住んでいる物件から、夜逃げをしたいと考える人もいるでしょう。
しかし、夜逃げをしても成功するとは限りません。
なかには、夜逃げに失敗する人もいます。
仮に、一人で夜逃げをして成功した場合でも、夜逃げ後の生活は悲惨になる場合が多いです。
そのため、夜逃げ前よりも生活の状況が苦しくなることは、覚悟した方が良いでしょう。
とは言っても、夜逃げ後にどんな生活が待っているかなんて、予想できませんよね。
そこで今回は、夜逃げする人の理由を探りながら、夜逃げ後に悲惨な生活を送る羽目になる理由、また、夜逃げをしなくても現状の問題を解決する方法も紹介します。
目次
1.夜逃げをする原因(夜逃げ自体は減っていることも解説)
夜逃げをする人は減っているものの、それでも夜逃げをする人はいます。はじめに、夜逃げをする原因を見てみましょう。
1-1.経済的困窮
お金に困っている人を指します。生活費が少なかったり、借金苦で普段の生活が送れなかったりする人たちのことです。最近は、非正規雇用の増加や平均年収の低下、物価の上昇などによって、経済的困窮者は増えているのが現状です。
なかには、夜逃げをした挙句に自殺をする人もいます。
1-2.会社の倒産
会社の倒産で失業をしたことが原因で、夜逃げをする人もいます。生活を送れるお金が手元にあれば、失業後も夜逃げをするこ確率は低いでしょう。しかし貯金が尽きて、家賃が払えない状況になると、夜逃げをしたくなるのです。
現代は大手企業でも倒産することがあるため、他人事として捉えない方が良いでしょう。
1-3.精神的な苦痛
手元にお金はあるものの、精神的な苦痛を起こして夜逃げをする場合もあります。たとえば、このような形です。
- 隣人トラブルに巻き込まれた
- 自宅に住むのが怖くなった
- 精神疾患の発症
上記のことが理由で、夜逃げする人も0ではありません。お金持ちでも、夜逃げをするケースはあります。そのため入居者が富裕層でも、賃貸オーナーの中には気に留める人もいます。
2.夜逃げをして捕まる人もいれば、捕まらない人もいる
夜逃げをした人の中には、捕まる人もいれば捕まらない人もいます。
捕まる人の場合は、知り合いが通報したり、債権者が利用した調査会社の調査したりすることによって、居場所がバレます。一方、捕まらない人の場合は知り合いに発見されません。
その他に働く場所も影響します。夜逃げ後にコンビニなど多くの人に見られる場所で働くと、発見される確率は上がるでしょう。逆に大勢の人に見られない職場(工場など)で働けば、発見される確率は下がります。
夜逃げ後に、どのような場所で仕事をするかも、見つかる確率が変動する理由といえます。
3.夜逃げのメリットとデメリット
ここでは、夜逃げのメリットとデメリットを見てみましょう。
3-1.夜逃げのメリット
メリットは、ご覧の通りです。
3-1-1.現実逃避ができる(夜逃げのメリット)
夜逃げをすれば、普段生活を送っていない場所に逃げられるため、現実逃避ができます。
夜逃げで見知らぬ土地に移住することで、気分転換になって精神的な安定を得る人も存在します。
3-2.夜逃げのデメリット
夜逃げのデメリットは、メリットに比べると遥かに多いです。
3-2-1.健康保険に加入できない(夜逃げのデメリット)
夜逃げをすると、基本的に住民票の異動をしないため、健康保険の加入ができません。住民票の異動ができないのは、夜逃げ後の住所が金融業者などにバレる恐れがあるからです。
夜逃げ先の住所を住民票に登録すると、何かの拍子で夜逃げ先が発覚する場合があるため、健康保険に加入できないのです。
3-2-2.給料振り込みの口座を設定できない(夜逃げのデメリット)
給料振り込みの口座も設定できません。住民票を夜逃げ先の住所に異動しない限り、口座の開設ができないからです。
前住所を口座開設時に提出しても、申請後に銀行から送付される書類を現自宅で受け取らなければ、給料振り込みの口座設定は完了しません。
つまり、給料振り込みの口座を設定できない場合は、手渡しで報酬をもらえる仕事を探すしかないのです。
3-2-3.仕事探しの時に制限がかかる(夜逃げのデメリット)
夜逃げをすると、従事できる業務が制限されます。住み込みの業務や手渡しで報酬をもらえたりする業務でないと、働くのは難しいです。
仮に内定を獲得しても、多くの企業では内定後に、あなたの住所に書類を送付します。
その時に、明記してあった住所に送付したにも関わらず、郵便が届かなかった場合、その段階でウソの住所を書いたことがバレて、内定が取り消しになる恐れがあります。
結果、夜逃げ後の就職は難しいと思った方が良いのです。
3-2-4.世間からの目を気にする(夜逃げのデメリット)
夜逃げをしている時に、世間からの目を気にして怯える人もいます。怯える理由は、下記の通りです。
- 親族や知り合いに見つかっていないだろうか?
- 借金取りに追われていないだろうか?
- 警察官に捕まるのではないだろうか?
上記のように、ネガティブな考えを持つと怯えてしまいます。なかには精神的ストレスを抱えて、不眠症に陥る人もいるようです。
3-2-5.自己破産を選ぶ確率が増える(夜逃げのデメリット)
夜逃げを続けていても、最終的には自分で解決できなくなる人が多いです。
とくに、金銭的な事情で夜逃げをした人の場合、自己破産をして過去の負債を精算する人もいます。なお、自己破産の概要については、のちほどご紹介します。
注意
夜逃げはデメリットが多いからこそ、安易にする行動ではない!
4.夜逃げをすると、他の人の迷惑になることも忘れてはいけない
夜逃げは、自身だけではなく他の人に迷惑をかける場合もあります。そこで、どんな人に迷惑をかけるか見てみましょう。
4-1.親戚・知人
親戚や知人を心配させてしまいます。
あなたが行方不明になったことで、家族がバラバラになる場合もあります。親戚や知人の中には、あなたが行方不明になったことで、精神疾患を起こす場合もあるため要注意です。
4-2.(連帯)保証人
借金や賃貸契約を結んだ時の、保証人に迷惑をかけることもあります。
夜逃げをして債務を支払わなかった場合、保証人に支払義務が移るからです。そのため、夜逃げ後も保証人と会うのは気まずくなるでしょう。
4-3.大家
大家にも迷惑をかけてしまいます。
何も片づけないで夜逃げをした場合、大家は別の入居希望者に貸し出すために、片づけなければいけません。
しかも、あなたが夜逃げをしている期間の家賃収入も0になるため、大家にとっては大ダメージです。
夜逃げが原因で大家が、経済的・精神的負担に襲われることも、覚えておきましょう。
注意
知り合いがあなたのことを、連日連夜探してる場合もあるから、その辺りも考えよう!
5.夜逃げをしなくても解決できる方法はある
しかし、夜逃げをしなくても解決できる方法はあります。ここでは、3つの場面に分けて解決方法を見てみましょう。
5-1.借金苦の場合は、弁護士や司法書士に相談
借金苦の場合は、弁護士や司法書士に相談して解決方法を聞きましょう。
相談費用は発生しますが、後払いが利用できる事務所も多いため、現段階で手元にお金がない人も相談可能です。
なお、借金のことで相談すると「債務整理」と呼ばれる方法を利用できる場合があります。
これは、借金の返済額を減らす方法のことで3種類存在します。3種類の内容は、こちらです。
5-1-1.任意整理
任意整理では、支払利息を0にしたり元金額や毎月の支払額を減らしたりできます。
返済期間は最大5年間で、月々の支払額を軽くして返済したいと思っている人向けの方法です。しかも、対象とする債務を選べます。
つまり、保証人付きのローンを対象外にして、保証人に任意整理したことがバレないように、できるということです。
個人信用情報機関にはデータが載るものの、裁判所で行う申請ではないため、官報(国が発行する広報誌)に載ることは、ありません。
よって、第三者からバレる確率が比較的低い債務整理の方法といえます。
5-1-2.個人再生
個人再生は、裁判所で手続きを行う債務整理です。
官報にも掲載されるため、第三者にバレる可能性があります。しかも全ての債務が対象になるため、保証人付きのローンのみを対象外にすることもできません。
つまり、個人再生をしたことが保証人にバレるということです。
しかし利息だけではなく、元金のカットも大幅にできるため、任意整理と比べると返済額は大幅に減ります。よって、借金を返済する意思はあるものの、任意整理では返済が厳しい人向けの方法です。
5-1-3.自己破産
自己破産も裁判所で行う債務整理で、最大の特徴は債務が0になることです。
自己破産後は、返済義務がなくなります。債務整理の中でも、最終手段の方法なのです。
しかし自己破産をすると、住宅などの財産を手放さなくてはなりません(最低限生活で必要なものは除く)。
つまり、裸一貫でのスタートになるということです。しかも保証人がいる債務は、保証人に支払義務が移ります。
そのため、保証人に迷惑をかけることを忘れてはなりません。
なお債務整理を3種類紹介しましたが、利用できる条件は異なります。自身が行いたくても、法律上できない場合もあるため、債務整理を考えている人は専門家に相談したうえで、検討しましょう。
ちなみに、債務整理をしても賃貸物件に住むことは可能ですので、ご安心ください。
ポイント
債務整理したことが個人情報信用機関に載るデメリットはあるものの、通常と比べて返済はラクになるから、相談する価値はアリだよ!
5-2.経済的困窮の場合は、役所やハローワークに相談
経済的に厳しい場合は、役所やハローワークへ相談しましょう。役所で生活保護申請をして審査に通過すれば、一定額のお金が支給されます。
他に、失業した場合はハローワークで失業給付の申請するのも方法です。申請が通れば、一定期間失業給付が支給されるため、お金を得ながら仕事を探せます。
また、社会福祉協議会による融資などもございますので、利用できる手段がないか、探してみると良いでしょう。
ポイント
自治体によっては、お金で困っている人向けのサービスを充実させているから、利用できる制度がないか調べてみよう!
5-3.精神的困窮の場合は、住む場所・人を変えてみる
精神的困窮の時は、住む場所や同居する人を変えてみましょう。
あなたの周りの環境が変わって、生活に変化をもたらします。生活環境が変わって精神面が回復すれば、快適な生活を送れるため、夜逃げをしたい気分は減るでしょう。
6.ただ、夜逃げをした方が良い場合もある
夜逃げをするのは基本的に良くありません。しかし、理由によっては夜逃げをすべき場合もあります。ここでは、そのケースを紹介します。
6-1.命の危機をおびやかす場合
住んでいると、命の危機をおびやかす場合です。たとえば、このようなケース。
- パートナーや同居人に暴行された
- 大家が嫌がらせをしてきて眠れなくなった
身の安全が最優先ですので、夜逃げしても仕方ないでしょう。
6-2.身内に自身の生活を制限されている場合
あなたの生活を制限する身内が、同居している場合も夜逃げは許されるでしょう。たとえば、こんなケースです。
- 結婚をさせてくれない
- 自由に外出ができない
この場合も、人生が台無しになる恐れがあります。そのため、夜逃げをしても致し方ないでしょう。
7.夜逃げをする時は最低限の準備が大事!
勢いで夜逃げをすると失敗する場合があります。失敗する確率を下げるには、事前準備をすることが大事です。最後に、夜逃げする前に準備すべきことを紹介します。
7-1.夜逃げ資金を貯める
夜逃げ後に生活ができるように、資金を貯めましょう。
最低でも半年~1年間は生活できる資金を貯めてから夜逃げすることをおすすめします。それだけの資金があれば、仕事が見つからなくても、当面生活を送れるからです。
ただし、生活費は住居のタイプ(マンスリー、ホテルなど)によって異なるため、それも考えたうえで資金を貯めましょう。
7-2.人目に付かない地域へ夜逃げする
人目に付かない地域へ逃げるのも大事です。
あなたと関連性がある地域へ夜逃げした場合、他の人に見つかる可能性があります。たとえば、このような場所へ逃げるのは危険です。
- 実家がある場所
- 学生・社会人時代に住んだことがある場所
- 頻繁に口にしていた場所
上記の場合、第三者が探しに来る可能性があります。必ず、あなたに縁もゆかりもない場所を選んで、他の人に見つからない確率が高い場所へ逃げましょう。
7-3.夜逃げ専門業者に依頼する
夜逃げをサポートする「夜逃げ専門業者」もあります。
ここに依頼すると、夜逃げをする時の注意点やコツなどを教えてくれるため、夜逃げ初心者の人も活用できます。
費用は数十万円発生しますが、夜逃げに失敗した時のリスクを回避したい人は、使うと便利です。とくに、あなたと同じ建物に大家が住んでいる時に効果的です。
8.「夜逃げ」についてのまとめ
夜逃げをして姿を眩ませれば、気分的にラクです。しかし、それ以上にデメリットが多いことは覚えておく必要があります。
状況によっては、夜逃げをせずに解決できる場合もあるので、家賃が支払えなくて困っている人は、慎重に考えてから行動してみてください。