した土地の固定資産税に対する特例措置を外すこともできます。すると、所有者にかかる固定資産税の負担が最大6倍まで増えてしまうことになります。

2-2.「特定空家等」とは?

では、「特定空家等」とは、どんな空き家のことを指すのでしょうか。

まず前提として、この法律における空き家(法文の言葉では「空家等」)とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」とされています。

そして、その中でも「特定空家等」に指定されるのは、以下の条件を満たすものです。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより
  著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために
  放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

○空き家を持っていると必ず固定資産税が6倍になるわけではない!

固定資産税が6倍になってしまう可能性があるのは、あくまで「特定空家等」に指定されてしまった場合であって、空き家を持っていれば必ず固定資産税が6倍になるわけではありません。

2-3.「特定空家等」に指定されてしまった場合の対処法

あなたがもし空き家を所有している場合、自分の空き家が「特定空家等」に指定されてしまったらどうしようかと心配になりますよね。

ここからは、万が一「特定空家等」に指定されてしまった場合の対処法について解説していきます。

2-3-1.行政から助言、指導があれば速やかに対応する

もしあなたの所有する空き家の管理状態が悪くても、それでいきなり固定資産税の優遇措置を外して固定資産税6倍、ということは考えにくいです。自治体は、管理状態の悪い空き家を見つけたら、まずは適正な管理をするよう所有者に助言、指導を行います。よって、自分の所有する空き家が「特定空家等」に指定されないためには、行政から空き家の管理について助言、指導があった場合、速やかに対応することが大切です。

ちなにみ、行政から「勧告」を受けてしまった場合、次の年の1月1日から固定資産税が6倍になります。よって、勧告を受ける前の助言、指導の段階でしっかり対応することが重要なのです。ここでしっかり対応して改善が認められれば、「特定空家等」指定から外れることができます。

○遠方に住んでいてすぐ対応ができない場合はどうする?

所有している空き家の遠方に住んでいる場合、速やかに対応することが難しい場合もあるでしょう。住んでいるところと空き家が遠ければ、適切な管理をすることも難しいです。
そういった場合、適切な管理を代行してくれるサービスを利用してみましょう。

NPO法人 空家・空地管理センター
大東建託パートナーズ株式会社
日本空き家サポート

2-3-2.管理しきれなければ解体する方法もある

空き家を管理しきれない場合、その空き家を解体してしまうという方法があります。

ただ、解体費用は木造でも1坪あたり2~3万円と言われます。これはもう使うことがない家に対して支払う費用としては大きいと言えるでしょう。

そこで、自治体による空き家の解体費用補助を利用してみましょう。多くの自治体で、空き家の解体費用を補助するサービスが行われています。この制度が利用できれば、だいたい30万円~100万円ほどの補助を受けられるようです。自分の所有している空き家のある地域の自治体で解体費用補助が行われていないか、ホームページをチェックしてみましょう。

○解体後の固定資産税は?

空き家を解体しても、その後固定資産税が上がってしまうという問題がありますよね。
この点に関して、空き家にかかる固定資産税が土地にかかる固定資産税の3.2倍以上であれば、解体しても固定資産税はあがりません。よって、空き家の固定資産税と土地の固定資産税をそれぞれ比較して、上記の条件を満たしている場合は空き家の解体をおすすめします。

なお、空き家解体後に固定資産税が上がってしまうとおう場合、次の「譲渡する」という方法も検討してみてください。

2-3-3.管理しきれなければ譲渡する方法もある

適切な管理が難しい場合、空き家やその土地を譲渡してしまう方法もあります。

土地や建物を他人に譲渡して利益を得た場合(売って売却益を得た場合など)、その利益には税金が課せられます。その税金について、平成28年税制改正大綱において、以下の条件を満たす空家に関しては、その家屋や土地を譲渡した際の所得(譲渡したことで得られる利益)の3,000万円特別控除を適用することができることとされました。

○前提条件

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったもの
・平成 28 年4月1日から平成 31 年 12 月 31 日までの間に譲渡をしているもの
・相続開始の日から3年を経過する日属する年の12月31日までに譲渡しているもの
・譲渡の対価の額が1億円を以下のもの

加えて、「家屋又は家屋と土地を売る場合」と「家屋を解体した後の土地を売る場合」でそれぞれ以下の条件が加わります。

①家屋又は家屋と土地を売る場合

・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・譲渡時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること

②家屋を解体した後の土地を売る場合

・相続時から解体時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと

3.まとめ

空き家と固定資産税について書いてきましたがいかがでしたか?
最後にこの記事の内容を簡単にまとめると、以下のようになります。

⇒そこで、空家対策特別措置法を設置し、「特定空家等」の固定資産税優遇措置を解除します。
その結果、持ち主目線になると、空き家(土地、建物)にかかる固定資産税が6倍になってしまう可能性があるのです。

対策方法は下記です。
①空き家を適切に管理し、「特定空家等」から除外してもらう
②空き家を解体する(解体費用補助制度を利用)
③空き家を譲渡する(3,000万円特別控除を利用)

この記事が、空き家を所有していて固定資産税の問題について気になっている全ての方の参考になれば幸いです。

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