最近仮想通貨に親しんだ人には耳なじみのないであろう「ノアコイン」。4年ほど前には一世を風靡しました。
「ノアコインで何があったの?」
「詐欺コインと呼ばれる理由は?」
「現在はどうなっている?値上がりの可能性は?」
「仮想通貨で注意すべき点とは?」
ノアコインは「仮想通貨ではこんなことも起こるから注意!」という、反面教師のように語られる存在になっています。
今回は「ノアコイン」についてのお話をします。うまい話に注意というのは今も昔も同じ!投資の際に、ぜひ参考にしてください。
目次
1.ノアコイン(NOAH)とは?【詐欺と呼ばれる理由とは?】
ノアコインは仮想通貨の一種で、フィリピン経済の支援目的と言う触れ込みで売り出されました。
当初はプレセールス(事前販売)の段階で驚異的な伸びを示したのですが、2017~2018年に不祥事で失速以降、日本の取引所での取り扱いもなくなり、「仮想通貨のリスク」の事例のように語り継がれています。
1-1.「ノアコイン」トラブルの経緯
ノアコインには、もともとその普及をはかりたい背景に、はっきりした目的が備わっていました。
ノアコインの主目的
- フィリピン人の出稼ぎ労働者がノアコインで安く・速く国際送金できること
- ノアコインを使うことによって、フィリピン経済を発展させること
「 フィリピンの国家プロジェクトで将来性・安定性抜群」「 1000倍の価格上昇が見込める」という趣旨の派手な広告宣伝がおこなわれ、40億円分のプレセールス(ほぼすべて日本から)を達成するに至りました。
ところが途中で状況一転、国家プロジェクトが誤りだったことが発覚します。
フィリピン政府の発表
- フィリピン中央銀行は、事業者にノアコインの事前販売に関する権限を与えていない
- ノアコインは国家プロジェクトではない
- ノアコインの販売事業者は、証券その他類似証券を販売取引するライセンスや権限を持っていない
- ノアコインの販売事業者は、証券取引委員会に登録されている住所に実在していない
文面をよく読むと、何か責任回避の匂いもするのですが、しかしあまりの距離感です。これにより、ノアコインの主宰者に関して、詐欺行為・集団訴訟の話にまで発展します。
事前の広告内容が真っ赤なウソで、さらにはフィリピン政府からも警告を受けたことから2017年7月、ノア財団側はノアプロジェクトの停止・延期を発表。60日間期限でプレセール購入者全員への返金ということになりました。
ノアコインに関する主な出来事の時系列です。
2017年1月 | アコインのICO(プレセール)を実施 |
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2017年3月 | フィリピン政府がノアコインに未関与であることを発表 |
2017年7月 | プロジェクトの停止・延期を発表 |
2017年7月 | ICO(プレセール)で購入した人に対して返金を実施 |
2018年3月 | HitBTCに上場 |
2019年9月~現在 | 営がノア財団からプラチナム社に移行(ノアコイン⇒ノアプラチナム) |
1-2.「ノアコイン」トラブルの終息・現在【泉忠司氏・返金】
ビットコインプレセールスの広告塔として、投資系情報商材販売のカリスマ・泉忠司氏の尽力がありました。泉氏のけん引力によって、「信頼できる情報」と判断した投資家の資本が集まった点は、否定できません。
また、それに輪をかけたのが華原朋美さん・道端アンジェリカさん・ケイトアプトンさん・
・ルビーモレノさん他の 有名芸能人も動員した、華々しいプレゼンだったと考えられます。
「芸能人の広告塔も考えものだ」という判断が最近はかなり定着してきました。芸能人は自ら投資していなくとも、高額のギャラを収益源にすればよいのだということが分かってきたこともあるでしょう。
泉氏はこの件について非を認め、謝罪しています。
『フィリピン大使館やフィリピン・ナショナル・バンクの発表などにより、ご心配いただいている方も多いと存じます。プロジェクト発足当初、 ノア側が多くのVIPとミーティングを重ねていたのは間違いなく確かです。
僕はこの状況から「間違いなくこれは国家プロジェクト級の事業だ」と認識しました。
その後、僕がセミナーや動画で、ノアコインのプロジェクト規模を説明する際に「政財官民が一体となって取り組んでいるプロジェクト」や「国家プロジェクト」などと、僕の主観で断定的な言い方で表現した事が多くの方に、「フィリピン政府公認の暗号通貨」と認識を錯誤される事につながったようです。
僕の行きすぎた表現で、そのような事態となったことを深く反省しており、ここに謝罪いたします。』
出典:ノアコインの衝撃
ノアコインは上記のように取引所の扱いを得て一応正式なスタートは切ったのですが、現在日本での取引所の扱いはありません。(=日本政府からの指導が行われたため。)
2. ノアコイン(NOAH)の今後【値上がりの可能性】
2021年現在、ノアコインのチャートを確認できるのは、coingeckoとノアコインを扱う取引所のBTCNEXTのみです。レートは1コイン=0.07円の破格安値の状態です。
爆安ではありますが、日本以外の海外の知名度がないに等しい上、主目的であるフィリピン開発に具体的な動きもなく、現地政府の協力もないため、現状で値上がりの可能性は低いと言わざるを得ません。
現在ノアコインを持っている人が、何らかの事情で日本円換金を迫られた場合、一度国内取引の可能な別のコインに両替をしなくてはならないことになり、面倒かつ手数料がかかります。
財団は開発事業のストップをしたかわりに、ネット上の「ノアシティ」でバーチャルな市民権をメリットに打ち出しているのですが、市民税もかかり、益が出る状態ではありません。
※バーチャル市民権はホルダーのためになっていない
今後高騰する仮想通貨に興味のある方は、下記もご参照ください。
ご参考:一番儲かる仮想通貨
3. 仮想通貨購入の注意点【ノアコイン(NOAH)から学ぶ教訓】
3-1.ノアコインの教訓
「早く動くこと」は重要なのですが、実体のあきらかでない、エビデンスのはっきりしない情報に基づく先行投資は危険です。
「確実にもうかる」情報が、なぜ自分に公開されているのかを考える必要があります。「あなたに特別に」は存在しないと考えるべきでしょう。
3-2.実際の失敗談【教訓】
以下、仮想通貨投資の失敗経験です(ビットコインの例)
ネット等の意見をうのみにし過ぎた例
40代男性・会社員 損失額:20万円
「ビットコイン400万円から500万円くらいの時に投資をしました。YouTubeにてさまざまな情報を得てそれを参考にして投資を行っていました。一時は700万円まで上がりブラスになっていましたが現在はマイナスとなっています。
教訓は投資は自分の意志でやらなければならないと言う事です。YouTubeなどの解説、予想を参考にする事は良いですが鵜呑みにして投資すると失敗に繋がると分かりました。結局前回と同じように損失が出ています。これからは失敗を繰り返さない為にも自分の意志を持って投資を行っていきます。」
教材にお金をつぎ込み過ぎた例
33歳男性・会社員 損失額:80万円
「ビットコインなどの投資は始めるにあたり勉強が大事だと感じ、教材を買って勉強してから始めようと感じました。
そして、教材(30万円)ぐらいな物を購入して、しっかりと勉強をしたのでいざ始めてみると上手く行きません。しっかりと勉強しても全然プラスにはなりませんでした。
なので、勉強が足りないと感じでまた教材(10万円)のもの購入して、またしっかりと勉強してからビットコインを始めようと思いました。
そして、勉強をして投資を始めると、また上手くいかずマイナスばかりでした。まだまだ勉強不足だと感じて、また教材を購入して勉強をしようと思いました。気づけば繰り返しです。」
ハッキングに遭った
20代女性・会社員 損失額:20万円
「ビットコインを利用して、現物取引とレバレッジ取引を行って日々着実に儲けを増やしていました。そこで、もっと儲けを増やすために、それまで5か所ほどの取引所で取引をしていたのですが、2か所に減らして儲けをより多く得られるようにしようとしました。
しかし、そのうちの1か所がハッキングに合い、持っていたビットコインを3分の1以上失う結果となってしまいました。
この経験から、大量の儲けを得ようと取引所を絞るのではなく、利用する取引所を3つ以上にしてハッキングなどによってリスクを減らしながら毎日の取引を行うこと、取引所の状況に関して毎日チェックして少しでも危険性を感じたら取引をやめることが必要なのだと学びました。」
4.「ノアコイン」についてのまとめ
以上、「ノアコイン」というテーマでのお話をしました。過去のノアコイン騒動の実態、仮想通貨取引の注意点などは、理解を頂けたでしょうか。
泉忠司氏にも、「騙す」という意図があったとは考えにくく、当初なんらか提携関係にあったであろうフィリピン政府の真意は、不明というしかありませんし、おそらく今後にわたって不明です。
日本ではありえないような「はしごを外される」ような話でも、投資家からすれば、財団が一度フィリピン政府という「公的なバックボーン」を持ち出した時点で、それが叶わなければ、財団側は詐欺呼ばわりをされても仕方がないと言わざるを得ません。
しかし、海外の開発援助などにからむ投資話は、「どんでん返しがあって当たり前」と考えて用心をする以外にないのは、投資家側も心得る必要があるのでしょう。
でもそんなこと、誰も教えてくれませんよね。自己責任というのは酷な話です。
- 契約不適合責任は、買主の権利を守る法律。果たされなかった商品の効果を補償するための法律。
- 2020年の民法改正で「瑕疵担保責任」から名称・内容ともに変わった。
- 代金の減額の追加・追完請求の追加・明らかな瑕疵でも補償するなどの点が内容の改正の重点。
- 契約時に特約で、売主の免責事項や、期間の調整を行うことは部分的に認められる。