生活スタイルや所得層の分類として新しく聞かれる「パワーカップル」。どんな人たちで、どんな事情から生まれてくるのでしょう?
「パワーカップルとは何のこと?」
「どんな人たち?」
「メリットは?どうやったらなれる?」
「パワーカップルの落とし穴は?」
どんな家庭でも問題点はあり、周囲で似た者同士のマウントなども生じるのでしょうが、誰かに幸せな部分があるとするなら、参考にしてみたいですよね
今回は「パワーカップル」についてのお話をします。将来設計、ワークライフバランス、家づくりなど、ぜひ参考にしてください。
目次
1. パワーカップルとは?
1-1.パワーカップルの定義とは?
パワーカップルとは、諸説あるのですが、夫婦ともに正社員で管理職などの責任のある仕事についていて経済的に余裕があり、消費活動に強い関心を持つ夫婦です。年齢は 20代後半~40代前半頃の働き盛りの年齢層の夫婦を指すことが多いです。
年収は夫婦ともに700万円以上、最近では世帯年収1000万以上もさします。(ハードルが下がってきています) 世帯年収700万円以上のカップルは日本に1~2%、1000万以上でも12%程度と意外に少ないことを考え合わせると、収入面では勝ち組といえます。
パワーカップルを定義することの意味は、高額の不動産や金融商品の営業ターゲットです。「老後資金不足2000万円問題」が浮上してから、中高年家庭に代わってこれらの顧客をさす言葉として、ここ数年で普及してきた言葉ですね。
したがって年収のハードルが下がってきたのも、ターゲットを拡げるためというわけです。
1-2. パワーカップルはどんな人たち?
パワーカップルの職業として挙げられるのは、医師・弁護士などの士業、公務員、大企業、自営業です。これらの同じ、あるいは別々の職業に夫婦二人が該当するケースが多く、なかでも公務員は育休取得してもキャリアや年収にほとんど響かないので最強です。
貯蓄がそれほど多くなくともマンションなどの高額なローン審査が通りやすく、信用情報によほど悪い履歴がない限り、マンションや一戸建てを購入しやすいと言えます。
年収が高い分、生活水準や購買意欲が高くなり、貯金よりも消費が多い生活になってしまいがちなのですが、夫婦ともに責任のある仕事についている場合も多く、仕事が忙しく、家事や趣味、子育ての時間が足りないケースも多いです。
2.パワーカップルのメリット・デメリットは?
2-1.メリット
パワーカップルの最大のメリットとして、収入が2人からになると所得税他が大幅に下がるため、同じ年収1500万でも、ひとり収入+専業主婦の世帯よりも、手取りの所得がなんと年間で120万~150万円も多くなります。
以下は同じ世帯年収のパワーカップル世帯と専業主婦世帯の手取りの差をあらわした例です。
分類 | 税負担 | 社会保障費負担 | 手取り年収 |
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世帯年収1,500万 (夫800万・妻700万) | 世帯で約83万円 | 世帯で約226万円 | 世帯で約1,140万円 |
世帯年収1,500万 (夫1.500万・妻0万) | 世帯で約320万円 | 世帯で約161万円 | 世帯で約1,020万円 |
これがパワーカップルが「ずるい・羨ましい」といわれる理由です。しかしこれは「ずるい」というより「不公平」と表現するべきものでしょう。
専業主婦が不在な分でかかるコストもあるものの、この差を埋めるものではありません。
専業主婦の仕事の価値は、現代かなり軽視される傾向にありますが、家庭づくりに大事な役割を果たす点、定量化のできない部分に多くあります。それを国が単に「働いていない人」扱いのようにしていると言われても、仕方がないように思えます。
さておきその他のメリットですが、所得が多いので、趣味や育児によりコストをかけることができます。ただしその結果として、貯蓄は意外とできていない、という統計結果もあります。
2-2.デメリット
共働きで2人とも忙しく、一緒にいる時間が少ない中で、家事や育児の仕事や決め事、住まいの購入、お金や将来のことを話し合って進めていく必要があります。
スレ違いを防ぎながら、相手の立場に立ち、パートナーと協力しながら家庭を作り上げる努力は、意識しないとできません。「パワーカップルの家庭は壊れやすい」と意識してかかるのが良いのではないでしょうか。
また、将来を考えて、お金を乱雑に使わないよう注意することや、見栄などに動かされて高額な商品を買わないよう気を引き締める必要があります。
3. パワーカップルにはどうやったらなれる?【仕事・家庭・住環境】
これからパワーカップルを目指すのであれば、 「正社員か公務員就業」「共働きの意志確認」「夫婦ともにキャリアマップが明確であること」などを実現していくことが考えられます。
不動産や金融系の営業職なら、エリアやキャリアを問わず成績次第で収入を上げやすいでしょう。
でなければ時流を読んだ 自営業を立ち上げて頑張れば、収入面では有利となりますが、その場合金融系の属性を上げてゆくのが大変な面や、仕事に家業的な側面が出てきて公私が分けづらくなる点は、パワーカップルの方向性とは変わってきます。
また、可能ならば子育ての助けを得られる実家などの存在があると強いです。
4.パワーカップルの生の声
ブログやガールズちゃんねるなどに綴られたパワーカップル当事者の声では、「意外にお金がない」という点や、「マウント社会の実態」などを書いているものが多いです。中には「リア充」自慢もありますが。
20代共働き。総合商社男×大手IT企業女のパワーカップルのたまごの日常ブログ。手取り・貯蓄額も赤裸々に公開中!(パワーカップルのたまご。)
夫婦で仲良く資産形成の過程を記録するブログ(共働きパワーカップル@夫のブログ)
パワーカップル、身近にいますか?(ガールズちゃんねる)
5.パワーカップルが気をつけるべき落とし穴
パワーカップルが、おかれた立場から注意する点は、以下のような事が考えられます。
高額の住居や趣味 | 1000万~1400万円の収入があると、マウント競争も生じる関係で「ミエ」からタワマンなど高額ローンを組んだり、趣味につぎ込んで貯蓄がないなどは、きわめて危険。 |
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収入カーブの予測 | 2人共働きの収入はローンを払い終わるまで続くとは考えられない。サラリーマンの給与の下降、出産育児、定年が近づくと給与減額などは、当たり前となってきた。 |
住居の資産価値 | 買った住居の資産価値=貸したら、売ったらいくらになるかを考えておくこと。 |
貯蓄額の設定 | 貯蓄も無理目くらいのやり方がちょうどよい。 |
投資に対する考え | 投資などで老後に向けてお金を増やす努力は必須。 |
住居地に対する考え | ―趣味や子育ての充実と老後資金を両立させたいのなら、テレワークに乗じて郊外に移り住む。 住居費ほか生活物価が激変する上、マウント社会で生きなくとも良くなる。塾や私立に行かせるより、のんびりした土地で地頭を鍛える方が、子どもの学力も簡単に上がる。 |
6.「パワーカップル」についてのまとめ
以上、「パワーカップル」というテーマでのお話をしました。パワーカップルがどんなものか、その人生の今後などは、理解を頂けたでしょうか。
誰もが大変な中真剣に生きており、「うらやむような、ずるいと思うような」理想の暮らしがあるわけではないのですが、唯一、税や社会保障負担の差からくる所得格差は、見逃すことはできません。
専業主婦の立場を守り、シングルインカム世帯の持つ不公平感をなくすべきでは?という考え方もありますが、一方、独立開業を考える人は、奥さんに給料を出して、パワーカップルと同じ状況を作れば、月に10万くらい所得が増える!という見方になりますね。
先の見えないこれからの時代、収入の比較的多いパワーカップルも、油断することはできません。現在いきなり貧乏になる人の続出している高齢・団塊世代の状況に学びましょう!
- パワーカップルは年収1000万~1400万円の共働きカップルで、不動産や金融商品のターゲットとなっている。
- 共働きということで税制や社会保障負担で優遇され、可処分所得も多くなる。
- 子育てや貯蓄で大変な面もあり、かじ取りを誤るとお金が残らない可能性もあるので要注意。
- 今の収入状況が継続できるとは考えずに、将来への備えが大切。