空き家対策特別措置法についての情報を網羅的にまとめました。

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こんにちは!
「不動産投資のススメ」の管理人、松崎 サブローです!

近年、空き家が増加して問題になっています。これを受けて、2015年に施行されたのが空き家対策特別措置法(正式名称「空家等対策の推進に関する特別措置法」)です。

さて、この空き家対策特別措置法ですが、空き家の所有者にとっては重要な法律です。なぜなら、空き家を放置しておくと行政から助言や指導がなされ、それに従わないと固定資産税が6倍にも跳ね上がり、さらには罰金を支払わなければいけなくなる可能性があるからです。

こうならないためにも、空き家を持っている方はこの法律の内容をしっかり理解し、それを機会に空き家をどうしていくのか真剣に考えていく必要があるでしょう。

そこでこの記事では、空き家対策特別措置法の内容や、行政に対する対応の仕方、使っていない空き家をどうすべきかなどについて、解説します。この記事を読めば、あなたも空き家対策特別措置法の内容をしっかり理解し、自分の空き家をどうすべきかの方針を見つけることができるでしょう。ぜひ参考にしてくださいね。

1.空き家対策特別措置法とは?

空き家対策特別措置法は、近年空き家が増加している問題に対応するための法律です。正式名称は「空家等対策の推進に関する特別措置法」で、2015年に施行されました。

参考:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

空き家の中でも特に危険な空き家を「特定空家等」として指定し、国が「措置の実施のための立ち入り調査」や「助言・指導→勧告→命令→代執行」といった行政措置を執れるようにしました。

2.空き家対策特別措置法の目的(空き家問題の現状)

ところで、なぜ空き家対策特別措置法なるものが制定されたのでしょうか。
それは、近年空き家が増え続けて問題になっているからです。下の資料をご覧ください。

出典:総務省統計局 平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約

上のグラフは空き家数及び空き家率の推移ですが、どちらの数値も上昇していることがわかります。平成25年の時点で、空き家数はなんと820万戸もの数にのぼり、空き家率も13.5%となっています。

「空き家問題」というと地方の問題であるイメージを持っている方も少なくないでしょう。ところが、実は空き家問題は都市部でも問題になっています。下の表をご覧下さい。

出典:平成25年住宅・土地統計調査(確報集計結果)-総務省統計局

上の表をみると、比率だと地方の方が高いですが、純粋に数だけを見るとむしろ都市部の方に空き家が多く存在していることがわかります。
空き家問題は、都市部に住む人々にとっても、他人事ではないのです。

以上のような状況を受けて、空き家対策特別措置法が施行されました。

空き家問題の状況やその対策としてどんなことがされているかについては、空き家問題|深刻すぎる原因と対策を徹底解説します!で詳しく解説しています。気になる方はそちらも読んでみてください。

3.空き家対策特別措置法の具体的内容

ここからは、空き家対策特別措置法の具体的内容についてみていきます。

3-1.「特定空家等」とは?

では、上でご紹介した「特定空家等」とは、どのような空き家のことをいうのでしょうか。

まず前提として、この法律における空き家(法文の言葉では「空家等」)とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」とされています。

そして、その中でも「特定空家等」に指定されるのは、以下の条件を満たすものです。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより
  著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために
  放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

3-2.国による対応の流れ

「特定空家等」の疑いをかけられた物件に対しては、以下のような流れで対応がとられます。

なお、「空き家の調査」の段階で、空き家の所有者に対して行政の方から書面の郵送、対面、電話のいずれかの手段で連絡がきます。ここで空き家の現状や今後の対応などについて説明があります。こちらから今後空き家をそうするべきかについて相談することもできます。

「特定空家等」に指定されると、以下のような対応がとられます。

3-2-1.助言・指導

まず、行政から空き家の適正な管理に関する何かしらの助言があります。例えば、庭の草木が伸びている状態の場合、「除草作業を行って下さい」といった内容の助言がされます。この助言に対して、法的拘束力(従わなければ法律でペナルティがあるといったこと)はありません。ただ、ここでしっかり対応しておくことが非常に重要です

助言の内容については、主に郵送で伝えられます。書面には、以下の内容が示されています。

・ 当該助言又は指導の内容及びその事由
・ 当該助言又は指導の責任者

出典:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

空き家の所有者が助言に従わない場合や状態が悪く直ちに改善が必要な場合、行政から指導を受ける場合があります。指導は助言よりも行政指導として重い処分になります。

3-2-2.勧告

空き家の所有者が指導に応じない場合や空き家の状態に改善が見られない場合、行政から勧告を受けます。

「特定空家等」に指定された後に勧告を受けてしまうと、管理状況が改善されるまで「固定資産税の優遇措置」が適用されず、最悪の場合通常の6倍もの固定資産税を支払うことになってしまいます。

○「固定資産税の優遇措置」とは?

土地や建物を所有していると、そこに固定資産税という税金が課せられます。固定資産税の計算において、以下のような特例措置が設けられています。

<特例措置の内容>
小規模住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/6になる
一般住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/3になる

つまり、土地の上に家が建っている場合、固定資産税が安くなるという措置です。これは、空き家の場合も同じです。
もし勧告を受けてしまうと、この措置が受けられなくなり、多額の固定資産税を支払わなければいけなくなるのです。

勧告の内容は、郵送または直接手交による書面で知らされます。書面には、おおむね以下の様な内容が示されています。

〇勧告の書面の内容

・当該勧告に係る措置の内容及びその事由
・当該勧告の責任者
・勧告に係る措置を実施した場合は、遅滞なく当該勧告の責任者に報告すべきであること
・正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合、市町村長は命令を行う可能性があること
・地方税法の規定に基づき、当該特定空家等に係る敷地について固定資産税等のいわゆる住宅地特例の対象から除外されること

参考:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

勧告を受けた所有者が状況を改善に取り掛かるまで「相当の猶予期間」が与えられます。おおむね物件を整理するための期間や必要な工事の施工に要する期間を合計したくらいの期間が与えられます。工事改善が認められれば「特定空家等」の指定は解除されますので、もし勧告を受けた場合は速やかに対応しましょう

〇勧告の書面はしっかりチェック!

勧告の書面は、空き家の所有者に到達することによって効力が生じてしまいます。つまり、「そこに届ければ空き家所有者が書面の内容を確認しうるだろう」と認められる場所に送達されれば、実際空き家所有者がその書面を受領したかに関わらず効力が発生してしまいます。
行政からそれらしき書面が届いた場合は、直ちに確認するようにしましょう。

3-2-3.命令

空き家の所有者が勧告を受けても応じない場合、行政から改善の命令を受けます。
命令はこれまでの助言、指導、勧告よりも処分として重いです。命令は「行政処分」にあたり、空き家対策特別措置法では命令に背いた場合50万円以下の罰金に処せられます。

第十六条  第十四条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。
2  第九条第二項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の過料に処する。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

命令の内容は書面で伝えられます。書面には、以下の内容が記載されます。

〇命令の書面の内容

・命じようとする措置の内容及びその事由
・意見書の提出先
・意見書の提出期間

出典:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

もし命令の通知を受けてしまった場合、空き家所有者は以下の対応をとることができます。

〇命令の通知を受けた場合の対応

・その交付を受けた日から5日以内に、市町村長に対し公開による意見の聴取の請求
・定められた期間内に、意見書(今回の命令に対して意見を述べることができます)の提出
・市町村長に対する異議申し立て
(※意見書や異議申し立てを行う場合、一度専門家に相談に行くようにしましょう。)

命令を受けても空き家の状況が改善されない場合や、意見書などを検討してもなお空き家の状況は改善すべきと判断された場合、次の代執行に移ります。

3-2-4.代執行

代執行は、行政が空き家の所有者に代わって樹木の伐採や建物の解体などを行うことです。

代執行がなされる場合、あらかじめ書面による戒告がなされます。書面には、以下の内容が記載されます。

〇行政代執行戒告の書面の内容

・相当の履行期限を定め、
・その期限までに義務の履行がなされないときは、代執行をなすべき旨

出典:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

戒告に対して空き家所有者の反応がない場合、再戒告がなされます。空き家所有者が再戒告を受けても指定の期間までに義務を履行しない場合、代執行令書で以下の内容が通知されます。

〇代執行令書

・代執行をなすべき時期
・代執行のために派遣する執行責任者の氏名
・代執行に要する費用の概算による見積書

出典:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)

代執行令書に記載された時期が来たら、代執行がなされます。代執行をするのにかかった費用については、空き家所有者の負担になります

3-3.補助金について

空き家対策特別措置法が定められたことで、自治体による空き家の解体費用の補助金が出るようになりました。

空き家対策特別措置法では、「市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付制度の拡充を行う」と定められました。

この規定を後ろ盾にして、自治体は条例により空き家対策を進めています。具体的には、損傷・老朽化が激しい住宅については除却(解体)の費用を補助したり、それによって住居に困る住民がいれば自治体が住宅を用意したりといった取り組みが行われています。
都道府県ごとの空き家対策条例は、NPO法人 空家・空地管理センター 空き家条例一覧にまとめられていますので、参考にしてみてください。

実は、自治体による空き家対策は以前から行われていました。ただ、空き家も個人財産ですので、公権力が介入することには高いハードルがありました。
空き家対策特別措置法が定められたことで、自治体が空き家対策の取り組みを行いやすくなったのです。

3-4.今後の問題点について

空き家対策特別措置法により、空き家の所有者は何かしらの対応を取らざるをえなくなります。この時、空き家の所有者がはっきりしていれば問題ありません。ただ、空き家の所有関係が複雑になっていた場合は、対処が困難になってしまいます。

例えば、空き家に相続が発生している場合や、空き家が共有状態である場合などに問題となります。こういった場合、法律の専門家に相談するようにしましょう。

4.空き家を持っている人がすべきこと

もし自分の所有する空き家が「特定空家等」に指定されてしまったら、どうすれば良いのでしょうか。

まず大切なことは、助言や指導を受けた時点でしっかり対応するということです。先程も説明した通り、勧告を受けてしまうと固定資産税の優遇が外され、通常の6倍もの固定資産税を支払わなくてはならなくなります。これを避けるためにも、助言や指導を受けた時点でしっかり対処することが必要なのです。

もし今所有している空き家を何かに活用したいという場合、こんな活用方法もあるの?空き家を上手に活用する方法まとめで様々な活用方法を紹介していますので、参考にしてみてください。

もし今所有している空き家が、将来的に活用することのない空き家である場合、解体してしまったり、誰かに譲渡してしまったりすることも考えられます。ここからは、空き家の解体や譲渡について、詳しくみていきます。

4-1.解体

空き家を管理しきれない場合、その空き家を解体してしまうという方法があります。

ただ、解体費用は木造でも1坪あたり2~3万円と言われます。これはもう使うことがない家に対して支払う費用としては大きいと言えるでしょう。

そこで、自治体による空き家の解体費用補助を利用してみましょう。多くの自治体で、空き家の解体費用を補助するサービスが行われています。この制度が利用できれば、だいたい30万円~100万円ほどの補助を受けられるようです。自分の所有している空き家のある地域の自治体で解体費用補助が行われていないか、ホームページをチェックしてみましょう。

○解体後の固定資産税は?

空き家を解体しても、その後固定資産税が上がってしまうという問題がありますよね。
この点に関して、空き家にかかる固定資産税が土地にかかる固定資産税の3.2倍以上であれば、解体しても固定資産税はあがりません。よって、空き家の固定資産税と土地の固定資産税をそれぞれ比較して、上記の条件を満たしている場合は空き家の解体をおすすめします。

なお、空き家解体後に固定資産税が上がってしまうとおう場合、次の「譲渡する」という方法も検討してみてください。

解体後の土地については、売る、別の方法で活用する、といった選択肢があります。それぞれについて、以下の記事を参考にしてみてください。

〇売る場合
土地の売買をしたい方は必見!手順と費用を徹底解説します!

〇活用する場合
【目的別にご紹介】土地を有効活用するための全方法

4-2.譲渡

適切な管理が難しい場合、空き家やその土地を譲渡してしまう方法もあります。

土地や建物を他人に譲渡して利益を得た場合(売って売却益を得た場合など)、その利益には税金が課せられます。その税金について、平成28年税制改正大綱において、以下の条件を満たす空家に関しては、その家屋や土地を譲渡した際の所得(譲渡したことで得られる利益)の3,000万円特別控除を適用することができることとされました。

○前提条件

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったもの
・平成 28 年4月1日から平成 31 年 12 月 31 日までの間に譲渡をしているもの
・相続開始の日から3年を経過する日属する年の12月31日までに譲渡しているもの
・譲渡の対価の額が1億円を以下のもの

加えて、「家屋又は家屋と土地を売る場合」と「家屋を解体した後の土地を売る場合」でそれぞれ以下の条件が加わります。

①家屋又は家屋と土地を売る場合

・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・譲渡時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること

②家屋を解体した後の土地を売る場合

・相続時から解体時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと

不動産の売却については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
【保存版】家を売却する時に知っておきたい全知識
マンションの売却方法の買取とは?仲介との違いは?メリットは?
土地の売買をしたい方は必見!手順と費用を徹底解説します!

5.まとめ

空き家対策特別措置法についてみてきましたがいかがでしたか。
最後に、「特定空家等」に指定される条件についておさらいしておきます。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより
  著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために
  放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

空き家をお持ちの方は、自分の空き家がこれに該当しないか今一度確認してみてください。
この記事が、空き家を所有するすべての方の参考になれば幸いです。

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