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土地の贈与税はいくらかかる?税率や控除額など、計算方法まとめ

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土地を贈与しよう(または、贈与を受けよう)とお考えですか?

土地の贈与があった場合、贈与を受けた側が贈与税を支払うことになります。このとき気になるのが、贈与税がいくらかかるのかということですよね。
土地にかかる贈与税は不動産に関する税金ということで小さな額ではありませんので、できれば贈与を受ける前にいくらかかるか知っておきたいところではないでしょうか。贈与税がどれくらいかかるかによって贈与を受けるかどうか決めたい、という方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこの記事では、土地の贈与税がいくらかかるかについて、その計算方法を徹底的に解説します。この記事を読めば、贈与しよう(贈与を受けよう)としている土地にどれくらいの贈与税がかかるのかが、しっかりと計算できるようになります。

また、実は、一定の条件を満たした場合に、贈与税がかからずに土地の贈与を受けることが出来る場合があります。その点についても、この記事でしっかり解説していきます。

1.土地にかかる贈与税とは?

まず、土地にかかる贈与税とは何か、という点から確認していきましょう。

1-1.贈与税とは?

贈与税とは、個人から個人へと財産の贈与が行われた場合に、贈与の対象となった財産にかかる税金のことです。
土地もここでいうところの「財産」に含まれますので、土地を贈与したら贈与税がかかることになります。
贈与税は、贈与を受けた側が支払います。

1-2.贈与税の計算方法

贈与税の税額について、以下の計算式によって算出されます。

・贈与税額=課税価格×税率-控除額
・課税価格=贈与財産価額-110万円(基礎控除)

「課税価格」とは、贈与税額の計算の基準となる価格のことで、「贈与財産価額-110万円(基礎控除)」で算出されます。
「贈与財産価額」は、土地の場合は固定資産税評価額のことです。固定資産税評価額とは、国が定める固定資産税評価基準による評価額のことで、大まかな計算としては土地の時価の60~70%となります。
固定資産税評価額について、正確な求め方を知りたい方は【保存版】土地評価額(土地価格)を調べる全ての方法に詳しい記載がありますので、そちらを参考にしてください。

つまり、土地の固定資産税評価額が110万円(基礎控除)以下の場合、課税価格は0以下となりますので贈与税はかからないということになります。

1-3.税率と控除額について

贈与税の計算における税率と控除額は、課税価格(土地の固定資産税評価額から110万円を引いた額)に対応して決まります。
贈与税の税率と控除額を表にまとめると、以下のようになります。

1-3-1.通常の場合

基礎控除(110万円)を引いた土地の価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超
300万円以下
15%10万円
300万円超
400万円以下
20%25万円
400万円超
600万円以下
30%65万円
600万円超
1000万円以下
40%125万円
1000万円超
1500万円以下
45%175万円
1500万円超
3000万円以下
50%250万円
3000万円超55%400万円

1-3-2.20歳以上の人が直系尊属(祖父母、親など)から生前贈与を受ける場合の贈与税率

基礎控除(110万円)を引いた土地の価格税率控除額
200万円以下10%
200万円超
300万円以下
15%10万円
300万円超
400万円以下
400万円超
600万円以下
20%30万円
600万円超
1000万円以下
30%90万円
1000万円超
1500万円以下
40%190万円
1500万円超
3000万円以下
45%265万円
3000万円超
4500万円以下
50%415万円
4500万円超55%640万円
シミュレーション固定資産税評価額が2,000万円の土地を贈与する場合にかかる
贈与税額についてシミュレーションをしてみましょう。
基礎控除110万円を引いた土地の価格は、2000万円-110万円=1890万円となります。
贈与税率は(2)の表より45%、控除額は265万円となります。

以上より、かかる贈与税額は下記の計算になります。
(2000万円-110万円)×45%-265万円=585万5000円

2.どういう場合が「贈与」にあたる?

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかります。
「贈与」については、相続との違いは??土地を生前贈与する際に必要な全知識に詳しく書いてありますので、そちらを参考にしてください。

ちなみに、以下のような場合も「贈与」にあたるとされますので、注意が必要です。

①平均相場よりも著しく安い(または高い)価格で不動産を買い受けたとき
②不動産購入の借金を免除してもらったとき
③お金の受け渡しがないのに不動産の名義を変更したとき
④親族の名前を借りて不動産を取得したとき

3.贈与税がかからずに土地の名義変更を行う方法

ここまで贈与税額の計算についてみてきましたが、実は、贈与税がかからずに土地の名義変更を行う方法があります。
その方法は、贈与者と受贈者(贈与を受ける人)がそれぞれ以下の条件にあてはまる場合に使うことができます。

①生前贈与者が(する側)、生前贈与をした年の1月1日時点で60歳以上であること
②生前贈与の受贈者が(受ける側)、生前贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
子供か孫への生前贈与であること
参考:国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」

上記条件にあてはまる場合、
①暦年課税
②相続時精算課税
のいずれかを選択することになります。以下、それぞれの方法での贈与税がかからずに土地を贈与する方法についてご紹介します。

3-1.暦年課税

暦年課税は、上で紹介した110万円の基礎控除がある計算方法です。

・贈与税額=課税価格×税率-控除額
・課税価格=贈与財産価額-110万円(基礎控除)

この計算によれば、1年の贈与財産価格(土地の固定資産税評価額)が110万円以下であれば、贈与税はかからないことになります。
これを利用して、土地の固定資産税が110万円以下になるように数年にわたって分割して贈与する方法があります。こうすれば贈与税がかからずに土地を贈与することができます。

ただ、110万円以下になるように分割すると1年あたりの持分はとても小さくなり、土地を贈与が完了するのに何年もかかってしまう可能性があります。また、毎年書類を作成し登記を申請するとなると、手間と費用もかかってしまいます。
暦年課税を利用する場合は、自分の土地を分割で贈与するとどれくらいかかるのかをあらかじめ計算しておきましょう。

3-2.相続時精算課税

続いて、相続時精算課税を利用した場合について書きます。

3-2-1.相続時精算課税を利用するとどうなる?

相続時精算課税を利用した場合、暦年課税とは異なる計算方法になります。
相続時精算課税では、贈与者から贈与を受けた財産について、2500万円までは贈与時の贈与税が非課税になります
つまり、贈与を受けた土地の固定資産税評価額が2500万円以下の場合、贈与税は非課税となるのです。

贈与を受けた財産が2500万円を超えた場合、2500万円を超える部分に関しては20%の税率で贈与税が課税されます。

3-2-2.結局相続税で払うことにはなるが…

上記のように、相続時精算課税を利用すれば一定の場合は贈与税が非課税となります。
ただ、その後贈与者が亡くなったとき、その贈与財産の価格(土地の固定資産税評価額)とその他相続財産の価格を合わせて相続税額の中で計算します。これが「相続時精算」という意味です。

「なんだ、贈与税は非課税になっても後になって結局相続税として払うのか」と思われるかもしれません。

確かに、一時的に贈与税が非課税になっても結局あとで相続税として納めるなら、損得は変わらないように思えます。ただ、相続時精算課税を利用すれば土地の財産価格は贈与時の価格で計算されますので、贈与後に土地の価格が上昇しても相続税の計算に影響しないというメリットがあります。これにより、結果的に相続税の節税になるということがあるのです。

相続時精算課税を利用するときの注意点相続時精算課税制度を利用するときの注意点をあげておきます。
・土地価格が贈与後に下落した場合も土地価格は贈与時を基準に計算されるので、相続税額を通常より多く払ってしまう可能性もあります。よって、相時精算課税を利用する場合、土地の値の動きもよくみておいた方が良いでしょう。
・1度相続時精算課税制度の適用を受けてしまうと、その後暦年贈与を利用することはできなくなります。
・適用後は贈与額に関わらず申告が必要になります。
・孫に贈与した場合、相続時に相続税が2割加算される可能性があります。

4.まとめ

土地にかかる贈与税について書いてきましたがいかがでしたか。
この記事が、土地の贈与または受贈を検討中のすべての方の参考になれば幸いです。

  • この記事を書いた人
松崎サブロー

松崎サブロー

イエベストの編集長です。宅地建物取引士。不動産会社では不動産投資、不動産売却、不動産賃貸、不動産管理など幅広く担当。 不動産に関わる難しい知識を初心者にもわかりやすい正しい情報として提供することを心がけています。

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