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不動産投資用語集

不動産投資における「デッドクロス」の仕組みと回避法を詳しく解説!

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デッドクロス

こんにちは!「イエベスト」の管理人、松崎 サブローです!

「デッドクロス」を知っていますか?

不動産投資をしている方の中で、「デッドクロス」という言葉を耳にしたことがある方がいるかもしれません。ただ、実際「デッドクロス」がどんなものなのか、しっかり理解できている方は少ないのではないでしょうか。

実は、不動産投資で「デッドクロス」に陥ってしまうと、支払わなければいけなくなる税金額が大きくなり、最悪の場合は不動産投資が立ち行かなくなってしまうこともあるのです

デッドクロスは不動産投資においてそれほど重要な問題です。不動産投資をする人にとって、「デッドクロス」というのは絶対に知っておかなければいけない知識なのです。


ススメ先生、デッドクロスとは一体なんでしょうか?


デッドクロスは簡単いいうと、減価償却費用がローンの元金返済額を上回ってしまう現象のことじゃ。この結果として、不動産投資におけるキャッシュフローが赤字になってしまう可能性があるから、非常に重要な押さえておくべき知識じゃ。


それはかなり大きなリスクですね・・・!


デッドクロスは少し難しい知識のため、理解している人も少ないじゃろうから、その仕組みと回避する方法について詳しく学んでいくぞ。


 


 

この記事では、デッドクロスが起きる仕組み、デッドクロスを避けるにはどうしたらいいのか、もしデッドクロスに陥ってしまった場合どうやって対処したらいいのかなど、デッドクロスについて徹底的に解説します。

この記事をよめば、デッドクロスについて理解を深め、今後不動産投資をする上でデッドクロスにどのように対処にていけばいいのかがはっきり分かるようになるでしょう。

1.不動産投資の落とし穴「デッドクロス」とは?

不動産投資の落とし穴「デッドクロス」とは?

まず、不動産投資における「デッドクロス」とはどういう状態のことを指すかという点について解説します。

不動産投資における「デッドクロス」とは、「ローンの元金返済」が「減価償却費」を上回ってしまい、ローン返済と税金負担で支出が大きくなってしまうことをいいます。

こう言われてもピンと来ないと思いますので、以下デッドクロスが起こる仕組みを、順を追って詳しく解説していきたいと思います。

2.デッドクロスが起こる仕組み

デッドクロスが起こる仕組み

ここから、以下の順番でデッドクロスが起こる仕組みを解説していきます。

①不動産投資の仕組み
②不動産投資の「必要経費」とは?
③実際に現金支出はないのに必要経費に計上できる「減価償却費」
④実際に現金支出があるのに必要経費に計上できない「ローンの元金返済」
⑤デッドクロスの発生

2-1.不動産投資の仕組み

まず、不動産投資の仕組みについて解説します。

一般的な不動産投資では、物件を購入し、それを第三者に賃貸することで、毎月安定した家賃収入を得ます。多くの場合、物件は銀行からのローンで購入し、家賃収入の中からローンを返済していきます。毎月の家賃収入の中から①ローン返済②その他支出を引いたものが利益になるのです。図で表すと、以下のようになります。

○不動産投資の利益不動産投資の利益=家賃収入-(ローン返済+その他支出)

不動産投資の仕組み図

2-2.不動産投資の「必要経費」とは?

続いて、不動産投資の「必要経費」について説明します。

不動産投資をする中で負担した支出について、いくつかのものは確定申告で「必要経費」として計上することができます。

確定申告で「必要経費」として計上することができるとは、節税をすることができるという意味です。以下、その仕組みを説明します。

不動産投資で家賃収入(不動産所得)を得た場合、その利益には税金がかかります。不動産所得とそれにかかる税金(所得税)の計算は、以下のようになります。

○不動産所得とそれにかかる税金(所得税)の計算・不動産所得に関する所得税=不動産所得×所得税率
不動産所得=総収入金額(家賃収入)-必要経費つまり、
「必要経費」が増える⇒「不動産所得」が減る
「不動産所得」が減る⇒「不動産所得に関する所得税」が減る

上記2つの式から、「必要経費」が多いほど「不動産所得」が小さくなり、「不動産所得」が小さいほど「不動産所得に関する所得税」も小さくなることがわかります。つまり、必要経費が多いほど、節税になるのです。

「必要経費」が「総収入金額」を上回った場合、不動産所得は赤字になります。このとき、赤字になった分だけ不動産所得以外の所得(サラリーマンであれば給与所得)にかかる所得税を節税することができます(この仕組みを「損益通算」と呼びます)。

例えば、独身で年収が800万円あるサラリーマンが、不動産投資で200万円の赤字を出した場合、かかる税金は以下のようになります。

損益通算による節税例

この辺りの節税の仕組みについては、不動産投資と税金の全て|節税対策や計算方法について徹底解説!でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

でも、「節税になったとしても、不動産投資が赤字になっては意味がないのでは?」と思いますよね。そこで効いてくるのが「減価償却費」です。以下、「減価償却費」の仕組みについて解説します。

2-3.実際に現金支出はないのに必要経費に計上できる「減価償却費」

ここからは「減価償却費」について説明していきます。「減価償却費」について持っておいて欲しいイメージは、「実際の支出はないのに確定申告の帳面上は支出があるように見える」ということです。

減価償却費とは、「建物が年々劣化していくだろう」という建前で、実際の支出とは関係なく不動産投資の「必要経費」として計算する仕組みです。

実際の支出の有無に関わらず、建物が劣化して価値が下るだろうという分の金額を「必要経費」として計算できるわけです。イメージ図は以下のようになります。

定額法による減価償却費のイメージ

上の図の赤い部分はあくまで「建前」であり、確定申告上は支出があったものとするけれど実際に現金の支出があるわけではありません。

つまり、「減価償却費」によって、実際にお金の支出がないのに「支出があった」ということになり、節税ができるというわけです。

「必要経費」が「不動産所得」を上回ることで、表面上は赤字に見えますが、「必要経費」の中には実際の現金支出のない「減価償却費」というものが含まれるため、実際の支出入としては赤字ではない、ということがありえるのです。

減価償却費の仕組みについては、不動産投資の必須知識!マンション減価償却費の計算方法と利用方法でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2-4.実際に現金支出があるのに必要経費に計上できない「ローンの元金返済」

続いて、「ローンの元金返済」について説明します。「ローンの元金返済」について持っておいて欲しいイメージは、「実際の支出があるのに確定申告の帳面上は支出がないように見える」ということです。

不動産投資で不動産を購入する時、一般的にはローンで融資を受けて購入します。受けた融資は、不動産投資で得た家賃収入の中から毎月返済していきます。ローンの返済には、「元金」(融資を受けた額)と「利息」があります。このうち、「元金」の返済に関しては、「必要経費」として計上することはできません

つまり、「ローンの元金返済」は、実際の現金支出があるにも関わらず、確定申告の「必要経費」として計上できないので節税にも繋がらない、というわけです。

○デッドクロスが問題になるのは「元利均等返済」ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがあります。

元利均等返済とは、毎月元金と利息の合計が均等になる額を返済する方法です。一方、元金均等返済とは、元金を返済期間で均等に割った額に利息を足した額を毎月返済する方法です。両者のイメージは以下の通りです。

元利均等返済と元金均等返済

このうち、デッドクロスが問題になるのは「元利均等返済」の方です。
ローン返済の仕組みについては、不動産投資ローンを利用して融資を受けるための全知識でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

2-5.デッドクロスの発生

「減価償却費」と「ローンの元金返済」をまとめると、以下のようになります。

○「減価償却費」と「ローンの元金返済」・減価償却費:実際の支出はないのに確定申告の帳面上は支出があるように見える
・ローンの元金返済:実際の支出があるのに確定申告の帳面上は支出がないように見える

以上から、「ローンの元金返済」でかかる支出を「減価償却費」でカバーできていれば、実際にお金が出て行く分を節税できることが分かります。

ところが、「減価償却費」として計上できる額は、年々減少します。一方、「元利均等返済」を選択した場合、「ローンの元金返済」の割合は年々上がって行きます。

すると、「ローンの元金返済」が「減価償却費」を上回ってしまうという現象が起きるのです。

すると、①確定申告上「必要経費」として計上できる分が減るため税金負担が増える上に、②実際のお金の支出も増える、というダブルパンチで負担が大きくなってしまいます。これがデッドクロスです。

デッドクロス

3.デッドクロスの対処法

デッドクロスの対処法

ここからは、デッドクロスの対処法をご紹介していきます。

3-1.デッドクロスが起きないようにするための対策

まず、そもそもデッドクロスが起きないようにするための対策をご紹介します。

①自己資金の投入を増やす
②「元金均等返済」を選択する
③古すぎる中古不動産の購入を避ける
④綿密なシミュレーションを行う

3-1-1.自己資金の投入を増やす

1つめは、不動産を購入するときの自己資金の投入を増やすことです。

不動産を購入する時、そもそも自己資金を多めに投入して融資額を減らせば、その分返済額も減りますので、デッドクロスが起きるリスクを減らすことができます。

3-1-2.「元金均等返済」を選択する

2つめは、ローン返済方法として「元金均等返済」を選択することです。

復習ですが、ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2つがありま
す。

元利均等返済とは、毎月元金と利息の合計が均等になる額を返済する方法です。

一方、元金均等返済とは、元金を返済期間で均等に割った額に利息を足した額を毎月返済する方法です。両者のイメージは以下の通りです。

元利均等返済と元金均等返済

デッドクロス発生の原因の1つに、年数が経つごとに「必要経費」として計上できるローンの利息返済が減少し、「必要経費」として計上できないローンの元金返済が増えることがあります。

上の図からもわかる通り、「元金均等返済」を選択することで、返済期間中の元金返済を平準化することができます。すると、元金返済が増えるのを抑えることができるのです。

3-1-3.古すぎる中古不動産の購入を避ける

3つめは、古すぎる中古不動産の購入を避けることです。

中古物件は新築物件と比較して築年数が経過している分、減価償却できる期間も短くなります。

そのため、減価償却がなくなるまでの期間が短い分、デッドクロスに陥るまでの期間も短いです。古すぎる中古物件の購入は避けましょう。

3-1-4.綿密なシミュレーションを行う

4つめは、綿密なシミュレーションを行うことです。

減価償却費もローン返済額も、事前にどれくらいかかるかを計算してシミュレーションすることができます。

つまり、綿密なシミュレーションを行っておけばデッドクロスがいつ起こるかを予測することができます。

シミュレーションにあたっては、以下2つの記事を参考にしてください。それぞれの記事を読めば「減価償却費」と「ローンの元金返済」が計算できるようになっています。

○「減価償却費」の計算をしたいとき
不動産投資の必須知識!マンション減価償却費の計算方法と利用方法

○「ローンの元金返済」の計算をしたいとき
不動産投資ローンを利用して融資を受けるための全知識

3-2.デッドクロスに陥ってしまった場合の対処法

続いて、デッドクロスに陥ってしまった場合の対処法について説明します。

デッドクロスから脱するには、減価償却とローン返済のコントロールが必要です。以下、それらの観点から対処法を考えます。

①ローンの借入期間を延長する
②繰り上げ返済を実施する
③新しく不動産を購入する、または買い換える
④利回りを上げる

3-2-1.ローンの借入期間を延長する

1つめは、ローンの借入期間を延長することです。方法としては、ローンの借り換えを行います。

借入期間を延長することで、月々のローン返済額を軽減させることができます。

3-2-2.繰り上げ返済を実施する

2つめは、繰り上げ返済を実施することです。

預貯金に余裕がある場合、繰り上げ返済をすることで以後のローン返済負担を減らすことができます。

3-2-3.新しく不動産を購入する、または買い換える

3つめは、新しく不動産を購入する(買い換える)ことです。

いま所有している不動産は売却して現金化してしまい、新しい物件を購入すれば、また減価償却費を計上することができます。

3-2-4.利回りを上げる

4つめは、利回りを上げることです。

「利回り」とは、投資した金額(投資額)に対して収益額(リターン)がどれくらいあるかを測る指標のことです。

デッドクロスは不動産投資で手元にたくさんお金を残せば避けられます。つまり、利回り(不動産投資によるリターン)を上げればデッドクロスは避けられるのです。

利回りを上げる方法や高利回り物件の探し方は、不動産投資の利回りとは?計算方法から注意点まで徹底解説します!で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

4.不動産投資における「デッドクロス」のまとめ

今回は不動産投資における「デッドクロス」についてみてきましたがいかがでしたか?

デッドクロスを避ける方法、デッドクロスになってしまった場合の対処法をまとめると、以下のようになります。

○デッドクロスを避ける方法
①自己資金の投入を増やす
②「元金均等返済」を選択する
③古すぎる中古不動産の購入を避ける
④綿密なシミュレーションを行う○デッドクロスになってしまった場合の対処法
①ローンの借入期間を延長する
②繰り上げ返済を実施する
③新しく不動産を購入する、または買い換える
④利回りを上げる

この記事が、不動産投資をする全ての方の参考になれば幸いです。

  • この記事を書いた人
松崎サブロー

松崎サブロー

イエベストの編集長です。宅地建物取引士。不動産会社では不動産投資、不動産売却、不動産賃貸、不動産管理など幅広く担当。 不動産に関わる難しい知識を初心者にもわかりやすい正しい情報として提供することを心がけています。

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