経験のない人にとっては「家賃収入」という言葉は、なかなか魅力的に響きますね?大きな稼働なく不労所得を生んでくれる、魔法の投資のようなイメージでしょうか?
確かに家賃収入は魅力的な副収入です。しかしその性質は、 「副業」とも「投資」とも言える独特のもので、成功するためにはそこを良く知る必要があります。
今回は「家賃収入」についてのお話をします。他の投資とは違う魅力のある家賃収入の世界を覗いてみてください。
目次
1.家賃収入を得るには?
家賃収入を得る仕組みを作ることは、副業ではなく副収入として始められて、投資として考えても10%以上も可能と、利回りも高いです。
1-1.家賃収入とは?
アパートやマンションといった賃貸物件の入居者から受け取る家賃をいいます。
賃貸物件は居住用と事業用=テナントに分けられます。経費や税金を支払って、残った額が収入となります。
収入と経費をもう少し細かくご紹介します。
収入 | ・家賃 | 敷金は含まない(返還義務) |
---|---|---|
・礼金 | 近年は広告費財源のため、収入にならないことが多い。 | |
・更新料 | なしとする場合も多い(管理会社の事務手数料は実費発生) | |
・管理費 | 共有部分の電気代他維持費用等に充当。なしの場合もあり。 | |
・駐車場 | 家賃に含む場合もあり。 | |
・アンテナ基地設置料金 | 携帯電話など。 | |
・自販機の設置による収入 | 自販機業者からの収入。 | |
・光回線利用費用 | 業者支払い分にいくぶん上乗せで徴収。家賃に含む場合もあり。 | |
経費 | ・修繕費 | 水道・電気・ガスなど経年劣化に伴う修理代金。 |
・管理費と修繕積立金 | マンション区分所有の場合、大家持ち。 | |
・管理委託費 | 不動産管理会社へ支払い。家賃収納代行・修繕手配・トラブル仲裁など。 | |
・ローン金利 | 物件のローン支払いのうち金利部分。 | |
・減価償却費 | 建物の減価償却費。計算式あり。 | |
・広告費 | 空室客付けの成功報酬。仲介会社へ。 | |
・不動産取得税や固定資産税 | 租税公課と呼ぶ。取得税は初年と売却時 | |
・貸倒金 | 家賃等の滞納分で回収できなかった額。 |
このようにお金の出入りはそれなりにありますが、慣れてしまえばとくに複雑なものではありません。
1-2.家賃収入を得るまで
「大家さん」になるまでには、以下のプロセスを経ます。
以下はもっとも複雑な例で、賃貸中の物件を1棟買いした場合などは、もう少しシンプルに始まります。
物件入手 | 利回り・立地・予算・専門家のアドバイス等から購入物件決定。 「手付」「契約」「残金決済」を経て名義変更=物件オーナーに。 |
---|---|
リフォーム | 入居率アップ、耐用年数を増すなどのために行う。 外観・外構・空室のリフォーム・給湯や水回りなど設備更新を行っておく。 |
管理会社決定 | 客付けを依頼した業者の中から契約を結ぶ場合が多い。 |
募集 | 空室の客付けを業者に依頼。suumo,atHomeなどに掲載される。 |
入居 | 賃借人の決定。審査を経て契約(管理会社が行う) |
入金 | 最初の家賃が入金される。前月前払いが原則のため、契約時に預かる。 |
賃貸経営は不労所得ともいわれながら事業でもあり、それに応じてメリットもデメリットも多くあります。次はそれを見ていきましょう。
2.家賃収入のメリット【副業・利回り】
2-1.不労所得
家賃収入を得ていくのは、比較的日常業務の負担が少ないのは確かです。
賃料の5%程度の管理費で、不動産業者に物件管理・入居者対応・募集計画など仕事の大部分を委託できるため、普段は何事もなく家賃が振り込まれている感じです。
2-2.投資として効果的
投資の一環と考えれば、コロナ不況のさなか、 利回りは非常に高い部類に入り、とくに郊外物件は値上がりを続けています。
取得時に値上がりは困りますが、この家余りの時代に、値上がりは価値が高い証拠です。
元本割れに類するリスクはあり得ますが、諸条件が厳しくなっても、賃料を下げることで入居はしてもらえることがほとんどです。意外と大きいのは最悪天変地異などでも「価値がゼロにはならない」ことです。
2-3.大家として働ける
自分の物件を通して社会貢献や、特徴づけによって特定の人に喜んでもらうような入居者募集のしかたも可能です。
商売としてリスクは回避しながら、高齢者の方への配慮や、「古いけど懐かしい・和む」など、物件に個性を出して募集し成功している大家さんがいます。
比較的資金の乏しい場合はDIYでリフォームや設備改修の一部を行うことも可能です。
最近は1室からなど、気軽に始められる物件も増えているため、サラリーマン大家さんの中には趣味と実益を兼ね、自分で修繕や原状回復をがんばる大家さんは多数います。
【DIY大家の不動産投資】畳にCF敷くだけ。笑
また、不動産貸付をする人は宅建士免許は基本的に不要なのですが、様々な局面で法令にのっとった動きが必要なため、専門知識を身につけるために宅建士を取得している人も多いです。
3.家賃収入のデメリット【リスク】
3-1.入金されない
空室が長引いたり、家賃不払いが起きると収支が悪化してローン返済が滞るなどの支障をきたす可能性があります。
とくに家賃の不払いは、賃借人が「居住権」で強く守られている関係上、退去に関して簡単に「出て行って!」といかない事情もあり、解決が長引きます。
保証会社の代位弁済を受けても足りないケース、不払いのまま失踪されて、一定期間部屋が「使えない」状況など、確率的には高くないものの、いつでも起こり得ます。
3-2.出費がかさむ場合がある
築古の物件や、欠陥物件を知らずに取得した場合、想定外の大規模修繕、たとえば上下水配管の交換や床の補強などの大出費が発生する可能性もあります。
これは事前に把握して置くことは難しく、購入時の契約適合責任も免責範囲となっている場合がほとんどでしょう。購入前によく調査しておくことが対策です。
3-3.思わぬ事故
居室内で誰かが亡くなる事故物件=心理的瑕疵物件化、火事や地震によって建物がなくなる場合があります。
とくに事故物件は昨今どんどん増えており、対策するのも困難な状況です。風評・部屋の汚損の原状回復・空室賃料の値下げ・周辺居室の退去・場合によっては埋葬費用の一部負担など、大変な損害となります。
「一刻も早く見つけてあげて、埋葬供養してあげる」対応はこれしかありません。
3-4.購入時に注意!
物件探索・購入の際に 「利回りが良く格安」「家賃保証します」などと、何か問題のある物件を売りぬいてしまう、口のうまい営業マンがいます。これには充分に気をつける必要がありますね。
悪質な場合、空室を入居者がいると偽装したり、物件の瑕疵を正しく伝えなかったり、家賃保証を履行しなかったり、詐欺まがいの売買も問題となりました。
物件購入の際のチェックポイントを十分把握したうえで、信頼のできる会社、担当者と付き合う必要があります。
4.家賃収入は副業でも得られる?【副収入・会社バレ】
実は以下のように 家賃収入は一定規模までなら副業扱いとはならないのが実情です(勤務する会社により違いはあります)
4-1.副業規定に引っかかる基準【職業大家】
大家業は相続由来も多く、日常業務が比較的少ないとみなされているため、一定規模=5棟などを越えなければ副収入でも副業とはみなされない場合がほとんどです。
・戸建てやアパート物件の独立家屋の所有数が5棟以上
・区分マンションなど独立的に区画された物件数が10室以上
・コインパーキングなど建築物の駐車場、または機械設備のある駐車場を所有
・駐車台数が10台以上の月極駐車場を所有
・年間家賃収入が500万円以上
駐車場関連は比較的基準が厳しいので注意しましょう。
4-2.会社バレしない方法
それでもいろいろな意味で会社にはあまり知られたくないのが人情でしょう。
確定申告をちゃんとすることで追徴課税のリスクを作らない、会社に税務調査が行かないようにすること、住民税は自分で払い、給与天引きにしないこと。それから、人の口に戸は立てられませんので大家業の話は周囲にむやみにしない、などが大切です。
マイナンバー制度によってすべての情報が会社につつぬけになることはありません。会社がマイナンバーを利用して情報を取得できる範囲は、厚生年金や源泉徴収の手続き等のみなので、不動産所得について税務署経由で伝わることは通常ないのです。
もしくは不動産投資という形で参入すれば、副業ではないので最も安心と言えるでしょう。
5.家賃収入の税金と経費とは?【確定申告】
年間売上20万円以上の家賃収入に所得税は課税され、確定申告が必要となります。前述のように経費は様々に認められます。(また、それだけ経費がかかるのも事実です)
消費税は、居住用物件は基本非課税で、ひと月以内の家賃がある場合のみかかります。(入退去時の端数の日数という意味ではなく最初からひと月以下の利用の場合)
また、事務所、倉庫などテナント、駐車場などの物件は消費税課税の対象になりますので、申告漏れに注意しましょう。
5-1.家賃収入を得ている人の職業名
家賃収入のある人は一般呼称では 大家さんと呼びますね。確定申告の記入例では 「不動産貸付業」。その他 「賃貸経営業」などと表記をします。
不労所得で左うちわというイメージを持たれがちながら、それなりに仕事はあるわけです。
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6.家賃収入で年収1000万稼ぐには?
家賃収入で生きる人として1000万円プレイヤーを目指す道としては、あくまで一つのひな型ではありますが、以下のような計算が例としてありえます。
家賃収入を年収1000万稼ぐまで
まず自己資金700万で、利回り10%・キャッシュフロー200万程度を確保できる2千万円程度の物件を1棟購入します。
5年目以降8年から10年ほどかけて順次借入を起こして5棟まで増やすことで、年収1000万に到達できます。その間空室や修繕のリスクに対応しながら、物件経営を維持してゆく必要があります。
この計算は キャッシュフロー200万というのがポイントになります。差引それだけ残せるか、賃料相場が高くない地域ではもう少し年数か自己資金の余裕が必要になりますね。
7.家賃収入を目指すのに向いている人
7-1.サラリーマンで副収入がほしい人
1棟買いなど大規模でなくとも、小規模の戸建てやワンルームマンションひと世帯などから始めて、副収入月額3万から5万というやり方からも可能です。勉強を兼ねて小規模から参入してみましょう。
7-2.資産を低リスクで上手に増やしたい人
手元にあるお金を増やすのには、前述のように高利回りで、リスクは比較的予測が利き、かつスカンピンになるということがありません。資産としては最悪火事を出してさえ、土地は残ります。
7-3.誰かの役に立ちたい人
入居者に喜んでもらえる環境やサービスを考えること、コロナ禍、不況、高齢化が進む中、賃貸物件を通じて困った人を受け入れたり、環境を整えてあげるなど、住居の提供を通じた社会貢献も可能です。
8.「家賃収入」のまとめ
以上、「家賃収入」というテーマでのお話をしました。家賃収入を得る方法、賃貸物件を所有してお金にするあらましなどは理解をいただけたでしょうか?
入居者の顔も知らない大家さんが大多数なのですが、お客さんがはっきりしていて向きあっている点、 投資よりも実業寄りなのが賃貸貸付です。業者に丸投げではなく、自分にできること、未来はどうなるか、絶えず考え行動することで結果が変わります。
自分の知恵工夫や努力が結果に実る家賃収入。ぜひご自分なりの方法をトライしてみてください。
- 家賃収入は物件を購入し、貸すことで得られる賃料。
- 賃貸するには税金や経費も掛かり、残りが所得となる。
- 家賃収入は一定規模以下では不労所得とみなされ、副業規定に抵触しない。
- 投資として考えれば高利回りで、リスクも見渡しやすい。
- 自分の努力で結果を左右する要素も大きい。