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一般コラム

地下室の費用は?自分で作れる?コストの内訳やハウスメーカーも紹介

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自宅に「地下室」を作れたら、家の用途が拡がりそうなイメージがありますね?しかし、建売や規格型住宅の間取りプランで地下室が取り入れられたものを目にすることは、まずありません。なぜなのでしょうか?

「家に地下室を作る費用は?」
「地下室のメリットや向く用途は?」
「DIYで作れる?」
「地下室の得意なハウスメーカーは?」

地下室には数々のメリットもありますが、実は、実際作るとなるとかなりのハードルがあるのです。気軽にはおすすめしにくいレベルのものです。

今回は「地下室 費用」についてのお話をします。 地下室を手がけるハウスメーカーや、地下室以外の方法で希望を「安く」解決する情報もあります。ぜひ参考にしてください。

1.自宅に地下室を作る費用は?

1.自宅に地下室を作る費用は?

1-1.地下室とは?

地下室とは、建築基準法では「地階」といい、床が地盤面より下にあって、天井高の3分の1以上が地盤面より下にある空間という定義になっています。つまり、壁面が半分以上地上にある半地下の部屋も、法規上は「地階」の扱いとなります。

設備をととのえれば、地下室もリビングや寝室などにも利用できるのですが、居住用と言うよりは納戸や防音が必要なオーディオルームなどの用途でつくられることが多いです。

1-2.地下室の費用

まずはお値段です。広さや構造、設置場所などにもよるのですが、1坪あたり80~130万円前後を目安として、総額600~1,000万円を見込んでおくとよいです。坪単価100万は越えると考えるのが無難でしょう。

高い!なぜ?」となりますが、防湿・明り取り、地盤補強・丈夫な構造など、一般的な建物の費用以外にかかるものが沢山あるためなのです。

かかる費用・かかる可能性のある費用の内訳は以下です。

ボーリング調査費約25万~35万円地下室をつくる場合 ボーリング調査が必要。地盤改良の必要性や方法を検討し、地下水の位置を把握し、土留など工事方法の見極めを行う。
構造計算費用地下室:約30万~45万円
地上階:約20万~30万円
地下室付きの家は、地下の鉄筋コンクリート部分の 構造計算が必要。
鉄筋コンクリート部分の設計図約30万~80万円地下の鉄筋コンクリート部分の構造図も必要になる。
土留(どどめ)の費用約150万~200万円地下を掘る際、作業の安全を確保するために 土留(どどめ)あるいは山留(やまどめ)という作業を行う。周囲の地盤が崩れないようにするためにH型鋼に横矢板をはめながら土を掘っていく。
掘った土の運搬・処分費用約200万円地面を堀って大量の土を運んで処分する。 土は掘ると体積が約1.3倍になる。掘り・搬出・処分に、1㎥当たり約1万円程度。
地盤改良工事費用約100万~300万円地盤改良が必要になった場合に発生する費用。地面の土にセメント系の固化剤を入れ混ぜて地盤を固くする方法、コンクリート杭をつくったり、鋼管杭を打ち込む方法。
外壁の防水処理費用約90万~180万円わずかな穴でもそこから浸水するため外壁の 防水処理が必須。処理方法は以下。

・壁の外側から防水材を貼る
・内側から防水材を塗る
・二重壁にして防水
・コンクリート自体を防水壁に

排水ポンプ及びその設置費用約70万~110万円災害による浸水だけでなく、雨水、トイレや風呂を地下につくった場合の排水、空調の結露水などを汲みだすための排水ポンプ。 予備も入れて2台必要。
防潮板(止水板)などの設置費用約30万~60万円外部が浸水する可能性のある場所では、入口から水が浸入するのを防ぐ 防潮板を設置できるようにしておく必要がある。
壁や天井などへの除湿素材の使用約10万~60万円珪藻土などの左官材料や調湿性能のあるタイルの利用。施工面積で金額に開き。
換気扇の換気経路をつくる費用約5万~10万円地下は土中を地上に排気できるよう換気経路をつくる必要がある。

思いのほか、施工に経費がかかるのが分かりますね。

2.地下室を作るメリット・デメリット・何ができる?【費用】

2.地下室を作るメリット・デメリット・何ができる?【費用】

2-1. メリット

涼しい夏場は冷房コストも低く快適。気密性が高く空調の効きがいいが、室温を上げた場合、結露発生の原因になりがち。
耐震性が高い地震の際には地上の部分は強い揺れの影響を受けて壊れる危険がありますが、地面の中にある地下室は地震の影響を受けにくいため、壊れる危険が少ないのです。そのため、シェルターや貴重なものの保管庫といったニーズにも活用できます。
気温が一定温度変化が1年を通して小さい。外の気温に比べて冬は暖かく夏は涼しい。温度の変化を抑えたいワインや保存食等の貯蔵庫などに向いている。
防音性抜群大きな音を出しても外部への伝播を抑制して近隣に迷惑が掛かりにくい。また、地下室の部分は鉄筋コンクリート(RC)造になるため、上の階にも音が響きにくい。爆音ジャンルのライブハウスが地下に多い理屈。
家を広くできる建築基準法で天井が地盤面から1m以下にある地階のうち住宅の用途に供する部分については、建物の床面積の合計の3分の1までは容積率に算入されない。延床面積に関しても同様に、延床面積の3分の1以下までなら、地下室をつくっても延床面積には算入されない。

地下室はこのような特性から、 貯蔵庫やカラオケ・楽器・オーディオ・AVルームなどには、とても相性が良いです。

防災という点では地下施工は シェルターにも適しています。(ただし言うまでもなく水害には弱いです)地下室にシェルター機能を追加する場合、孤立した状態でも生活ができるようにするため、発電設備や空気濾過システム、そして内部を守るための頑丈なドアが必要で、これらの設備を追加した場合、約100万円の追加費用がかかります。

お隣韓国では都心部の住宅事情が厳しいため、土地の有効利用と安い賃料目的で、半地下部分を安価な賃貸物件として若い人や低所得層に使います。

カンヌ受賞の映画「パラサイト半地下の家族」もそういう家族のお話でした。

2-2.デメリット

施工費が高い地価ならではの付帯設備を含めた施工費用自体が高いのに加えて事前調査・地盤改良・湿度・浸水・換気対策など、様々にコストがかかる。地下だけで1000万円以上の費用がかかることも珍しくない。
固定資産税が高い固定資産税で最も高額なものが「地下室」。地下室の場合「鉄筋コンクリート造1階」として計算され、更に「地下に造っている」という計算になる。20坪の地下室を造ると、それだけで固定資産税は20万円/年程度かかる。

同じ総床面積でも3階建ては25万円程度のところ、2階建て+地下室の場合は約40万円/年の固定資産税がかかる。電気代など設備関係の維持費も必要。

湿気対策が大変湿気を含んだ空気は重たく下にたまりやすいため、換気など対策を十分に施さない場合、結露が発生しやすくカビが発生する。新築の場合1~2年間はコンクリート自体が乾くまで水が出るため、さらに換気が必要。
採光対策が必要な場合も利用頻度の高い居室として使用するには、照明だけでは明るさが足りないことも。その場合半地下やドライエリアにして、窓を設けることになる。
水害時などの不安集中豪雨などの自然災害で浸水してしまうリスクがある。雨で地下水の水位が上がって地下室の壁に浸水してくる可能性もあり、浸水すると内装の張り替えなど大掛かりな修繕が必要になるため、万全の対策が必要。

やはり維持費含めたコストの高さがデメリットの代表です。 ドライエリアなど余計な対策設備も必要です。

3.地下室施工の方法【庭・狭小土地・半地下】

3.地下室施工の方法【庭・狭小土地・半地下】

3-1.リフォーム

既存の建物に、あとから地下室を増築する行為は建築確認申請上も難易度が高く、さらに、既存建物をリフトアップし、土の掘削や残土処理に必要なスペースがあり、既存建物の強度が十分あるかなど物理的な条件が必要となります。

これらで充分に障害なうえ、かかるコスト、建築確認の難易度、仮住まいなど他にも超えるべき点があり、実質上「不可能」に近いと思われます。ネット上でも地下室増設の時期が簡単に探せないのはこういう理由です。

既存の家の地下ではなく、上に何もない庭などに新造しても、10畳程度の広さで約600万円くらいはかかり、郊外か地方に中古の戸建てが1軒買えます。

3-2.新築

新築住宅の地下室は、都心部の狭小土地などで、居住スペースを増やす目的で地下・半地下を作るケースが主流です。

はやり相当施工費がかさむので、どうしてもという事情がなければ同じ建築面積ならずっと安くあがる3階建てにするか、
リモートワークの時代なので郊外に土地を探し直した方がよい
、となります。

地下室のある家を作った時の話

3-3.DIYで作れる?

地下室の施工は普通の建築にない特殊な技術を要します。穴を掘って蓋をするだけというわけにはいかず、事前に地盤調査、構造計算や建築確認申請、既存の家屋の基礎への影響などを確認する必要があります。

施工時も鉄筋コンクリートのノウハウや、防湿などの専門的な知識や技術を要するため、専門家の手を借りないと難しいでしょう。

4.地下室施工が得意なハウスメーカー

4.地下室施工が得意なハウスメーカー

地下室施工の実績は、限られた土地しかない都心部がメインとなり、地方の工務店ではニーズも経験もないため、ノウハウのある所を選びましょう。

また、高級メーカーでしっかり施工しても、その後のトラブルの有無は、土地の地形・地盤状態・乾燥度にかなり左右される部分は含み置きましょう。(参考の坪単価は地下室以外の通常の施工時の相場です。)

4-1.ミサワホーム

対応エリア全国※沖縄を除く
坪単価65万~80万円
公式サイトhttp://www.sekisuiheim.com/
特徴地下水位が比較的高いエリアでは、コンクリート造の地下室では雨水の滲み込みが不安となる。

他のハウスメーカーではコンクリート造となるところ、セキスイハイムの地下対応のボックスユニットは、潜水艦のような防水・気密に優れた性能を持たせることを可能としている。

 

4-2.セキスイハイム

対応エリア全国 ※一部エリアを除く
坪単価65万円~90万円
公式サイトhttp://www.misawa.co.jp/
特徴収納充実プラン「蔵のある家」が有名。デッドスペースの有効活用を得意としているハウスメーカーで、地下室や屋根裏も上手に設計してくれる。

カラオケ、ゴルフの練習場、トレーニングジムやプールがあるなど、様々な地下室がある家を建てている実績も。

 

4-3.クレバリーホーム

対応エリア全国 (北海道・沖縄も含む)
坪単価30万円~50万円
公式サイトhttp://www.sekisuiheim.com/
特徴ローコスト住宅で地下室がある家づくりを得意としているのはクレバリーホーム。おすすめなのは東京近郊のフランチャイズ。理由は狭小住宅が多く地下室がある新築住宅の実績が豊富なため。

完全地下タイプ、半地下タイプはもちろん、ヒナ壇地や傾斜地での地下室がある注文住宅の経験も豊富。

5. 地下室を作った人の後悔談

5. 地下室を作った人の後悔談

実際に施工した人の生の声では、やはり湿気の多さと、水没の不安が語られています。

築5年:半地下
「傾斜地に一戸建てを建てました。その1階、傾斜地側が半地下になっていて、土に埋まっている状態です。

唯一の後悔が、結露とそれが原因の変色・カビです。山側のコンクリート部分がアイランド型キッチンの背中側、収納棚のスペースになっているのですが、なぜか夏場だけ壁に結露が発生し、その染みで壁紙が変色してしまいました。どうもクーラーで室温が下がるとコンクリートの躯体が冷えてしまい、さらに夏場の湿度の高さもあって結露するようです。」
出典:ieny

築10年:半地下
「2階建てにするには、個室の広さを確保するのに微妙な建坪だったのですが、3階建てにすると、玄関から階段の上り下りがツラい……。設計士さんに1階を少し掘り下げて半地下の空間に夫婦の寝室を作り、スキップフロアのようにして1階に玄関と水回りに収納、1.5階にLDK、2階に子ども部屋を作ることを提案していただきました。

日中あまり日が差さなくても寝室ですから問題ありませんし、夏も冬も温度があまり変わらずエアコンの空調が苦手な私にはとても快適な空間で、とても満足しています。最近出てきた後悔が「不安」です。ここ数年、大型の台風の影響で突然浸水したり、川が決壊したという災害が起こっていますよね。

もしも寝ているときに警報級の大雨が降って、気が付かないうちに水が入ってしまったらどうしよう……1度そんなことを想像してしまったら、怖くて仕方がなくなってしまいました。」
出典:ieny

家づくり!!地下室は作るべき??デメリットいっぱいで!作るなら覚悟して!!

6.「地下室 費用」についてのまとめ

地下室の費用は?自分で作れる?コストの内訳やハウスメーカーも紹介

以上、「地下室 費用」というテーマでのお話をしました。地下室のコストと用途、メリット、デメリットなどは、理解を頂けたでしょうか。

どうも今回は否定ベースの話が多くなってしまいました。 地下室は秘密基地っぽく、どことなく夢があるのですが、これだけのハードルを前に、家族の理解はなかなか得にくいと思わざるを得ません。「維持費も考えると、一般的な収入の人には、地下室は勧められない」と言い切る人もいます。

地下室の代わりに、考えられるやりかたとは、何でしょう?

狭小地のスペース不足解決なら3階建ての検討、収納が目的ならば、間取りの再検討やリフォームで部屋使いを変えることを考えるか、良質なワインセラーを置くスペースを確保することが考えられます。

音響関係ならば、防音室という手段はあるのですが、高くて狭い上、自然な響きとは程遠く、ピアノやドラムならデジタル楽器を検討した方がまだいいかも知れません。

ご参考:地下室や防音室を作る際の値段とポイントまとめ(注文住宅の達人)

防音に関して言えば実は、郊外、東京通勤圏なら山の手線駅から60分程度の場所に、周囲を気にせず生楽器(生ドラムでも)やり放題の住宅用地は、探せば結構あります。(そのかわりちょっと不便な場所になりますが)郊外は土地代が安く、その分いい家を作ることもできます。

秘密基地目的ならば、前述のように地下室施工のお金で郊外に中古戸建が買え、維持費はその方が安くつきます。

コロナ禍が招いたテレワーク時代で、住まいの場所に対する考え方は大きく変わりました。アメリカで起こっている大量郊外移住の動きが、輸入材を暴騰させた「ウッドショック」につながっている点、わたしたちが「後戻りしない流れ」に生きている事実を示しているようです。

「地下室 費用」 のポイント
  • 地下室には涼しい・防音・気温が一定・広く建てられるなどのメリットがあるが、施工も維持もコスト高。
  • 用途は新築・都心部の狭小土地のスペース確保が主流。既存住宅への追加施工やDIYは無理に近い。
  • 施工には防水・強度確保・浸水防御など、様々な専門知識と技術が必要となる。
  • 地下室の代わりに3階建て・間取りの再検討・リフォーム・郊外に移るなどの対応が考えられる。
  • この記事を書いた人
松崎サブロー

松崎サブロー

イエベストの編集長です。宅地建物取引士。不動産会社では不動産投資、不動産売却、不動産賃貸、不動産管理など幅広く担当。 不動産に関わる難しい知識を初心者にもわかりやすい正しい情報として提供することを心がけています。

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