坪単価とは、建物を建てる際にかかる1坪あたりの建築費のことです。坪単価は、家を建てる時の建築費がいくらかかるかを算出する時の基準になります。
これから家を建てようという時、気になるのはやはりお金がどれくらいかかるかということではないでしょうか。だとすれば、家を建てる時には坪単価についてよく理解しておく必要があります。ハウスメーカーや工務店によって坪単価の計算が少しずつ違うことがありますので、なるべく安くマイホームを建てるには、きちんとそれぞれを比較できるようになっておく必要があるのです。
そこでこの記事では、坪単価の計算方法や、どのような事情が坪単価の計算に影響を与えるのかといったことを、1から丁寧に解説していきます。これを読めば、マイホームなど、家の建築をハウスメーカーや工務店に依頼する時、「坪単価」というものをどう見ればいいのかしっかり理解することができるようになるでしょう。
また、記事の最後では、有名ハウスメーカーの坪単価の相場を比較してみました。本格的にハウスメーカーや工務店を選ぶ段階でお役に立てれば幸いです。
なお、「坪単価」には土地1坪あたりの価格(地価)という意味もあります。こちらの意味の「坪単価」について知りたい方は、【保存版】土地評価額(土地価格)を調べる全ての方法に詳しい記載がありますので、そちらを参考にしてください。
目次
1.坪単価とは?
まず、坪単価とは何かという点から解説していきます。
1-1.計算方法
坪単価とは、建物を建てる際にかかる1坪たりの建築費のことをいいます。坪単価がいくらかは、以下の計算式で求めることができます。
例えば40坪の延床面積の家を2,000万円で建てた場合、坪単価は「2,000万円÷40坪=50万円」となります。
1-2.「建物の本体価格」はどうやって決まるか
上でご紹介した計算式における「建物の本体価格」とは何でしょうか。
実は、坪単価の計算における「建物の本体価格」の基準はハウスメーカーや工務店により異なります。
一般的に「建物の本体価格」は、住める状態にはならないあくまで建物本体のみの工事費で、屋外設備工事費などの「別途工事費」や各種税金などの「諸経費」などは含まれません。
ただ、ハウスメーカーや工務店によっては照明器具やカーテン、エアコンなどの室内設備まで「建物の本体価格」に含める場合があります。これを含めると大きく価格が変わってしまうので、気をつけましょう。
では、「別途工事費用」や「諸経費」としては、どのようなものがどれくらいかかるのでしょうか。以下、それぞれについて解説します。①別途工事費用
別途工事費用としては、
・地盤改良工事費用
・ガス水道電気の引き込み工事費用
・外構工事費用
・証明・カーテン工事費用
などがかかります。これらを合わせると、だいたい総予算の15%を占めるといわれています。②諸経費
諸経費としては、
・建築確認申請・検査などの手数料
・登記費用
・銀行ローンの手数料や保証料など
・地震・火災保険料
・引越し費用
・祭事費用(地鎮際、上棟式など)
などがかかります。これらを合わせると、だいたい総予算の15%を占めるといわれています。
1-3.「延床面積」とは何か
続いて、「延床面積」について解説していきます。
「延床面積」は建物の床面積ですが、ベランダ、小屋裏収納、地下室、玄関ポーチなどの部分は含みません。
ただ、工務店やハウスメーカーによっては「延床面積」ではなく「施工床面積」を用いるところもあります。「施工床面積」では、「延床面積」で含まなかった部分も含んで計算します。よって、坪単価は「施工床面積」で計算した方が安くなります。
ちなみに、延床面積が小さくなっても「建物の本体価格」がそれと比例して小さくなるわけではありませんので、一般的に延床面積が小さくなるほど坪単価は上がっていきます。
1-4.坪単価に影響を与える事情
坪単価の基準は工務店やハウスメーカーによって異なると書きましたが、ここからは坪単価に影響を与えうる事情をご紹介していきます。
1-4-1.地域
坪単価は地域によって異なります。
代表的な都道府県の坪単価の相場を比較してみると、以下のようになります(データは旧住宅金融国庫(今の住宅金融支援機構)による平成15年の調査のものです)。
都道府県 | 東京 | 神奈川 | 大阪 | 京都 | 愛知 | 福岡 | 宮城 | 北海道 |
坪単価 (万円/坪) | 73.5 | 70.3 | 67.8 | 65.0 | 59.7 | 55.5 | 56.3 | 52.5 |
参考:住宅金融支援機構
このように、坪単価は地域性も加味して考える必要があります。
1-4-2.仕様や設備のグレード
各工務店やハウスメーカーが定める標準仕様の設備をグレードアップすると、その分建物の本体価格も高くなり坪単価も高くなります。
1-4-3.家の形状
家の形状によって柱や壁の数が増えてしまうとその分基礎工事や屋根の形状も複雑になります。すると、工事費や材料費が増えて建物の本体価格が高くなり、結果的に坪単価も高くなってしまうということがあります。
2.建築費用をなるべく安くするコツ
ここまで坪単価について見てきましたが、できれば建築費用は安く済ませたいですよね。
そこでここからは、建築費用をなるべく安くするコツについてご紹介します。
2-1.複数社に見積もりを依頼する
工事を依頼するハウスメーカーや工務店を決めるにあたって、複数社から見積もりを出してもらってから決めましょう。
というのも、同じ仕様や設備でも、各ハウスメーカーや工務店により費用が異なるのです。そこで、同じ仕様や設備、希望予算で複数社に見積もりをしてもらってそれぞれを比較してからどこに工事を依頼するか決めた方が良いでしょう。
見積の依頼について、ハウジングバザールにて一括依頼することができますので、ぜひ利用してみてください。
2-2.仕様や設備のグレードにメリハリをつける
建物の中で特にこだわりたい部分がある場合、その部分にはお金をかけて良い仕様や設備にして他の部分については節約するなど、仕様や設備のグレードにメリハリをつけるようにしましょう。
2-3.複雑な形状の建物にしない
建物の形状について、建築費用のことを考えるとあまり複雑な形状にするのは望ましくないでしょう。
「複雑な形状」というのは、柱や壁を増やしてしまうような形状のことです。先ほども書きましたが、柱や壁が増えるだけ基礎工事や壁の形状が複雑になり建築費用がかかってしまいます。
2-5.水回りをできるだけ集中する
キッチン、バス、トイレ、洗面所などの水回りは、できるだけ集中させるようにしましょう。
水回りを集中させることで排水管の長さを短くすることができるので、材料費や建築費の節約になります。
3.坪単価でハウスメーカーを比較
具体的なハウスメーカーを決める際、坪単価がどれくらいかかるかは重要なポイントですよね。
そこでここからは、ハウスメーカーを坪単価でカテゴライズしてご紹介していきます。
以下、4つに分けてご紹介します。
①ローコストのハウスメーカー(坪単価:30~50万)
②木造中心のハウスメーカー(坪単価:51~65万円)
③大手のハウスメーカー(坪単価:66~75万円)
④高級路線のハウスメーカー(坪単価:66~75万円)
3-1.ローコストのハウスメーカー(坪単価:30~50万)
まず、坪単価が30~50万円の比較的ローコストなハウスメーカーをご紹介します。
覚えておきたいのは、ローコストな分建物に最低限の設備しかなく、自分の欲しい設備はオプションで別料金がかかる場合があるということです。オプション料金を合わせるとワンランク上のハウスメーカーで建てるのと変わらないということもあります。
よって、契約内容と契約仕様を事前にしっかり確認しておくようにしましょう。
ローコストのハウスメーカーは、以下のようなところです。
アイフルホーム
AERAHOME
アキュラホーム
クレバリーホーム
セルコホーム
タマホーム
富士住建
ヤマダ・エスバイエル
ヤマト住建
ヤマヒサ
ユニバーサルホーム
レオハウス
3-2.木造中心のハウスメーカー(坪単価:51~65万円)
ローコストのハウスメーカーの次に坪単価が安いのは、木造中心のハウスメーカーです。
ハウスメーカーによって設備に得意分野がありますので、事前にHPなどでしっかり各社の特徴を調べておくことをおすすめします。
木造中心のハウスメーカーは、以下のようなところです。
イシンホーム
イムラ
一条工務店
SALA住宅
サンヨーホームズ
住友不動産
セルコホーム
土屋ホームズ
東急ホームズ
日本ハウスHD
桧家住宅
フジ住宅
無添加住宅
ヤマダ・エスバイエル
ヤマヒサ
3-3.大手のハウスメーカー(坪単価:66~75万円)
大々的な広告をしているような大手のハウスメーカーは坪単価66~75万円の価格帯で競っています。大手のハウスメーカーになると、鉄骨系やRC構造、木造など工法もバラエティーに富んでいます。
大手ハウスメーカーの難点は、研究開発費や展示場運営費、宣伝広告費、下請け費用などの負担がかかってくることです。これらを合計すると負担は建築総費用の30%ほどかかります。
大手のハウスメーカーは以下のようなところです。
近鉄不動産
JPhome
住友林業
積水ハウス
大成建設
大和ハウス
トヨタホーム
パナホーム
ミサワホーム
三菱地所ホーム
無印良品の家
レスコハウス
3-4.高級路線のハウスメーカー(坪単価:66~75万円)
それぞれのブランドを確立しているような高級路線のハウスメーカーは、当然もっとも坪単価が高くなります。
希望の設備によっては坪単価75万円を超えることもありますので、相談してみましょう。
高級路線のハウスメーカーは、以下のようなところです。
4.まとめ
坪単価について書いてきましたがいかがでしたか。
この記事が、これから家を建てようとするすべての方の参考になれば幸いです。