無料にもできる?不動産売却時にかかる仲介手数料の仕組みを解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

自分の持っている不動産を売却する際は、不動産仲介業者に取引のサポートを依頼する方がほとんどだと思います。

不動産仲介業者に依頼して取引が成立した場合、仲介業者に報酬として仲介手数料を支払うことになりますが、どれぐらいの金額が掛かるか知っていますか?

実は、仲介手数料の金額(仲介手数料の上限)は国によって定められており、あらかじめ計算することができます。仲介手数料の金額をあらかじめ自分で計算できれば、払いすぎることもないですし、資金計画を立てる際の役に立ちます。

この記事では、不動産を売却する際の仲介手数料(上限)の計算方法について徹底的に解説していきます。
また、最近増えている「仲介手数料無料」を掲げる会社の仕組みと、仲介業者とうまく付き合うコツについてもまとめました。

1.仲介手数料の定義

本記事の「仲介手数料」とは、不動産売買の仲介業者(不動産会社)に支払う成功報酬を指すこととします。
個人が不動産を売却する時、物件の査定や物件の宣伝などは仲介業者に依頼するのが一般的です。仲介業者を通して物件の買い手が見つかり、売買が成立したという場合、仲介業者に成功報酬を支払う必要があります。この成功報酬が仲介手数料です。

仲介手数料はあくまで「成功報酬」なので、仲介業者は売買契約が成立しなければ仲介手数料を請求することはできません。万が一契約が取り消しになったり無効になったりした場合、仲介手数料を支払う必要はないのです。

また、仲介手数料の支払いは、契約締結時に50%、決算・引渡し時に残りの50%を支払うのが一般的です。

2.仲介手数料の計算方法

仲介手数料はいくらかかるのでしょうか?
※最後のまとめに早見表を設けていますので、すぐに具体的な金額目安が知りたい方はこちらを参照してください。

実は、仲介手数料の上限というのが国によって定められています。
参考:国土交通省告示「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」

2-1.仲介手数料の上限

仲介手数料の上限についてまとめると下の図、表のようになります。

売買価格(税抜き) 仲介手数料の上限
200万円以下の部分 売買価格(税抜き)×(5%+消費税)
[売買価格(税抜き)×5.4%]
200万円を超え400万円以下の部分 売買価格(税抜き)×(4%+消費税)
[売買価格(税抜き)×4.32%]
400万円を超える部分 売買価格(税抜き)×(3%+消費税)
[売買価格(税抜き)×3.24%]

tyuutezyougen

※売買価格は「税抜き」価格である点に注意してください。税抜き価格の算出方法は、「売買価格(税込)÷(1+消費税)」です。

あくまでこれは上限なので、この範囲内で仲介手数料をいくらに定めるかは仲介業者の自由です。

2-2.実際の計算

ここからは、税金も含む実際の数字を用いていくつかシミュレーションをしてみましょう。

ⅰ)売買価格(税抜き)180万円の場合
180万円で不動産を売却する場合、上記表の「200万円以下の部分」にあたるので、仲介手数料の上限は下記のようになります。

仲介手数料の上限=180万円×5.4%
=97,200円

ⅱ)売買価格(税抜き)320万円の場合
320万円で不動産を売却する場合、計算は二段階に分かれます。
320万円のうち、
① 200万円までの部分は上記表の「200万円以下の部分」として計算し、
② 200万円を超える残りの部分については上記表の「200万円を超え400万円以下の部分」として計算します。
よって、仲介手数料の上限は下記のようになります。

仲介手数料の上限=200万円×5.4%+(320万円-200万円)×4.32%
=108,000円+51,840円
=159,840円

ⅲ)売買価格(税抜き)500万円の場合
500万円で不動産を売却する場合、計算は三段階に分かれます。
500万円のうち、
① 200万円までの部分は上記表の「200万円以下の部分」として計算し、
② 200万円を超えて400万円までの部分(200万円分)は上記表の「200万円を超え400万円以下の部分」として計算し、
③ 400万円を超える残りの部分については、上記表の「400万円を超える部分」として計算します。
よって、仲介手数料の上限は下記のようになります。

仲介手数料の上限=200万円×5.4%+200万円×4.32%+(500万円-400万円)×3.24%
=108,000円+86,400円+32,400円
=226,800円

2-3.簡単な計算方法

ここまでで、仲介手数料の上限がどう定められているかはお分かりいただけたと思います。
ただ、売買価格(税抜き)が400万円を超えると計算が少し面倒だと感じる方も少なくないでしょう。
そこで、売買価格(税抜き)が400万円を超えた場合のみ使える、仲介手数料の簡単な計算式があります。それが下の計算式です。

仲介手数料の上限=[売買価格(税抜き)×3%+6万円]×消費税
※2016年4月現在、消費税は8%ですので、「消費税」の部分は「1.08」をいれて計算します。

例えば、売買価格1,000万円(税抜き)で計算した場合、仲介手数料の上限は下記のようになります。
仲介手数料の上限=[1,000万円×3%+6万円]×1.08%
=36万円×1.08%
=388,800円

※土地価格と建物価格は分けて計算する「土地+建物」をセットで売却する場合、「売買価格(税抜き)」の中には「土地価格」と「建物価格」の両方が含まれます。この「土地価格」と「建物価格」は、分けて計算する必要があります
というのも、土地と建物では消費税課税の仕組みが異なるのです。①土地について
まず、土地について消費税は非課税です。土地は「消費」されるものではなく資本移転の一種であると考えられるので、消費税は非課税とされています。②建物について
次に、建物についても、売主が個人であれば基本的に消費税は非課税です。ただ、その不動産が居住用の自宅(マイホーム)ではなく、投資用のマンションやテナントなどである場合、消費税の課税対象になります。

これらをまとめると、以下のようになります。
非課税:土地、個人がマイホームを売る場合の建物
課税:事業者が不動産を売る場合、個人が投資用不動産を売る場合

ここから、実際の例を考えてみましょう。
投資用不動産を売却して査定を受けたら、「土地+建物」で6,200万円(税込)という査定を受けたとします。このうち土地価格が3,500万円、建物価格が2,700万円だった場合、「売買価格(税抜き)」はいくらになるでしょうか。また、この場合の仲介手数料の上限はいくらになるでしょうか。
まず、「売買価格(税抜き)」を計算します。
土地は非課税ですので、土地価格(税抜き)はそのまま3,500万円です。
今回は投資用不動産の売却ですので、建物価格には消費税が含まれています。よって、建物の税抜き価格を計算する必要があります。これは、「2,700万円÷1.08=2,500万円」です。
以上から、売買価格(税抜き)は「3,500万円+2,500万円=6,000万円」となります。

次に、仲介手数料の上限を計算します。
先ほど紹介した「仲介手数料の上限=[売買価格(税抜き)×3%+6万円]×消費税」の「売買価格(税抜き)」に6,000万円を代入します。
よって、
仲介手数料の上限=[6,000万円×3%+6万円]×1.08
=186万円×1.08
=334万8,000円
となります。

このように、「土地+建物」をセットで売却する場合、「売買価格(税抜き)」を計算するために一度「土地価格」と「建物価格」を分けて計算する必要があるのです。

2-4.仲介手数料の相場

ここまでで仲介手数料の上限の計算方法はお分かりいただけたと思います。
ただ、「上限がどれくらいかかるかは分かったけど、実際の仲介手数料の相場ってどれくらいなの?」という点が気になった方も多いでしょう。
これについては、仲介手数料の金額は仲介業者によってピンキリであり、一概に「相場はこれくらいです」と答えることはできません。上限額をしっかり請求してくる仲介業者もあれば、この後紹介するように「仲介手数料無料」という仲介業者もあります。ただ、多くの仲介業者は出来るだけ手数料で利益を上げたいと考えているので、これまで紹介した計算による上限額がそのまま相場と考えましょう。

そこで覚えておきたいのが、仲介手数料は値引き交渉することができる、ということです。先ほども説明した通り、仲介手数料の「上限」は国によって定められていますが、「下限」は定められていません。なので、仲介手数料の見積もりを出してもらって「少し高いな」と感じたら、思い切って値切りの交渉をしてみるのも良いでしょう。

3.「仲介手数料無料」のカラクリ

最近では、「仲介手数料無料」という仲介業者も出てきました。国が定めているのは仲介手数料の「上限」だけですので、減らす分には一向に構わないのです。よって、「仲介手数料無料」も問題なしということになります。

ところが、「無料」といわれると「何か裏があるのでは?」と疑ってしまいますよね。仲介業者は仲介手数料で利益を得るしかないのに、それを「無料」にしてしまったら利益を得ることはできません。「仲介手数料無料」を掲げる仲介業者は、この点どうなっているのでしょうか。
そこでここからは、「仲介手数料無料」のカラクリについて解説していきます。

3-1.「仲介手数料無料」となる場合

仲介手数料無料となることが多いのは、1つの仲介業者が売主と買主の双方を仲介している場合です。この場合、本来仲介業者は売主と買主の双方から仲介手数料を受け取ることができます。

ところが、ここで売主か買主のどちらかからのみ仲介手数料を受け取るようにし、もう一方の仲介手数料を無料とするのです。こうすることで、一方から仲介手数料を受け取ることで利益を得ながら、もう一方の仲介手数料を無料にすることで他社との差別化を図ることができます。

「仲介手数料無料」は、このような戦略の元に行われていることが多いのです。

3-2.「仲介手数料無料」が実現する理由

ここまでで「仲介手数料無料」の裏にある企業戦略は理解していただけたと思います。
ですが、そもそも物理的にどうして「仲介手数料無料」ということが可能になるのか気になりませんか?
「仲介手数料無料」が可能になるのは、以下のような理由があるのです。

①広告費の削減
「仲介手数料無料」を実現する方法の一つとして、広告費を削減する方法があります。
具体的には、新聞の折り込みチラシでの広告(これには多大な経費がかかります)をやめ、インターネットでの広告に特化するなどしているようです。
このようにして広告費を削減することで、その分を「仲介手数料無料」というサービスに回しているのです。

②人件費の削減
次に、人件費を削減する方法があります。
例えば、新築物件のオープンハウスに1日営業マンを立たせておくだけでも人件費が発生します。また、ひたすら勧誘の電話をかけるといった営業をした場合も、それだけの人員と人件費を要することになります。
こうした人件費のかかる営業スタイルを見直し、より効率的な営業スタイルに変えることで、人件費を削減することができます。その分を「仲介手数料無料」というサービスに回しているのです。

③実店舗を持たない
また最近では、実店舗を持たず、インターネット上でほとんどの手続きを完結させてしまうような会社も出てきています。こうすることで経費を浮かせれば、「仲介手数料無料」を実現することが可能です。実際に実店舗を持たずに活動している会社には、「仲介手数料無料」を売りにしている会社が多いようです。

4.不動産会社とうまく付き合うために

ここからは、不動産売却時に仲介業者とうまく付き合っていくために知っておきたい知識について解説していきます。

4-1.仲介業者の仕事内容

まず、仲介業者は具体的にどんなことをしてくれるのか、仲介業者の仕事内容について知りましょう。具体的には、以下のようなことをしてくれます。

・物件を査定し、売買価格を提案
・物件の広告宣伝資料を作成
・実際に物件を広告宣伝
・売主の状況に合わせて物件の販売プランを提案
・買い取り希望者に物件の下見・現地案内
・売買契約書などの書類作成
・決済の対応
など

4-2.両手仲介と片手仲介

不動産売買の仲介方法としては、以下の2つのケースが考えられます。

・売主と買主が同じ仲介業者に依頼するケース
…1つの仲介業者が売主と買主の両方を仲介(両手仲介
・売主と買主がそれぞれ別の仲介業者に依頼するケース
…2つの仲介業者が売主と買主それぞれを仲介(片手仲介

以下、それぞれについて解説します。

①両手仲介
両手仲介は、1つの仲介業者が売主と買主の両方を仲介するケースです。
両手仲介の場合、仲介業者は売主・買主の両方から仲介手数料を得ることができます。よって、単純計算で売主か買主一方を仲介する場合の2倍仲介手数料を得ることができます。

ryoutetyukai2

上で紹介した「仲介手数料無料」となる場合というのは、この両手仲介の場合のことです。

②片手仲介
片手仲介は、2つの仲介業者が売主と買主それぞれを仲介するケースです。
片手仲介の場合、1つの仲介業者は売主か買主どちらか一方からしか仲介手数料を得ることはできません。よって、単純計算で両手仲介の場合の2分の1しか仲介手数料を得ることができません。

katatetyukai2

4-3.3種類の媒介契約

仲介業者に不動産売却を依頼する場合、売主と仲介業者で媒介(仲介)契約を締結します。この媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。
以下、それぞれについて解説します。

①専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、
㋐売主が他の仲介業者に重ねて仲介を依頼することができなくなると同時に、
㋑売主は媒介契約を結んだ仲介業者が紹介する買主以外とは取引ができなくなる
タイプの媒介契約です。

専属専任媒介契約のメリットは、仲介業者の積極的な努力が期待できることです。専属専任媒介契約を結んだ仲介業者には、媒介契約締結の日から5営業日以内に不動産指定流通機構(※)に情報登録する、1週間に1度以上売主に業務状況の報告をする、などの義務が課されます。これらによって、仲介業者の積極的な努力が期待できるのです。
※「不動産指定流通機構(通称レインズ)」とは、宅地建物取引業法に基づき国土交通大臣が指定した不動産流通機構で、不動産情報の交換業務等をおこなっています。

専属専任媒介契約のデメリットは、売主の自由度が低くなることです。一度専属専任媒介契約を結んでしまうと、もうその仲介業者に任せるしかなくなってしまいます。

②専任媒介契約
専任媒介契約は、売主が他の仲介業者に重ねて仲介を依頼することができなくなるタイプの媒介契約です。ただ、専属専任媒介契約と異なり、売主は媒介契約を結んだ仲介業者が紹介する買主以外でも、自分で見つけた買主となら取引することが可能です。

専任媒介契約のメリットは、専属専任媒介契約ほどではないにしろ、仲介業者の積極的な努力が期待できることです。専任媒介契約を結んだ仲介業者には、媒介契約締結の日から7営業日以内に不動産指定流通機構に情報登録する、2週間に1度以上売主に業務状況の報告をする、などの義務が課されます。これらによって、仲介業者の積極的な努力が期待できるのです。

専任媒介契約のデメリットは、専属専任媒介契約と同じく売主の自由度が低くなることです。ただ、売主は自分で買主をみつけて取引するという余地は残ります。

③一般媒介契約
一般媒介契約は、売主が複数の仲介業者に重ねて仲介を依頼することができるタイプの媒介契約です。自分で見つけた買主と取引することも可能です。

一般媒介契約のメリットは、売主の自由度が高いこととです。これまで紹介した2つの媒介契約のような制限がありませんので、その分売主の自由度は高いです。

一般媒介契約のデメリットは、仲介業者の積極的な努力が上記2つの媒介契約ほどは期待できないことです。一般媒介契約の場合、上記2つの媒介契約であったような仲介業者への義務は発生しません。

以上3つのタイプの媒介契約について、それぞれのメリットとデメリットを比較すると下の表のようになります。

メリット デメリット
専属専任媒介契約 仲介業者の積極的努力が期待できる 売主の自由度低い
専任媒介契約 仲介業者の積極的努力が期待できる(専属専任媒介ほどではない) 売主の自由度低い(専属専任媒介ほどではない)
一般媒介契約 売主の自由度高い 上記2つほどは仲介業者の積極的努力が期待できない

4-4.仲介業者選びのポイント

最後に、仲介業者を選ぶときのポイントを紹介します。不動産売却でしっかり利益を出すためには、きちんとした仲介業者を選ぶことがとても重要なのです。
仲介業者選びのポイントは、以下の通りです。

・複数の会社に査定してもらう
・査定結果の理由を聞いてみる
・過去の実績を聞いてみる
・具体的な販売戦略を聞いてみる

まず気を付けたいのが、仲介業者を選ぶ際は必ず複数の会社に物件の査定をしてもらってから決めるということです。物件の査定結果は、業者によって差が出る(場合によっては1,000万円近くも差が出る)ものですので、必ず複数の業者に査定をお願いするようにしましょう。大手の業者が必ずしも良いということではないので、会社の規模関係なく様々な業者を吟味しましょう。

査定をしてもらったら、上に挙げたような質問を投げかけてみましょう。これらの質問に対し、素人にも分かるように、具体的かつ明確な回答をしてくれる業者は、「良い」業者だといえます。面倒くさがらずに業者の人としっかり話をし、自分がどの仲介業者に依頼するのか、慎重に選ぶようにしましょう。

5.まとめ

不動産売却時にかかる仲介手数料や不動産仲介業者について書きましたがいかがでしたか?
この記事のまとめとして、不動産仲介手数料上限額の早見表を載せておきますので、是非参考にしてください。

*仲介手数料上限額早見表
物件価格(税抜) 仲介手数料の上限(税込)
200万円の物件 108,000円
400万円の物件 172,800円
500万円の物件 226,800円
1,000万円の物件 388,800円
1,500万円の物件 550,800円
2,000万円の物件 712,800円
2,500万円の物件 874,800円
3,000万円の物件 1,036,800円
3,500万円の物件 1,198,800円
4,000万円の物件 1,360,800円
4,500万円の物件 1,522,800円
5,000万円の物件 1,684,800円
6,000万円の物件 2,008,800円
7,000万円の物件 2,332,800円
8,000万円の物件 2,656,800円
9,000万円の物件 2,980,800円
1億円の物件 3,304,800円
3億円の物件 9,785,800円
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket