土地の売却をご検討中ですか?
「今所有している土地を売却しようと思うけど、そもそもどういう手続きで売ったら良いかわからない」
「土地を売却する時には、どのようなお金がどれくらいかかるだろう」
など、土地を売却しようとしても基本的なところでわからないことが多いという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、土地の売買は大きなお金が動きますので、できるだけ高く売りたいというのが本音だと思います。
そこでこの記事では、土地売却の流れやポイント、土地売却にかかる諸費用など、土地を売却する上で絶対に知っておかなければならない基礎的な事項から、土地を高く売るための方法や古家付きの土地を売る際のポイント(取り壊して売るか、残して売るかなど)といった応用事項まで網羅的にまとめました。また、後半では宅地以外の土地(農地や山林)を売却する場合の注意点にも触れています。
この記事を読めば、土地売却の基礎がしっかり理解できるだけでなく、土地売却でしっかり利益を出すことができるようになること間違いなしです。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
1.土地売却の流れとポイント
土地売却の流れは以下のようになります。
①土地の相場を知る
②査定を依頼する
③媒介契約を締結する
④売却活動を開始する
⑤売買交渉
⑥売買契約締結
⑦土地の引き渡し
⑧確定申告
1-1.土地の相場を知る
まず、土地の価格相場を調べましょう。自分の土地がどれくらいの価値を持つかは、自分で計算することができます。
土地の価値については、全国地価マップで調べることができます。
この価格をもとに、下記の計算で積算価格を算出します。
土地の評価額=土地の価格×土地の面積(㎡)
より詳しい算出方法は、積算価格とは何か?計算方法から利用方法まで徹底解説にも記載がありますので、あわせて参考にしてみて下さい。
1-2.査定を依頼する
価格相場をざっと調べたら、不動産会社に自分が所有する土地の査定を依頼します。査定とは、自分の土地がいくらで売れそうか調査してもらうことです。
注意点は、必ず複数の不動産会社に査定を依頼することです。査定結果は不動産会社によって差が出る(場合によっては1,000万円近くも差が出る)ものですので、一つの査定結果だけで決定してはいけません。規模の大小関係なく様々な会社に依頼しましょう。
ちなみに、土地の価格を無料で一括査定してくれるサイトもあります。だいたいの価格が知りたい場合、こういったサイトを利用してみるのも有効です。
[参考サイト]
RE Guide
イエイ
スマイスター不動産売却
・査定結果の理由を聞いてみる
・過去の実績を聞いてみる
・具体的な販売戦略を聞いてみる
これらの質問に対し、素人にも分かるように、具体的かつ明確な回答をしてくれる業者は、「良い」業者だといえます。面倒くさがらずに業者の人としっかり話をし、自分がどの仲介業者に依頼するのか、慎重に選ぶようにしましょう。
売り出し前の価格の決定売り出し前の価格は、査定額をもとに設定します。この時、査定額より若干高めに設定することが多いです。理由は、実際には買主との価格交渉で値下げを要求されることが多いためです。これを見越してあらかじめ値下げ幅を上乗せして設定しておくのです。
1-3.媒介契約を締結する
売買手続きを依頼する不動産会社が決まったら、その不動産会社と媒介(仲介)契約を締結します。媒介(仲介)契約とは、不動産会社に土地売買の仲介を依頼する契約です。
3種類ある契約形態に関して、それぞれのメリット・デメリットをまとめると以下の表のようになります。
メリット | デメリット | |
専属専任媒介契約 | 仲介業者の積極的努力が期待できる | 売主の自由度低い |
専任媒介契約 | 仲介業者の積極的努力が期待できる(専属専任媒介ほどではない) | 売主の自由度低い(専属専任媒介ほどではない) |
一般媒介契約 | 売主の自由度高い | 上記2つほどは仲介業者の積極的努力が期待できない |
上の表をよく吟味し、自分に合った形の契約を選びましょう。
詳細は不動産仲介の役割とは!?きっと役立つ仲介業者の選び方の記事を確認してみてください。
1-4.売却活動を開始する
媒介契約を締結したら、売却活動を開始します。具体的には、不動産会社が以下のようなことを行います。
・チラシによる近隣への広告
・自社の顧客への紹介
・自社ネットワークやサイトや不動産情報誌への掲載
・REINS(レインズ)(不動産流通機構が運営する不動産情報のネットワークサービス)への公開
などです。
REINS(レインズ)とは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営するコンピューター・ネットワーク・システムです。会員登録した不動産会社が不動産情報を受け取ったり情報提供を行ったりするシステムになっています。
サイトリンク:REINS(レインズ)
一般の媒介契約だと自分でも広報活動を行うことがありますが、専任媒介契約だとこういった活動は不動産会社にお任せです。
1-5.売買交渉
売却活動の結果不動産会社へ購入希望者からの打診があると、売主に連絡が入ります。ここから、売買交渉が始まります。
大抵の場合、売り出し価格と購入希望価格との間には差があります。よって、交渉の中でどれだけ調整できるかがポイントになります。
ここで押さえておきたいのは、売り出し価格という「上限」を提示してしまっている以上、売買交渉は「値下げ」の方向にしか動かないということです。売り出し価格で売れるということは、よっぽど購入希望者がたくさん現れるという場合以外はほぼありえません。よって、事前に売買交渉を見越して慎重に売り出し価格を設定しておく必要があります。
1-6.売買契約締結
購入希望者との売買交渉が終了したら、売買契約を締結します。通常、契約の締結は売買契約書という書面で行います。多くの場合、不動産会社が契約書を作成し、売主と買主がそれぞれ署名押印する形になります。
売買契約書でチェックしておくべき事項をまとめると、以下のようになります。
・売買土地の表示
・売買代金、手付金(下で詳しく説明します)の金額
・所有権の移転と引渡し時期
・公租公課の清算
・ローン特約
・手付解除について(下で詳しく説明します)
・契約違反による解除について
・瑕疵担保責任(土地に問題があった場合の責任)について
売買契約が締結されると、買主から売主へ手付金が支払われます。手付金とは、万が一売買契約を解除するときの保証金のようなものです。買主から解約を申し出るときは売主に支払った手付金を放棄し、売主から解約を申し出るときは買主から受け取った手付金の倍額を返します。一般的には、手付金は売買価格の1割~2割程度にします。
1-7.土地の引き渡し
最後に、売主から買主へ土地の引渡しを行います。
引渡し手続きでは、売買代金の受領(決済)とともに、登記申請も行います。多くの場合、登記申請は司法書士に依頼します。
1-8.確定申告
土地売却で利益が出た場合、確定申告を行う必要があります。
確定申告については、不動産売却前に絶対に知っておきたい税金と確定申告まとめに詳しく記載がありますので、あわせて参考にしてください。
2.土地売却にかかる諸費用
ここからは、土地売却にかかる諸費用について解説していきます。
2-1.不動産仲介手数料
不動産仲介手数料とは、土地売買の仲介業者(不動産会社)に支払う成功報酬を指します。
個人が土地を売却する場合、土地の査定や土地の宣伝などは仲介業者に依頼するのが一般的ですが、その時にかかる手数料が不動産仲介手数料なのです。
不動産仲介手数料の金額には、扱う不動産の金額に応じて国が上限を定めています。
不動産仲介手数料について詳しく知りたい方は、無料にもできる?不動産売却時にかかる仲介手数料の仕組みを解説に詳しい記載がありますので、あわせて参考にしてください。
2-2.税金
不動産売却時にかかる税金は、以下の3つです。
(1)印紙税
(2)譲渡所得税・住民税
(3)抵当権抹消登記の登録免許税(抵当権設定した場合)
2-2-1.印紙税
印紙税は売買契約書に貼付する印紙を購入する際かかるものです。この額は、売買契約書に記載する土地の金額に応じて下記のように定められています。
契約書記載金額 | 印紙税額 | |
契約書作成時期が H9.4.1~H26.3.31 | 契約書作成時期が H26.4.1~H30.3.31 | |
1万円未満 | 非課税 | |
10万円以下 | 200円 | |
10万円を超え 50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え 1000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1000万円を超え 5000万円以下 | 1万5千円 | 1万円 |
5000万円を超え 1億円以下 | 4万5千円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 8万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下 | 18万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下 | 36万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 54万円 | 48万円 |
契約金額の記載がないもの | 200円 |
2-2-2.譲渡所得税・住民税
不動産を売却することで利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して所得税と住民税がかかります。これらを、譲渡所得税・住民税と呼びます。
譲渡所得税・住民税の計算は下記のようになります。
譲渡所得=不動産の売却価格-(不動産の購入価格+購入時の諸費用+売却時の諸費用)
譲渡所得税額=譲渡所得×税率
計算の中の「税率」は不動産の所有期間によって以下のように変わります。
期間区分 | 長期譲渡所得 (5年を超える) | 短期譲渡所得 (5年以下) |
税率計算式 | 譲渡所得×20% (所得税15%+住民税5%) | 譲渡所得×39% (所得税30%+住民税9%) |
2-2-3.抵当権抹消登記の登録免許税(抵当権設定した場合)
売却する不動産の登記に「抵当権」が設定されている場合、それを抹消するために抵当権抹消登記の登録免許税というものがかかります。これは不動産1つにつき1000円です。
不動産売却時にかかる税金については、不動産売却前に絶対に知っておきたい税金と確定申告まとめに詳しく記載がありますので、あわせて参考にしてください。
3.様々な土地の売却について
ここからは、具体的な様々なパターンの土地売却について解説していきます。
3-1.古家つきの土地を売却する場合
売却しようとする土地の上に築20年以上の一戸建てがある場合、この古家を土地と一緒に売るか古家を壊して土地を更地にして売るか迷うことがあるでしょう。一戸建ての場合、築20年以上になると建物の売却価値はほとんど評価されないので、あったほうが良いのかない方が良いのかよくわからないからです。
この点については、買主(購入希望者)のニーズによるということになります。
以下、「買主の側から考えた」古家つきの土地を購入するメリットとデメリットについてそれぞれご紹介します。
3-1-1.古家つきの土地を購入するメリット
①リフォームして活用することができる
築年数が経った古家でも、リフォームすれば新築物件同様の状態にすることができます。リフォーム費用は建築費用より安く済みます。よって、古家つきの物件を購入すれば、普通に土地を購入してそこに新築物件を建てるより安くマイホームを手に入れることができるのです。
②建物のイメージがつきやすい
古屋を取り壊して新しい建物を建てるにしても、古家つきの土地を購入すれば新しく建物を立てるときの日当たりや間取りのイメージがつきやすいです。設計図などの書面だけではわかりにくい部分のイメージがつかめるのは買主にとっては助かります。
③住宅ローンが利用しやすい
更地を購入してからそこに新築物件を建てる場合、住宅ローンの利用が少し複雑になります。土地を購入する際に一回決済手続きをし、住宅ができた際にもう一度決済手続きをする必要があるのです。2回も決済手続きをしなければならず面倒です。
一方、古家つきの土地を購入する場合、すでに建物がありますので住宅ローンの決済手続きは一度で済みます。決済したあとに古家をリフォームするか取り壊して新築物件を建てるか決めても良いのです。
3-1-2.古家つきの土地を購入するデメリット
古家つきの土地を購入するデメリットは、解体費用がかかるということです。
解体費用がどれくらいかかるかは建物の構造や広さ、地域によって異なります。例えば、東京の木造建物を解体する場合の坪単価の相場は、おおよそ4万円前後になります。
解体費用について買主が負担する代わりに、売買価格からその分を値引いてくれという交渉をされることもあります。よって、土地の上に古家がある場合、このあたりのことも考えて売り出し価格を設定するようにしましょう。
3-2.相続で取得した土地を売却する場合
相続で取得した土地を売却する際に注意が必要なのは、相続登記の手続きを事前にしっかり済ますことです。
相続登記のやり方・手続きについては、不動産の名義変更について完全網羅 | 流れ・必要書類・費用などに詳しい解説がありますので、あわせて参考にしてください。
3-3.農地を売却する場合
農地を売却する場合に注意すべきなのは、許可を受けなければ販売してはいけないという点です。具体的には、農地を農家に売却する場合は地域の農業委員会で売買許可が、農地を転用して農家以外に売却する場合は農業委員会の転用許可が必須になります。
許可を受けずにされた農地の売買行為は無効になってしまいます。なぜなら、農地は「食料の自給」という大きな目的を持つことから、法律で売買が制限されているのです。
農地売却時の注意点については、農林水産省のHPに詳しく記載がありますので、あわせて参考にしてください。
3-4.山林を売却する場合
山林を売却する場合に注意すべきなのは、樹木と土地が別々に取り扱われ、価値も別々につけられるという点です。確定申告についても土地と樹木で分けて考えます。
山林を取り扱っている不動産会社は少ないため、仲介は山林の専門業者に依頼する場合が多いです。
4.まとめ
土地の売却について書きましたが、いかがでしたか。
この記事が、土地の売却を考えるすべての方の参考になれば幸いです。