空家対策特別措置法って?自治体や民間の空き家の対策は!?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

こんにちは!
「不動産投資のススメ」の管理人、松崎 サブローです!

本記事では、空き家の対策方法について解説します。
近年空き家の増加が問題となっています。新聞やニュースで見たことがあるという方も少なくないのではないでしょうか。それを受け、国や自治体、民間が様々な対策を打っています。


ススメ先生、空き家問題について最近よく耳にしますが、何か国として対策は行なっているのでしょうか?


サブロー君、空き家の対策といえば、空家対策特別措置法があるぞ。この法律では、不動産にかかる税金である固定資産税について重要なことを規定されておるのじゃ。空き家を所有している方はこの法律を押さえておかないと、今の何倍もの固定資産税を支払わなければならなくなってしまうこともあり得るので注意が必要なのじゃ。


なるほど。他にも空き家の対策って何かあるのですか?


自治体による対策や、民間による対策もあるぞ。そのあたりも、今日は解説していこう。



この記事では、空家対策特別措置法を中心に、空き家の対策について網羅的にご紹介していきます。この記事を読めば、空き家対策特別措置法の内容がしっかり理解できるでしょう。また、現在空き家を所有している方は、自分の空き家をどうすればいいのか、自分の空き家対策の方向性も見えてくることでしょう。

0.空き家問題

一口に「空き家」と言っても、以下の4種類に分類されます。

○4種類の「空き家」

①売却用住宅
販売中の空き家のことです。売りたいのに買い手が見つからないため空き家になっている状態です。通常は不動産会社が管理しています。

②賃貸用住宅
入居者募集中の空き家のことです。貸したいのに借り手が見つからないため空き家となっている状態です。通常は不動産会社が管理しています。

③二次的住宅
常時住んでいるわけではないけれど、利用してはいる物件のことです。別荘などがこれに当たります。その物件の所有者が管理しています。

④その他
上記3種類のどれにも当たらず、用途がなく利用されているのかが不明な空き家のことです。その物件の所有者が管理しています。

上記4種類のうち、問題となるのは「④その他」に分類される空き家です。
近年、「④その他」の空き家が増加して問題になっています。「④その他」の空き家が増加することで、以下のような問題が発生します。

○近所迷惑
・植栽や雑草によって景観が悪化してしまう
・老朽化した家屋が倒壊する危険が増す(家屋材の飛散の危険も)
・害獣や害虫の温床となってしまう
・不衛生な状態で放置される
・地震が発生した場合、倒壊して道をふさいでしまう危険がある

○治安悪化
・不法侵入、不法占拠、粗大ゴミなどの不法投棄
・空き家による死角を利用した犯罪
・放火(特に木造住宅)

この他にも、空き家が増えることで住宅の価値が下がったり、本来有効活用されるべき不動産が有効活用されなかったりといった問題が生じます。

なお、空き家問題に関しては、空き家問題|深刻すぎる原因と対策を徹底解説します!の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

これを受けて、国や自治体、民間企業が空き家への様々な対策を打っています。
以下、それぞれの空き家対策につき、順番に解説していきます。

1.空き家等対策の推進に関する特別措置法

空き家問題に対して対策を打つべく、国は2015年に「空き家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空き家対策特別措置法)を施行しました。
参考:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

ここからは、空き家対策特別措置法がどんな内容のものなのか、詳しく解説していきます。

1-1.どんな内容の法律?

空き家対策特別措置法では、空き家の中でも特に危険な空き家を「特定空家等」として指定し、国が「措置の実施のための立入調査」や「指導→勧告→命令→代執行の措置」を採れるようにしています。

「特定空家等」に対して、国は「除却、修繕、立木竹の伐採等の措置の助言又は指導、勧告、命令」をすることができます。所有者がそれに従わない場合は「要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行」をすることも可能です。また、先述した土地の固定資産税に対する特例措置を外すこともできます。すると、所有者にかかる固定資産税の負担が最大6倍まで増えてしまうことになります。

空き家にかかる固定資産税に関しては、最大6倍にもなる?空き家にかかる固定資産税の問題の記事でより詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

1-2.「特定空家等」とは?

では、上でご紹介した「特定空家等」とは、どのような空き家のことをいうのでしょうか。

まず前提として、この法律における空き家(法文の言葉では「空家等」)とは、「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」とされています。

そして、その中でも「特定空家等」に指定されるのは、以下の条件を満たすものです。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空家等をいう。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

1-3.「特定空家等」に指定されてしまったらどんなことが起こる?

もし所有している空き家が「特定空家等」に指定されてしまったら、どのようなことが起こるのでしょうか。

「特定空家等」に指定される時の流れは、以下のようになっています。

以下、それぞれについてみていきます。

1-3-1.空き家の調査

まず、自治体は空き家についての調査を行います。

空き家の調査について、市町村長は以下のようなことが可能であるとされています。

・法律で規定する限度において、空家等への調査
・空家等の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

1-3-2.「特定空家等」に指定

調査の結果、以下の条件にあてはまるとみなされた空き家は、「特定空家等」に指定されてしまいます。

① 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
② 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
③ 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
④ その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
にある空家等をいう。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

1-3-3.「特定空家等」に対する助言・指導・勧告・命令・代執行

「特定空家等」に指定した空家に対しては、以下の順番で措置が採られます。

①助言指導→②勧告→③命令→④代執行

①助言・指導
まず、行政から空き家の適正な管理に関する何かしらの助言があります。例えば、庭の草木が伸びている状態の場合、「除草作業を行って下さい」といった内容の助言がされます。この助言に対して、法的拘束力(従わなければ法律でペナルティがあるといったこと)はありません。ただ、ここでしっかり対応しておくことが非常に重要です

空き家の所有者が助言に従わない場合や状態が悪く直ちに改善が必要な場合、行政から指導を受ける場合があります。指導は助言よりも行政指導として重い処分になります。

②勧告
空き家の所有者が指導に応じない場合や空き家の状態に改善が見られない場合、行政から勧告を受けます。

「特定空家等」に指定された後に勧告を受けてしまうと、管理状況が改善されるまで固定資産税の優遇措置が適用されず、通常の6倍もの固定資産税を支払うことになってしまいます。

○固定資産税の優遇措置とは?

土地や建物を所有していると、そこに固定資産税という税金が課せられます。固定資産税の計算において、以下のような特例措置が設けられています。

<特例措置の内容>
小規模住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/6になる
一般住宅用地の場合 固定資産税評価額が、通常の1/3になる

つまり、土地の上に家が建っている場合、固定資産税が安くなるという措置です。これは、空き家の場合も同じです。
この優遇措置によって、空き家を解体して更地にすると空き家が建っていた時より固定資産税が高くなってしまう、ということが起こりえます。すると、空き家を解体せず放置してしまうケースが増えてしまいます。これが空き家増加の一因になっているのではないかとも言われています。

改善が認められれば「特定空家等」の指定は解除されますので、もし勧告を受けた場合は速やかに対応しましょう。

③命令
空き家の所有者が勧告を受けても応じない場合、行政から改善の命令を受けます。
命令はこれまでの助言、指導、勧告よりも処分として重いです。命令は「行政処分」にあたり、空き家対策特別措置法では命令に背いた場合50万円以下の罰金に処せられます。

第十六条  第十四条第三項の規定による市町村長の命令に違反した者は、五十万円以下の過料に処する。
2  第九条第二項の規定による立入調査を拒み、妨げ、又は忌避した者は、二十万円以下の過料に処する。

出典:住宅:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報 – 国土交通省

④代執行
空き家の所有者が命令を受けても空き家の状況が改善されない場合、行政による代執行を受けることになります。代執行は、行政が空き家の所有者に代わって樹木の伐採や建物の解体などを行うことです。

1-4.「特定空家等」に指定されてしまった時の対処法

もし自分の所有する空き家が「特定空家等」に指定されてしまったら、どうすれば良いのでしょうか。

まず大切なことは、助言や指導を受けた時点でしっかり対応するということです。先程も説明した通り、勧告を受けてしまうと固定資産税の優遇が外され、通常の6倍もの固定資産税を支払わなくてはならなくなります。これを避けるためにも、助言や指導を受けた時点でしっかり対処することが必要なのです。

もし今所有している空き家が、将来的に活用することのない空き家である場合、解体してしまったり、誰かに譲渡してしまったりすることも考えられます。ここからは、空き家の解体や譲渡について、詳しくみていきます。

1-4-1.解体

空き家を管理しきれない場合、その空き家を解体してしまうという方法があります。

ただ、解体費用は木造でも1坪あたり2~3万円と言われます。これはもう使うことがない家に対して支払う費用としては大きいと言えるでしょう。

そこで、自治体による空き家の解体費用補助を利用してみましょう。多くの自治体で、空き家の解体費用を補助するサービスが行われています。この制度が利用できれば、だいたい30万円~100万円ほどの補助を受けられるようです。自分の所有している空き家のある地域の自治体で解体費用補助が行われていないか、ホームページをチェックしてみましょう。

○解体後の固定資産税は?

空き家を解体しても、その後固定資産税が上がってしまうという問題がありますよね。
この点に関して、空き家にかかる固定資産税が土地にかかる固定資産税の3.2倍以上であれば、解体しても固定資産税はあがりません。よって、空き家の固定資産税と土地の固定資産税をそれぞれ比較して、上記の条件を満たしている場合は空き家の解体をおすすめします。なお、空き家解体後に固定資産税が上がってしまうとおう場合、次の「譲渡する」という方法も検討してみてください。

1-4-2.譲渡

適切な管理が難しい場合、空き家やその土地を譲渡してしまう方法もあります。

土地や建物を他人に譲渡して利益を得た場合(売って売却益を得た場合など)、その利益には税金が課せられます。その税金について、平成28年税制改正大綱において、以下の条件を満たす空家に関しては、その家屋や土地を譲渡した際の所得(譲渡したことで得られる利益)の3,000万円特別控除を適用することができることとされました。

○前提条件

・昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
・相続の開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったもの
・平成 28 年4月1日から平成 31 年 12 月 31 日までの間に譲渡をしているもの
・相続開始の日から3年を経過する日属する年の12月31日までに譲渡しているもの
・譲渡の対価の額が1億円を以下のもの

加えて、「家屋又は家屋と土地を売る場合」と「家屋を解体した後の土地を売る場合」でそれぞれ以下の条件が加わります。

①家屋又は家屋と土地を売る場合
・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・譲渡時において地震に対する安全性に係る規定又はこれに準ずる基準に適合するものであること
②家屋を解体した後の土地を売る場合
・相続時から解体時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと
・相続時から譲渡時まで事業や、不動産の貸付け又は居住用に使用されていないこと

2.その他の空き家対策

ここまで、空き家対策特別措置法についてみてきました。
ここからは、それ以外の空き家対策の取り組みについてみてみましょう。

2-1.自治体による対策

空き家対策特別措置法では、「市町村が行う空家等対策の円滑な実施のために、国及び地方公共団体による空家等に関する施策の実施に要する費用に対する補助、地方交付制度の拡充を行う」と定められました。

この規定を後ろ盾にして、自治体は条例により空き家対策を進めています。具体的には、損傷・老朽化が激しい住宅については除却(解体)の費用を補助したり、それによって住居に困る住民がいれば自治体が住宅を用意したりといった取り組みが行われています。
都道府県ごとの空き家対策条例は、NPO法人 空家・空地管理センター 空き家条例一覧にまとめられていますので、参考にしてみてください。

実は、自治体による空き家対策は以前から行われていました。ただ、空き家も個人財産ですので、公権力が介入することには高いハードルがありました。
空き家対策特別措置法が定められたことで、自治体が空き家対策の取り組みを行いやすくなったのです。

他にも、「空き家バンク」という、空き家を活用したい人と空き家を探している人のマッチングを補助するサービスも自治体により行われています。これにより、空き家を活用する方法に困って放置してしまうことを防ぐのが目的です。
また、自治体が進んで空き家を活用する例(公共施設などとしての活用)もあります。

2-2.民間による対策

空き家問題に対しては、民間企業や民間団体も様々な取り組みを行っています。

例えば、民間企業が行う空き家管理サービスがあります。
空き家を所有しているけど、管理が面倒で放置してしまっているという所有者も少なくありません。特に遠隔地に空き家を所有している場合、この問題は深刻です。そこで、所有者の代わりに定期的に空き家の管理を行うサービスが最近増えています。

費用の相場は月1回巡回してもらうので約1万円前後のようです。
空き家管理サービスを行っている企業を以下にあげておきますので、空き家を所有していてこうしたサービスを利用してみたい方はぜひ参考にしてください。

空き家管理サービス:大東建託グループ
~ 空き家管理の全国ネット ~【 日本空き家サポート 】

また、財団法人、公益法人、NPO法人といった民間団体も、空き家対策に取り組んでいます。以下、いくつか具体例を挙げますので、参考にしてみてください。

NPO法人 空家・空地管理センター【月々100円で空き家管理できます】
特定非営利活動法人 空き家コンシェルジュ
公益社団法人鎌倉市シルバー人材センター
一般財団法人世田谷トラストまちづくり

3.まとめ

様々な空き家対策についてみてきましたがいかがでしたか。
この記事が、空き家対策を考えている全ての方の参考になれば幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

不動産投資に関する最新情報をメールで受け取る

不動産投資に関する最新情報を届けるメールマガジンです。
クローズドのセミナーの案内や、メルマガだけで聞ける情報も盛りだくさん!
是非無料で登録してみてくださいね。

購読はこちらから