「準富裕層」と呼ばれる人たちがいます。
本人たちは「自分がそうだ」と意識はしていませし、外見それとはわかりませんが、割合では100世帯のうち6世帯だけの「お金持ち」です。
「準富裕層とはどんな人たちか? 割合はどのくらい?」
「準富裕層のなり方は? 年収は?」
「どんな暮らしをしている?」
「準富裕層になったらリタイヤできるか?」
向上心のひとつの目標ともされる「富裕層」なのですが、実態はよくわかりませんし、分からなければ目指しようもありません。気になるところですね?
今回は「準富裕層」と題して解説します。準富裕層の状況を通じて、目指すべき方法を考える材料になればと思います。。
目次
1.準富裕層とは
「準富裕層」は、野村総研が国内総世帯を5つにマーケット分類したうちの、3番目に資産額の多い階層をさします。
保有する純金融資産※が5,000万円以上1億円未満で、 全世帯のうち6%程度と言われています。職業は弁護士・公認会計士・税理士法人などの役員・外資系企業の経営幹部・金融機関やITおよび経営コンサルティング分野の専門家・キャリア10年以上の医師などが中心です。
退職金受け取り後の公務員共働き夫妻も含まれてくる場合があります。
激務のため「稼いだお金を使う暇がない」とか、「ストレス発散で散財して貯蓄がない」などと、やっかみ半分揶揄半分で言われることがありますが、仕事の方が充実しているのは疑いないところです。
※=預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いたもの
野村総研のマーケット分類、 準富裕層の位置づけは以下です。
マーケットの分類 | 保有純金融資産 | 世帯数 | 世帯割合 |
---|---|---|---|
超富裕層 | 5億円以上 | 8万4,000万世帯 | 0.2% |
富裕層 | 1億円以上5億円未満 | 118万3,000世帯 | 2.2% |
準富裕層 | 5,000万円以上1億円未満 | 322万2,000世帯 | 6.0% |
アッパーマス層 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 720万3,000世帯 | 13.4% |
マス層 | 3,000万円未満 | 4,203万1,000世帯 | 78.2% |
準富裕層を英語で"semi rich" "upper middle income class" 等と表現します。日本国内と海外で同じ基準での定義ではありません。また、日本は人口当たりの富裕層の割合がかなり高いといわれています。(3000万円以上の資産保有層が2割以上にもなります)
2.準富裕層の年収・生活
2-1.年収
上記の職種の中で、具体的には医師、弁護士、会計士、自営業、中小企業経営者、大企業の役員、外資系企業に勤務するエリートサラリーマンなどが現役での到達を果たしやすく、多くは年収1500万~2000万以上と言われます。
40代前後くらいで夫婦世帯収入2000万くらいになる家庭、特にDINKS=ディンクスと呼ばれる子供のいない世帯は家計に余裕があり資産が貯まりやすいため、準富裕層に行きやすくなっています。
2-2.生活
住居・自家用車・子どもの教育費にはお金をかけ、衣食には比較的つつましいケースが多いです。(50歳台以上は衣食も派手め)比較的同じ服を着て、カップラーメンが好きだという人もいます。自営以外の人は趣味に高額を費やすことも少ないようです。
お金をかけている住居・自家用車・教育費が負担となっていること、資産運用に熱心なこともあり貯金は得意ではないといわれます。また、ただ貯まったお金が放置状態で「使う時間、使いみちがない」ケースもあります。
最近きかれるワード 「子供部屋おじさん」の枠組みにいて、40代半ば・独身・実家住まいで堅実に老後資金を形成しているのですが、「財形貯蓄」や「企業型確定拠出年金」に投じていて、いま自由に使えるお金がないという人もいます。
不思議な現象ではありますがある意味、準富裕層の下=資産3000万円以上5000万円以下のアッパーマス層の方が、仕事にも日常生活にも余裕があるようです。何に幸せを感じるかはさまざまなので、暮らしの良しあしをいちがいに語ることはできないのですが。
3.準富裕層のなり方【サラリーマン・自営・投資】
3-1.職業などによるなり方
学歴・就職までの頑張りなどで、自然な流れの中で到達するケースでは、士業・会社経営者・エリートサラリーマン・高所得の共働き夫婦・親から資産を受け継いだ人などが、40代のうちに台頭し始めます。
近年サラリーマンに高給取りの人口が増え、ある程度の規模の企業で、一定以上の役職の年収1000万円超えるが増えたのに加え、特に外資系企業勤務の場合は、年収1000万円を超えて年収2000万円も早い!という状況にあります。
家業や親から資産を引き継ぐ人は、少子化が進んでいるため相続人の数も減少、一人で大きな資産を引き継ぐケースが増えているようです。相続資産としては、現預金だけでなく、株式、不動産なども多いようです。 相続税対策には十分な注力が必要になります。
3-2.投資によるなり方
資本ができた時点でみなさん投資を開始しますが、株式運用で年5%、REIT(不動産投資信託)で3~6%くらい、不動産経営で8~10%くらいの利回りとなります。
※投資方法別の利回り想定は、現状ざっくりと以下です。
REIT | 3~6% |
不動産経営 | 8~10% |
ヘッジファンド | 8~10% |
国内株 | 5%前後 |
米国株 | 7%前後 |
投資信託 | 3~6% |
外貨預金 | 0.2%(米ドル・現状) |
※検討時には個別に諸経費やリスクを勘案してください。
上記のように、利回りでは 不動産経営、ヘッジファンドがおすすめということになります。
不動産投資初心者を成功に導く基礎知識・初心者を成功に導く方法を紹介
どうやれば野村総研の規定した階層で上に上がれるか、お金の稼ぎ方・増やし方・生き方に至るまで、真剣に模索して、その過程で気づいたことや成果をブログに綴っている人がいます。検索してみると、同じ思いを持つ人には参考や励みになるかも知れません。
「週4時間」だけ働く。(ティモシー・フェリス著)
ニューリッチ層のなり方について書かれた本。投資には触れていませんが、生き方の充実を通じて合理的に富を得ていく方法を開帳しています。
4.準富裕層になったらリタイアできる?
結論としては、5000万円の資産では、完全に遊んで暮らすのは難しいです。田舎・トカイナカ移住で生活コストを下げる、贅沢をしない、セミリタイア=勤労収入を残す方法などが現実的です。
働かない暮らしというのも結構ストレスがかかることを思えば、好きなことに費やす、丁寧に仕事をする時間をつくれることに意味があるかも知れません。
前述した各投資方法の利回りでは、金融資産5,000万円を手をつけず運用したとして、運用で年250万円ほどの配当金受取、アパート経営でも400万円弱がせいぜいの利潤です。
当たり前ですが5,000万のうち、必ず生活費が割り込みます。さらに、年金の受取額も年々下がっていくことは明らかですね。
自分にとって後半生から老後はどんな暮らしが幸せか、何にお金を使いたいか、工夫をしながらよく検討をおこない、それに合った方法で資産を増やすこと、複数の方法に分散することが必要です。
5.「準富裕層」のまとめ
以上、「準富裕層」というテーマで解説をしました。準富裕層の概要・なり方など、理解をいただけたでしょうか?
コロナ禍が引き金となり、仕事や生活の新しい形を模索する動きが強くなっています。不況を新しいビジネスチャンス・投資指標にする人もいます。ここに挙げたような従来の方法以外の新しい方法で準富裕層に到達する人も増えてゆくことでしょう。
- 準富裕層はマーケット区分上位3番目の高所得者で、資産額3000万~5000万。
- 年収は1500万~2000万で、退職金で準富裕層到達のケースも。
- 資産運用は利回りでは不動産がおすすめ。専門家のアドバイスも参考に。
- 5000万の資産では、リタイアするには足りない。生活の工夫か仕事の継続を。