異常気象で起こる災害や地震など、日本は命と資産を気遣うことの多い国ですね。
災害で資産価値が下がったら、これは想定外。近年だと武蔵小杉エリアが注目を集めましたが、その後はどうなのでしょうか?
「武蔵小杉の地価動向は?」「下がってしまったの?」「台風時のタワマンの状況が知りたい」「周辺の地価が知りたい」
調べると、マスコミの報道や関係者の対応なども状況に関係していたことが分かりました。
今回は「武蔵小杉 地価」についてのお話をします。何ごとも備え、知恵ですね。
目次
1.武蔵小杉の地価は台風直撃で暴落した?
メディアの話題を集めてしまった武蔵小杉のタワーマンション台風被害によって、罹災直後は業者も被災者も「売るに売れない・・・」という声が出ていました。
ところが、その直後の四半期に多少影響が出ただけで、 翌2020年に地価は下がることなく、今までの上昇を維持したのです。2020年(令和2年)の武蔵小杉エリアは坪単価にして334万円という価格を維持~上昇傾向となりました。
2019年3月 | 99万2333円/㎡ |
2020年3月 | 106万7000円/㎡ ↑7万4667円 |
この時期のちょうど中間の2019年9月に台風罹災は起きました。にもかかわらず、 結果は値上がり率7.52%の上昇だったのです。
1-1.なぜ地価下落しなかった?
問題点を忘れてしまうと、評価自体もまた元に戻ってしまうところはあります。東日本大震災時の浦安市の液状化問題も同様のことが起きています。
もうひとつ、浦安にも共通する点として、100年に一度の台風浸水の不安よりも、都心に近くて利便性が高いというヴァリューが勝ってしまっている印象です。
また、武蔵小杉のニーズは現在マンションが主なのですが、水害に遭った際に戸建よりもマンションの方が、1階ですら建物の構造上の被害を受けにくいといった理由もあるでしょう。
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2.武蔵小杉の地理的特徴
2-1.再開発で激変。ベッドタウンの最右翼
武蔵小杉はまず、言うまでもなく電車で20分ほどと都心へのアクセスは非常に良好です。文字通り「多摩川渡っただけ」という位置にあります。
電車路線の乗り入れの便は、首都圏では珍しく南北に行き来の可能な南武線も使える関係もあり、これも非常に良いのです。JR南武線、JR横須賀線、JR湘南新宿ライン、JR相鉄直通線、東急東横線、東急目黒線、成田エクスプレスが全部使えるのも自慢です。
これらが影響して、駅の乗降客数は2010年頃から急激に増加し、最近は 2002年頃の倍以上の12万9千人に及びます。
さらに、道路の整備や開発が進んでいるということも特筆できます。古くからの綱島街道、府中街道、中原街道などが通る上に、それらの拡張工事も順次行われています。
川崎市中原区の真ん中に位置していて区役所も置かれ、付近のエリアの中では 行政及び商業の中心地とみなされる場所です。治安も良いので住みやすく、子育て世代にも人気があります。
こういった昔からの地の利に加えて、近年駅付近は高層タワーマンションやショッピングモール、レストラン、ファストフード店などが続々とオープンするなど再開発が進み、一時10棟近くの高層マンションがほぼ同時に建設されました。
2-2.1019年の台風被害
ところが、2019年の台風19号で起きた多摩川の氾濫により駅周辺が浸水し、タワーマンション地下の送電や汚水処理施設が機能停止、長期にわたって使えなくなる状況となりました。
その際の住民のマナーや争い、業者の対応も注目され、報道されてしまったことで武蔵小杉のネガティブイメージとなったのです。
パニックの中でちゃんとした広報対応などできるはずもなく、やっかみ面白半分の報道の視線パワーを助長してしまいました。
その他に元々高層マンションで起きるビル風や日照権の問題、住民増加に伴う通勤時間帯の駅の混雑、住民の対立(タワマン内マウント・プロパー住民VSタワマン住民)など、ネガティブな問題がないわけではありません。
川崎市は、都市間競争の観点から超高層マンションが建設できるように規制緩和を進めてきました。
その結果、都心に通う会社員やその家族には便利な街になった反面、上記の問題のほか、保育園や小学校の不足、子供の遊び場、公園なども行政の対処すべき問題として残っているのです。
武蔵小杉の例のタワマンの掲示板
いつ見ても人間の醜さがありありと表現されてて好き pic.twitter.com/ULHSRTIno7— じゅんじゅん (@Object501) 2021年2月16日
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3. 武蔵小杉の地価は今後どうなる?【将来性】
今後においても、大きな下落の要素は見当たらず、開発が続く状況に比例して、 堅調に上昇すると思われます。
住民間の問題、ビル風、駅の混雑などは、大規模の再開発地域には「必ずつきもの」の、時間を伴って変わってゆく問題ですし、あとは災害時の対応です。
3-1.今後の台風の可能性 どう考える?
浸水被害で本当に深刻なのは床上浸水なのですが、新しい住民の受け皿で、マーケットの主流であるタワーマンションには 「大勢に影響なし」です。
この言い方は少々乱暴かも知れませんが、本当に深刻な水害というのは「人命」「家屋の耐用」「家財」を脅かすものを言い、その点では被害は起きていません。
もちろん今回トラブルとなった地下施設の保全対策については、今後の対応に注目です。
しかしそれも、双子タワーの片方のマンションは被害がなかったそうで、問題の個所も早晩対策がされるであろうことは想像がつきます。
それでも今後が心配な場合は、自治体のホームページから 「洪水ハザードマップ」を確認するとよいです。台風19号時の筆者の体験で、想定通りの雨量なら、大体この通りに水没することになります。
下の武蔵小杉のものを見ると、床上浸水以上の深刻な被害が出ると予想できるのは
タワマン密集エリアではなく、駅北東部・多摩川沿い、の古めの戸建が集まる周辺です。
しかし、本下水設備の発達した都市部では「内水氾濫」という現象が発生します。下水道に入り込んだ水が川に排出できずに溢れることで発生するものです。
武蔵小杉のタワマン被災も、2021年3月大雨時の市川市の避難勧告もこれに該当し、最新のハザードマップがこの内水氾濫を反映しているかどうか、確認が必要です。
4.武蔵小杉周辺の今後の地価【将来性】
周辺の地価も堅調に上昇しており、台風以外の影響も感じられません。
ただし今後は武蔵小杉も含め、コロナ禍の影響による変動が注目されます。この周辺エリアは、現在首都圏で値上がりしている「都心離れの」ドーナツ圏ではなく、東京の中心部の扱いとなります。
良好な物件が出回ると資産のある人が「安くてチャンス」と買いに行くことで相場が上がり、かえって値上がりする可能性もあります。
元住吉 | 50万4142/m2 166万6587円/坪 | 前年比+1.95% |
新丸子 | 90万3875円/m2 298万8016円/坪 | +4.17% |
武蔵小山 | 96万0500円/m2 317万5206円/坪 | 前年比+4.77% |
5.「武蔵小杉 地価」のまとめ
以上、「武蔵小杉 地価」というテーマでのお話をしました。地価動向の実情・台風との関連性など、理解をいただけたでしょうか?
持っている人は資産価値を、買う人は安定性やお買い得感を気にするでしょう。
武蔵小杉は依然として、売り手優先の市場が続きますが、売買どちらの立場でも、 事前に納得のいく調べを行い、取引の知恵としてしっかり持っておくのが重要です。
- 武蔵小杉の地価は台風被害に関わらず、2020年も上昇。
- 都心アクセス・電車便・車の便いずれもよく、再開発も進む。
- 台風罹災は内水氾濫による地下施設被害。洪水被害とは異なる。
- 周辺エリアも価格上人気を維持していて、上昇傾向。
- 今後も安定した価格上昇が続くと思われる。