車を持つうえで欠かせない「車庫証明」ですが、賃貸物件に住む場合、必要なものなのでしょうか?何となく「必要なの?」「ちゃんと取れるんだろうか?」という気にもなります。
「アパート住まいで車庫証明は必要?」
「車庫証明とはそもそも何?」
「アパートでの取得の方法は?」
「代行を依頼できる?」
「大家さんや管理会社に頼むこととは?」
賃貸物件に住み、借りる駐車場にも車庫証明は必要になります。持ち家とは違った書類が必要になる点も要注意です。
今回は「車庫証明 アパート」についてのお話をします。厄介ですが大事な手続きのひとつなので、ぜひ参考にしてください。
目次
1.アパートに車庫証明は必要?
1-1.アパートで車庫証明が必要な理由
新車・中古車問わず新しく車を入手した時に、車庫証明がないと車検証が発行されないため、その車は乗れない決まりになっています。
仮に車検の残った車を譲り受けた場合でも、「その場所の登録がない」車がいつも同じ場所に停めておる場合、警察にチェックされ確認を受ける場合があるのです。
つまり車庫証明は「車について回るもの」なので、駐車場や住まいが賃貸か自己所有に関係なく、車を持つ場合は車庫証明が必要となるわけです。
1-2.車庫証明とは?【目的】
※Aはディーラー資料か旧車検証から転記。Dは記入不要。
出典:suumo
車庫証明とは、正式名称は「自動車保管場所証明書」(軽自動車の場合は自動車保管場所届出書)といい、車1台1台に必ず「その車を置いておく住所」を決める必要があることから、その登録を行う制度です。
軽自動車に関しては、各都道府県の自治体が管理するため、地域によって軽自動車は車庫証明が必要になる場合・不要な場合に分かれます。基本的に以下の3つの条件にあてはまる場合は、車庫証明が必要です。
- 各都道府県の県庁所在地
- 人口10万人以上の市町村
- 都心部(東京や大阪など)から30km圏内の市町村
※車庫証明が必要な地域は具体的に下記でご参照ください
軽自動車の車庫届出義務適用地域
1-3.車庫証明逃れ(車庫飛ばし)をすると?
車庫証明逃れのことを「車庫飛ばし」と言います。車庫飛ばしの目的は目的は分類するとおおよそ以下なのですが、相応の罰則が科せられます。
都心部で登録しつつ、実際には郊外に駐車して駐車場代を安く済ませるため | 都心部の月極駐車場は駐車代が高いため、都内で登録しているように見せかけて、都心部から少し離れた郊外に駐車するケース。 実家に車庫があるので、車を購入の際に一時的に住民票を実家に移して登録、車庫証明を取得するが、実際は別の場所で車を使用するケース。 |
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都内で登録できないディーゼルエンジン搭載車を所有するため | 黒煙や排ガスの問題で、平成15年10月から東京都を中心に、排ガス規制に適合しないディーゼルエンジン車の運行・登録ができなくなった。 この規制逃れのため、規制対象の地域にあるトラック保有事業者が、規制対象地域外の場所に「名義上の住所を移したようにした」車庫証明を取得し、実際は規制対象のトラックを保有するという悪質なケース。 その他、規制対象となっているディーゼルエンジンを搭載する車両、たとえば旧式のSUV車などのファンがこれらの車両を所有するための行為。 ※近年のクリーンディーゼルエンジンは規制をクリアしており、対象外。 |
ほかの自治体のナンバーを取得するために居住地域を偽装 | かつて品川ナンバーを持つことがステータスという風潮があった時期、違法な車庫飛ばしによって品川ナンバーを取得していたケースと同様の例。 あこがれのご当地ナンバーが欲しいために、車を購入した時だけ一時的に住民票(例えば品川在住の知り合いなど)を該当地に移し、その近場で借りた駐車場で車庫証明を取得するケース。 これはその後、車が納車される→駐車場を解約する→住民票を戻すという流れ・手口で使用場所を変更する。 |
ついうっかりのケース | 引っ越しや単身赴任の後でうっかり手続きを忘れてしまった...という場合。 住民票の住所(自宅、実家など)とは異なる住所を拠点にして自動車を使用する場合は、実際に住んでいることを証明できる書面(電気・水道・ガスなどの住所が記載された領収書や消印のある郵便物など)を管轄の警察署に持参し、車庫証明を申請する。 知人や親戚が本拠の位置ではなく別の地域で住んでいて、そこの駐車場に余裕がある場合は、そこで一時的に車庫証明を取得し、実際は自宅周辺の駐車場に停めて車両を使用するケース。これも違反になる可能性があるので注意。 |
「ついうっかり」「手続きを忘れていただけ」の場合でも、当然に車庫法違反として取り締まりの対象になるので注意しましょう。 不届が発覚した場合は10万円以下の罰則が課せられます。
なお、引っ越しの際は 15日以内に車庫証明の住所変更をする必要があり、15日を超えないように事前に準備が必要です。
※その他、車庫証明に関する違反は、下記のような罰則が定められています。
違反内容・罪名 | 罰則 |
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虚偽の保管場所証明申請 | 20万円以下の罰金 |
保管場所の不届け、虚偽届出 | 10万円以下の罰金 |
道路の車庫代わり使用 | 3ヶ月以下の懲役又は20万円以下の罰金 違反点数は3点 |
道路における長時間駐車 | 20万円以下の罰金 違反点数は2点 |
2.車庫証明とは?【書き方・取得方法・費用】
賃貸物件の車庫証明も代行依頼せず「なるべく自分で」動いた方が、費用は安く上げることができます。では、どのような準備や手続きが必要になるのでしょうか?
2-1.車庫証明の取得手順
取得の手順は以下の流れです。
- 保管場所使用承諾証明書の用意
- 自動車保管場所証明申請書、保管場所標章交付申請書に必要事項を記入
- 保管場所の所在図・配置図の作成
- 管轄の警察署へ提出
- 担当警察官が実際に場所を確認後、再度、期日内に管轄警察署で手続き
普通自動車の場合は、車庫証明の交付(再度警察署に出向いて受け取る)までに3~7日かかります。しかし、軽自動車の場合は届け出のみなので、その場で手続きが完了します。
届け出の際、保管場所標章番号通知書と保管場所標章(ステッカー)が交付されるので、車にステッカーを貼り付けることを忘れないようにしましょう。
※車庫証明ステッカー
出典:チューリッヒ保険
保管場所の所在図・配置図は基本、手書き地図で位置を示します。何とアナログなことに手書きが主流です。地図のコピー貼付でもいいとなっていますが、道路幅員や接道間口など、必要な寸法は、計測の上で手書き記入が必要です。
出典:suumo
警察署に申請してから発行までに日数がかかる理由は、これも未だにアナログな話なのですが、「実際にその場所にその車があるか」警察官が見に行くためです。
つまり、上図は警察の人が現場を確認するためのものなのです。
2-2.車庫証明の取得費用
車庫証明関連の費用は、都道府県や車種、アパートの不動産管理会社によって違いが出ますが、以下が相場です。
取得手数料 | 都道府県によって違うが、普通自動車で2,500~2,750円ほど、軽自動車で500~600円ほどとなる。 |
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手続き代行料 | 買い替えなどで車を購入する場合は、販売店で手続きを代行依頼ができるが、その場合にはさらに代行手数料もかかる。販売店によって金額に差があり、12,000円~20,000円くらいが相場。 「自分でやる」と言っても、販売パッケージに入っていて抜けない場合あり。 |
保管場所使用承諾証明書を記入してもらうための手数料 | 賃貸の駐車場を届け出る場合には、大家や管理会社に保管場所使用承諾証明書を記入してもらうための手数料が必要。費用は3,000~25,000円くらいが相場。 (駐車場を借りる時に交わした契約書のコピーでも代用可能な場合がある。) |
※車庫証明の書き方見本と申請方法をプロが解説【普通車・軽自動車】
3.アパートの車庫証明書を不動産会社へ代行依頼する場合の費用
アパートなどの賃貸物件の場合、駐車場も賃貸となる場合が多いため、駐車場の持ち主の「そこで車庫証明を取っていいですよ」という承諾= 自動車保管場所使用承諾証明書をもらう必要があります。
様式は以下の通りで、書類のEの部分を、駐車場の所有者に記入してもらう必要があります。
出典:suumo
承諾証明書は不動産管理会社を通じて申し込む場合がほとんどです。手数料が発生し、金額は3,000円~25,000円くらいと開きがあります。(申請書も含む車庫証明の書類作成全てが対象の場合もまれにあります。範囲は要確認です。)
金額は賃貸借契約の際に、事前に確認しておくのが良いです。
この承諾証明書は、不動産管理会社と駐車場を借りる時に交わした契約書のコピーでも代用可能な場合があります(所轄警察署によって異なる)。契約書のコピーならコピー代の数十円で済み、安上がりです。
契約書のコピーを用いる場合、契約内容に駐車場の位置、住所、枠番、貸主、借主の名前が明記してある必要があります。
大東建託やミニミニ(中部地方のみ対象)など大手の賃貸管理会社は、ネット上で専用の車庫証明申請フォームがあり、そこから自動車保管場所使用承諾証明書の申し込みを行う場合があります。手数料はミニミニの場合2000円、大東建託は非公開となっています。
※こちらの記事もぜひ参考にしてください。
まずはこれだけ確認しよう!賃貸物件の探し方を紹介します。
4. 「車庫証明 アパート」についてのまとめ
以上、「車庫証明 アパート」というテーマでのお話をしました。賃貸物件の車庫証明取得については、理解を頂けたでしょうか。
まず印象に残るのは、「代行や承諾書の手数料、高いなあ」ではないでしょうか?
誰かに手続きを依頼して、手間賃がタダというのはあり得ないのですが、車の販売店や不動産管理会社が、手数料も収益の一部で多めに計算していたり、なんだかうやむやに徴収するという時がなくはありません。
事前に早い段階で手数料を確認したうえで「安くなりませんか?」「自分でやれませんか?」と持ち掛けるのが良いと思います。最近では少なくなりましたが「大家さんにじかに書いてもらってください」という場合もあります。
そのうえで納得いかない、折り合わない場合、「ではよそにお願いするようにします」もアリです。
賃貸物件でも引っ越しの際は様々な手続きの手間がかかり、物件探しや引っ越しに疲れて、やっとほっとしている間もなく、あれこれ考えて動かねばなりません。
大変ではありますが、ライフライン・家財保険・保証会社加入の手続きなど、手を抜くといざという時に自分の不利益になったり、オーナー・不動産管理会社に迷惑を掛けたりすることがありうるので、すぐに書類提出・支払いを行うのが安心です。
たとえば保険手続き前に、慣れない火元でボヤでも起こしてしまったら、自費での負担が大幅に増え、大家さんにも損害を与えることになります。
手続きは必要事項を不動産管理会社に確認してリストをもらうなりリストアップの上、一気に片付けるようにしましょう!
- アパート住まいでも車庫証明の取得は必要。駐車場貸主の「自動車保管場所使用承諾証明書」記入をもらう必要がある。
- 車庫証明は、車を所有する上で必ず必要な保管場所登録。警察署に発行申請し、車に登録票のステッカーを貼る。
- アパートなどの賃貸物件の場合、駐車スペースの所有者の署名が入った自動車保管場所使用承諾証明書を添付する必要がある。
- 保管場所使用承諾証明書は、管理会社に手数料を支払って依頼するか、駐車場賃貸の契約書のコピーを提出するのが一般的。