アパート経営を始めたいと思ったとき、初めに気になるのが、「どれくらい資金が必要か?」ではないでしょうか?
アパート1棟を購入するのだから、それなりに大きな金額がかかりそうな気がしますよね。
実はアパート経営をはじめるには、物件価格の1~3割あれば足りるのです。例えば、2000万円の物件の経営を始める場合、最低200万円あれば始めることが可能ということになります。何故ならば、物件を購入する際にローンで融資を受けることが可能だからです。
この記事では、アパート経営を始める際にかかる資金の内訳と金額についてご紹介します。
さらに、一定の基準をクリアすれば、頭金0円で始められる場合もありますので、そちらについても紹介したいと思います。
アパート経営を始めることを検討している方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.アパート経営をはじめるために必要な費用とは?
アパート経営を始める方法には、以下の3つがあります。
①すでにあるアパート物件を購入して始める場合
②土地を購入し、アパートを建てて始める場合
③すでに持っている土地にアパートを建てて始める場合
それぞれに分けて見ていきます。
1-1.すでにあるアパート物件を購入して始める場合
①アパート物件購入費用、②諸費用の2つです。②諸費用は物件価格の10%ほどかかりますので、例えば2000万円のアパート物件を始めるのに必要な費用は、2000万円+200万円(2000万円×10%)で2200万円となります。②諸費用を具体的にあげると、以下の表のようになります。
項目 | 内容 |
税金 | 売買契約書に貼る印紙税 登録免許税 固定資産税・都市計画税精算金 不動産取得税(購入の翌年にかかる) |
司法書士に払うお金 (登記を司法書士に依頼した場合) | 登記依頼の費用 |
保険料 (保険に入った場合) | 火災保険料 地震保険料 賃貸住宅費用補償保険料 |
銀行に払うお金 (銀行から融資を受ける場合) | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙税 融資事務手数料 ローンの保証料 |
不動産仲介会社に払うお金 (不動産仲介会社を利用した場合) | 不動産仲介手数料 |
1-2.土地を購入し、アパートを建てて始める場合
この場合、始めるためにかかる費用は最も大きく、①土地購入費用、②建築費用、③諸費用の3つ掛かります。②建築費用を具体的にあげると以下の表のようになります(③諸費用については上の表を参考にしてください)。
項目 | 内容 |
本体工事費 | 本体工事費 設備費 など |
別途工事費 | 屋外電気・給排水・ガス工事などの工事費 |
付帯工事費 | 外構(駐車場設備など)工事費 地盤改良工事費 太陽光発電システム設置工事費 など |
1-3.すでに持っている土地にアパートを建てて始める場合
いわゆる土地活用ですね。かかる費用は、①建築費用、②諸費用の2つです。それぞれの具体的な項目はこれまでの表を参考にしてください。
1-4.アパート経営を始めるための資金をどうやって用意するか?
さて、アパート経営を始めるためにかかる費用について説明しましたが、これらをすべて一括で払うとなると大変です。
これらをまとめて払えるくらいの貯金のある場合は別ですが、多くの場合ローンを利用し、融資を受けて支払うことになります。そして、入居者からの家賃収入の中から少しずつローンを返済していくのです。
では、実際にどのようなローンを利用すれば良くて、自己資金はいくら用意すればいいのでしょうか?これより先は、アパート経営におけるローンについて説明していきます。
2.ローンを利用して資金調達する
ここからは、アパート経営を始める時の資金について、どういったローンが利用できるのか、ローンを利用した場合自己資金はいくら必要なのか、ローンを利用するにあたっておさえておきたい知識、を説明していきたいと思います。
2-1.ローンの種類
アパート経営を始めるにあたって利用できるローンには、大きく分けてアパートローンと住宅ローンの2つがあります。
アパートを投資用としてのみ経営するという場合はアパートローンを利用します。ただし、そのアパートを自分の居住用にも利用するという場合は住宅ローンを利用することもできます。
◎住宅ローンの利用アパートを自分の居住としても利用する場合、住宅ローンが利用できます。住宅ローンはアパートローンと比較して、審査や手続きが簡単、金融機関も積極的、減税を受けられる、といったメリットがあります。
2-2.どこで融資を受けられるのか?
アパート経営を始める時のローンは、民間金融機関と公的金融機関の両方で取り扱われています。
民間金融機関の例としては、一般の銀行や信託銀行、信用銀行、信用組合などです。公的金融機関の例としては、日本政策金融公庫、住宅金融支援機構、地方自治体などです。
両者の比較としては、「使いやすい民間ローン、融資条件の有利な公的ローン」という捉え方が一般的なようです。
2-3.自己資金はいくら必要なのか?
ローンを利用して融資を受ける場合、自己資金はいくら用意すれば良いのでしょうか?
この「自己資金」というのは、「頭金+諸費用」のことです。頭金とは、物件購入(または建築)費用からローン融資額を引いたもの、諸費用は1-3-1で表にして紹介した登録免許税や保険料などのことです。
2-3-1.融資をいくら受けられるか?
自己資金として必要な金額は、金融機関から受ける融資額によって決まります。
融資の金額は金融機関の査定にもよりますが、だいたい物件価格の70~100%といわれています。アパート物件の担保価値が高ければ高いほど多くの融資を受けることができるようです。これに加えて、諸費用は物件価格の10%前後が相場です。。
ということは、ローンを利用した場合、自己資金は物件価格の10~40%必要ということになります。
ちなみに、ここで「物件価格の100%、つまりフルローンが受けられる場合があるの?」と驚かれた方がいるかもしれません。これについては、後ほど詳しく説明します。
2-3-2.融資の評価・審査基準
できるだけ多く融資してもらえれば、その分自己資金は安く済みます。では、その融資額はどのように決定されるのでしょうか?
ローンの融資額は、金融機関が以下の点を審査することによって決定します。
①物件の担保力・収益力
②ローン対象者の属性・返済能力
①物件の担保力・収益力の審査では、具体的にはアパート物件の完成度、立地、などを見られます。
②ローン対象者の属性・返済能力の審査では、具体的にはローン対象者の肩書きは何か、家族構成はどうなっているか、安定した収入があるか、などを見られます。
アパートローンの場合は①と②の両方きっちり審査しますが、住宅ローンの場合は①はほとんど見られず、②を中心に審査します。
3.頭金0円で融資を受けられる住宅ローンについて
ここまでローンについて書いてきましたが、さきほど途中で触れたように、実はフルローンで融資を受け、頭金0円でアパート経営を始めることが可能になる場合があります。
「そんなことが本当に可能なの?」と驚かれるかもしれません。もちろん簡単ではないのですが、いくつかの基準を満たすとできる可能性があります。
ここで重要なのが、フルローンで融資を受けられる可能性があるのは、住宅ローンを利用する場合に限られるという点です。住宅ローンを利用する場合で、かつ、以下に紹介する3つの基準をクリアした場合、フルローンの融資を受けられる可能性があるのです。
3-1.住宅ローンにおける3つの基準
3-1-1.勤務先の基準
1つ目に、「勤務先が安定しているか」という基準があります。
公務員や一部上場の企業であれば条件はクリアしているといえるでしょう。そうでなくても、「安定している」と認められるような企業であれば問題はありません。ただ、自営業の場合は審査が厳しくなってしまうでしょう。
3-1-2.勤務年数の基準
2つ目に、「勤務年数はどれくらいか」という基準があります。一般的には、審査において勤務年数は「長ければ長いほど良い」とされています。ただ、最近では最短で1年以上勤務していれば住宅ローンを組んでくれる金融機関もあります。
3-1-3.年収の基準
3つ目に、「年収はどれくらいか」という基準があります。これについては、「高ければ高いほど良い」とされています。目安としては、年収400万円以上あれば問題ないようです。
3-2.住宅ローンが利用できない場合
実は、住宅ローンを利用しようと思っても利用できなくなってしまう場合があるので注意が必要です。具体的には、下記4つのような場合です。
3-2-1.すでに住宅ローンを利用して自宅を購入している場合
住宅ローンは1つしか持つことはできませんので、この場合はアパートのために住宅ローンを組むことはできません。
3-2-2.他に高額のローンを組んでいる場合
自動車を購入するためにオートローンを組んでいる、クレジットカードを沢山持っている、といった場合は住宅ローンを組めなくなることがあります。
3-2-3.過去に組んだローンで事故歴がある場合
過去に組んだローンで、滞納などの事故歴があると、住宅ローンを受けられない可能性があります。
3-2-4.自己破産している場合
自己破産している場合は、一定の年数を経ないと住宅ローンを組むことはできません。
3-3.補足
ここまで、頭金0円ではじめられる場合についてあげてきました。注意して欲しいのは、「これらの条件をクリアすれば必ず頭金0円ではじめられる」というわけではない点です、あくまで、これらの条件をクリアすれば頭金0円でもはじめられる可能性があるということです。
また、物件購入や建築についてフルローンを受けられても、諸費用は自分で用意する必要があります。一般的に、諸費用は物件価格の10%前後かかるといわれています。これらについてはローンに含まれませんので自分で用意する必要があります。
3-4.頭金0円で始める場合の注意点
最後に、頭金0円で始めた場合の注意点を説明したいと思います。それは「負債が多くなる」という点です。
ローンは返済しなければならないものなので、多く組めばその分返さなければならない負債も多くなるのです。フルローンで組んだ場合は、負債が最も多い状態です。
頭金0円で始められるということは、その分実際のアパート経営で返済していかないといけない金額が多いということです。頭金0円でのアパート経営に挑戦する場合は、この点だけは注意しておきましょう。
4.まとめ
アパート経営と資金についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
まずはどういう形でアパート経営をはじめるか(投資用としてのみアパートを利用するのか、自分の居住としても利用するのか)を検討した上で、物件の価格を調べることが第一歩だと思います。
この記事が、アパート経営を検討している方の参考になれば幸いです。