こんにちは!「イエベスト」の管理人、松崎 サブローです!
不動産を個人で売買したいとお考えですか?
一般的に、不動産売買は不動産仲介業者を利用して行います。不動産仲介業者が、売主や買主に代わって物件の取引相手を見つけてくれたり、売買交渉したり売買契約を結んでくれたりします。
しかし実は、不動産売買は不動産仲介業者を利用せず、個人でもできます。不動産仲介業者を利用しなければ、不動産仲介業者に支払う手数料がかからなかったり、相手と直接交渉することになりますので、場合によっては普通よりも良い条件で不動産が取引できたりします。また、すでに売買する相手が決まっているという場合は、不動産仲介業者を利用する必要がありませんね。
ただ、個人で不動産を売買するとなると、普通だったら不動産仲介業者がやってくれるようなことを自分でやらなければなりません。中には、素人には少し大変な作業もあります。特に契約関係のことは、慣れていないと大変な作業になってしまうでしょう。
そこでこの記事では、不動産を個人で売買する時に必要な知識を網羅的に解説しました。これを読めば、あなたも自分で不動産を売買することができるようになること間違いなしです。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
1.個人で不動産を売買することは可能か
結論から言えば、個人で不動産を売買することも可能です。ただ、個人で不動産を売買することにはデメリットもあります。ここでは、個人で不動産を売買するにあたって気をつけておきたいことについて解説していきます。
1-1.不動産売買には方法が2通りある
まず、不動産を売買する方法は以下の2通りあります。
①不動産仲介業者を利用して売買する方法
②個人で売買する方法
それぞれについて解説します。
1-1-1.不動産仲介業者を利用して売買する方法
1つは、不動産仲介業者を利用して売買する方法です。不動産仲介業者とは、不動産売買をする際に、売主と買主の間に立って、売買契約を成立させる業者のことを指します。具体的には、売主に代わって物件の広告宣伝を行ったり、売主や買主に代わって売買契約書などの書類を作成したりしてくれます。
不動産仲介業者を利用した場合、売主や買主は不動産仲介業者に不動産仲介手数料を支払うことになります。
不動産仲介について詳しく知りたい方は、不動産仲介の役割とは!?きっと役立つ仲介業者の選び方で詳しく解説していますので、そちらもあわせて参考にして下さい。
1-1-2.個人で売買する方法
2つめは、個人で売買する方法です。「個人で売買する」というのは、「不動産仲介業者を利用せずに売買する」ということです。不動産を売買するにあたって必要な手続きを、不動産仲介業者に代行を依頼せず自分で行うという方法です。以下、この記事で解説していくのはこちらの方法になります。
以上2つの方法を比べたとき、個人で売買することにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。以下、それぞれについて解説していきます。
1-2.個人で不動産を売買するメリット:仲介手数料がかからない
不動産仲介業者を利用せず個人で不動産を売買することのメリットは、仲介手数料がかからないという点です。不動産仲介業者を利用せず自分で売買手続きを行うわけですから、当然仲介手数料を支払う必要はありません。
参考までに、物件価格と仲介手数料の対応表を載せておきます。
物件価格 | 仲介手数料の上限(税込) |
200万円の物件 | 108,000円 |
400万円の物件 | 172,800円 |
500万円の物件 | 226,800円 |
1,000万円の物件 | 388,800円 |
※より詳しい金額が知りたい場合は、無料にもできる?不動産売却時にかかる仲介手数料の仕組みを解説を参考にしてください。
上記表を確認してもらうと、仲介手数料の出費も決して小さい額ではないことがお分かりいただけるでしょう。物件価格が大きくなればそれだけかかる仲介手数料も大きくなります。この出費を節約できるというのは、大きなメリットといえるでしょう。
また、買主の立場で考えると、個人売買の方が良い条件で不動産を購入できる可能性があります。というのも、売主と直接売買交渉することになれば、個別の事情に対応してくれる可能性があるからです。
1-3.個人で不動産を売買するデメリット
一方、個人で不動産を売買することにはデメリットもあります。具体的には、以下のようなものです。
②売買に必要な書類を自分で作成しなくてはいけない
③トラブルが発生した場合の対応が大変
1-3-1.自分で売買の相手を探さなくてはいけない
1つは、自分で売買の相手を探さなくてはいけないという点です。つまり、不動産を売る場合は自分で買主を見つけなければいけないし、不動産を買う場合は自分で物件とその売主を見つけなければなりません。
もうすでに売買の相手が決まっているという場合はいいですが、もし決まっていなくてこれから探すという場合、結構な手間がかかってしまうでしょう。特に不動産を売る場合、自分で物件を広告宣伝しなければなりません(具体的には、無料で掲載できる物件情報サイトや物件のオークションサイトへの登録など)。
1-3-2.自分で売買交渉や売買に必要な書類の作成をしなくてはいけない
2つめが、自分で売買交渉や売買に必要な書類の作成をしなくてはいけないという点です。個人で不動産を売買する場合、相手方との売買交渉は自分でしなければなりません。また、売買契約書や重要事項説明書(売主の場合)など、不動産の売買に必要な書類を自分で作成しなくてはいけません。
1-3-3.トラブルが発生した場合に対応しなくてはいけない
3つめが、トラブルが発生した場合に対応しなくてはいけないという点です。個人で不動産を売買する場合、不動産売買の中で発生したトラブルに自分一人で対応しなければいけません。考えられるトラブルとして、以下のようなものがあります。
・当事者同士で交渉が難航する(場合によっては交渉が決裂する)
・契約書や重要事項説明書などの書類に漏れや不備があり、後で揉める
こう見ると、不動産を個人で売買することにはかなりの手間がかかることが分かります。正直、素人がやろうと思ったらかなり大変なこともあるでしょう。
ただ、上で書いたように、不動産を個人で売買すると仲介手数料が節約できたり、場合によっては通常より良い条件で物件が売買できたりすることもあります。よって、上記のようなデメリットを乗り越える覚悟ができれば、個人での不動産売買に挑戦してみる価値はあると言えるでしょう。
以下、不動産を個人で「売る場合」と「買う場合」について、それぞれ解説していきます。
2.不動産を個人で「売る」場合
ここからは、不動産を個人で「売る」場合の流れや必要書類について説明していきます。
2-1.不動産を個人で売る流れ
不動産を個人で売る時の流れは、以下のようになります。
②資料を揃える
③物件の売り出し価格を決定する
④売却活動を開始する
⑤購入希望者と契約交渉する
⑥売買契約書を作成する
⑦契約締結・決済を行う
⑧物件を引き渡す
2-1-1.物件の相場を調べる
まず、物件の相場を調べます。
個人で不動産を売買する場合、自分が売ろうとする物件の相場を自分で調べる必要があります。
土地の相場に関しては、以下のサイトを参考にしてください。対象となる土地の近辺の土地が過去にどれくらいの値段で取引されたかのデータがあります。
地価公示・地価調査・取引価格情報|土地総合情報システム
2-1-2.資料を揃える
次に、物件に関する資料を揃えます。不動産の具体的な情報が分かるような、以下のような書類を用意しましょう。
・建築確認済証および検査済証
(建物を建てたときまたは引渡しを受けた時に発行されたもの)
・建築設計図面書・工事記録書(管轄の登記所で取得)
・マンションの管理規約、または使用細則など
(マンションの管理会社に問い合わせて取得)
・マンションの維持費等の書類(マンションの管理会社に問い合わせて取得)<以下、できればあると良い書類>
・耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など
・地盤調査報告書
・住宅性能評価書
・既存住宅性能評価書
など
2-1-3.物件の売り出し価格を決定する
次に、物件の売り出し価格を決定します。
不動産を個人で売る場合、物件をいくらで売りに出すかということに関して自分で決める必要があります。
先ほど調べた相場に基づいて、売り出し価格を決定します。
2-1-4.売却活動を開始する
売り出し価格を決定したら、売却活動を開始します。具体的には、個人が物件情報を掲載することができる以下のようなサイトを利用して広告活動を行います。
〇e-物件情報
〇おうちダイレクト
〇全国不動産物件情報 物件s
ちなみに、個人で売却する場合は「REINS(レインズ)」に登録できませんので注意が必要です。
また、物件への問い合わせがきた場合、自分で対応します。現地を確認したいという以来にも自分で応える必要があります。
2-1-5.購入希望者と契約交渉する
購入希望者が現れた場合、売買交渉を行います。
こちらが定めた「売り出し価格」と購入希望者が考える「購入希望価格」のすり合わせや、契約条件の確認が行われます。「交渉」ということに慣れていないと、少し大変な作業になるかもしれません。
2-1-6.売買契約書を作成する
交渉がまとまったら、売買契約書を作成します。
以下のサイトから、売買契約書のひな形を無料でダウンロードすることができます。
2-1-7.契約締結・決済を行う
契約書を作成し、両者が合意したら、契約締結・決済を行います。
2-1-8.物件を引き渡す
最後に、物件を引き渡します。
2-2.不動産を個人で売るのに必要な書類
不動産を個人で売るのに必要な書類と取得方法は、以下の通りです。
<必要書類> | <取得方法> |
①買主に物件を取得させるのに必要な書類 | |
登記簿謄本 | 法務局またはオンラインで取得 |
固定資産税評価証明書 | 法務局またはオンラインで取得 |
公図 | 法務局で取得 |
物件表示書類 | 「2-1-2.資料を揃える」で挙げた書類を用意します |
②売買契約時に必要な書類 | |
不動産売買契約書、印紙 | 自分で作成 契約書に添付する印紙は郵便局で購入できます |
権利証(登記済証) | 法務局から登記名義人に公布されます |
不動産引渡確認証 | 自分で作成します(※1) |
実印 | 自分で用意します |
不動産物件内容表示書類 | 「2-1-2.資料を揃える」で挙げた書類を用意します |
印鑑証明証(発行から3ヶ月以内のもの) | 各市区町村役場か証明書発行センター(住基カードがあれば、コンビニなどでも取得可能です)で発行 |
領収書 | 自分で作成します(※2) |
本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) | 自分で用意します |
登記簿謄本 | 法務局またはオンラインで取得 |
固定資産税評価証明証 | 法務局またはオンラインで取得 |
住民票 | 市区町村役場の窓口で発行してもらうか、郵送で請求しましょう。郵送の場合、市区町村役場のHPから請求書をダウンロードできます。 |
※1:不動産引渡確認証のひな形はストアーズ ドット コム 不動産にありますので、参考にしてください。
※2:領収書のサンプルは領収書テンプレート | ビジネステンプレート集(エクセル・ワード)にありますので、参考にしてください。
3.不動産を個人で「買う」場合
ここからは、不動産を個人で「買う」場合の流れや必要書類について説明していきます。
3-1.不動産を個人で買う流れ
不動産を個人で買う時の流れは、以下のようになります。
②物件の所有者と売買交渉
③売買契約の締結
④物件の引渡しを受ける
3-1-1.購入する物件を探す、選ぶ
まず、購入する物件を探します。以下のようなサイトで不動産を個人で売り出す人の物件情報が掲載されていますので、参考にしてみてください。
〇e-物件情報
〇おうちダイレクト
〇全国不動産物件情報 物件s
良いと思う物件が見つかったら、問い合わせをしてみましょう。
3-1-2.物件の所有者と売買交渉
買いたいと思う土地が見つかったら、土地所有者との間で売買交渉が行われます。ここで、土地所有者が定めた「売り出し価格」とこちらが考える「購入希望価格」のすり合わせが行われます。「交渉」という作業に慣れていないと少し大変かもしれません。
3-1-3.売買契約の締結
土地所有者との売買交渉が終了したら、売買契約を締結します。売買契約を締結すると、あなたが「買主」、土地所有者が「売主」となります。売買契約のポイントはこの記事の「2-1-6.売買契約書を作成する」をご参照ください。
売買契約の締結と同時に、①売主への手付金と、不動産会社(仲介業者)を利用して土地を探した場合は②仲介手数料を支払います。
ローンで融資を受ける場合は、売買契約締結後すみやかにその申し込みを行います。
3-1-4.物件の引渡しを受ける
最後に、売主から買主への土地の引き渡しが行われます。
土地の引渡しと同時に、売買代金の決済も行います。支払いをローンで行う場合、金融機関との間で金銭消費貸借契約を結び、融資を実行してもらいます。
また、土地の引渡しと同時に、所有権移転登記も行います。所有権移転登記にやり方については、不動産の名義変更について完全網羅 | 流れ・必要書類・費用などに詳しい解説がありますので、あわせて参考にしてください。
3-2.不動産を個人で買うのに必要な書類
不動産を個人で買うのに必要な書類と取得方法は、以下の通りです。
<必要書類> | <取得方法> |
住民票 | 市区町村役場の窓口で発行してもらうか、郵送で請求しましょう。郵送の場合、市区町村役場のHPから請求書をダウンロードできます。 |
実印 | 自分で用意します |
印鑑証明証(発行から3ヶ月以内のもの) | 各市区町村役場か証明書発行センター(住基カードがあれば、コンビニなどでも取得可能です)で発行 |
4.まとめ
不動産を個人で売買する方法について書きましたが、いかがでしたか?
この記事が、自分で不動産の売買に挑戦しようとするすべての方の参考になれば幸いです。