不動産投資の世界でも、クラウドファンディングを活用して資産を増やす人がいます。
クラウドファンディングに挑戦したいものの、仕組みや概要が分からずに躊躇っている人もいるはず。
この記事では、不動産投資におけるクラウドファンディングの概要や仕組みを解説しつつ、クラウドファンディングサービスを展開している企業の紹介をします。
目次
1.不動産クラウドファンディングの概要・仕組みは?
不動産のクラウドファンディングとは、不動産の運用に関係する資金をインターネット上で集めることができるサービスのことです。国土交通省では、空き物件の活用を促進する方法として紹介しています。
特徴は、不特定多数の投資家に向けて出資者を募れることです。インターネット上で募集をかけるシステムになっているため、全国各地の人にプロジェクトの告知ができます。
なお、出資者には発生した収入に応じて配当金が分配されます。
クラウドファンディングの参加から収益を得るまでの、大まかな流れは下記の通りです。
- 1.不動産のクラウドファンディングを実施しているホームページを開く
- 2.気になるプロジェクトを選んで出資する
- 3.出資金額や予定利回り率に応じて収益を得られる
プロジェクトの対象となる物件はマンションだけではなくオフィスビルやホテル、商業施設などあらゆる種類の建物が対象となっています。プロジェクトのなかにはクラウドファンディングで集めた資金で古民家をリノベーションし、投資物件として運用するパターンもあります。
1-1.出資金はいくらから?
出資金は1万円からの場合が多いです。2019年には最低出資金額が1円から設定されているサービスも誕生しています。
1-2.不動産のクラウドファンディングに参加する方法
不動産のクラウドファンディングに参加する時の流れは下記の通りです(サイトによって多少異なります)。
- 1.不動産のクラウドファンディングを扱っているサイト内で申込む(会員登録)
- 2.申込時に入力した住所に、登録(審査)完了のハガキが届く
- 3.ハガキを受け取ったら、指定された口座(投資専用口座)に投資金を入金する
- 4.サイト内で気に入った投資案件を選択し、投資を申し込む
- 5.不動産の運用が始まり、出資金額や運用実績によって収益が振り込まれる
クラウドファンディングを運用しているサイトによっては、申込者を審査で落とす場合もあるためご注意ください。
2.不動産のクラウドファンディングの特徴
ここでは、不動産のクラウドファンディングの特徴を見てみましょう。
2-1.不動産を管理する手間がほとんどない
クラウドファンディングを活用した不動産投資では、出資者が不動産を管理する手間はほぼありません。立ち上げ者(出資を募った人)側で管理するのが一般的です。自身で不動産を管理することが苦手な人にも、おすすめの投資方法といえます。
2-2.出資額が小さい
小さな出資額で投資に参加できるのも特徴です。前述で述べた通り、最低出資金額が1万円になっているプロジェクトもあります。しかし出資額が少なくなるほど低リターンとなることも忘れてはいけません。実際に、出資額によってどのくらい配当額が変わるか見てみましょう。
~例.予定利回り率が年間4%の物件に投資した場合の年間の配当金~
パターン1.出資金1万円
→1万円×4%=400円
パターン2.出資金100万円
→100万円×4%=4万円
極端な話、出資額の差が100倍だと配当額の差も100倍になります。年間の配当額を増やしたい人は、無理のない程度で出資額を増やすとよいでしょう。
2-3.家賃収入の一部が入ってくる
クラウドファンディングでは、主に家賃収入の一部が配当として入ります。仮に入居者が埋まらず分配金が減ったとしても、出資金額が少なければ損失額も小さいです。
3.他の投資方法と比べてみよう(不動産クラウドファンディングと比較)
クラウドファンディングの他に、さまざまな不動産投資の手段があります。ここでは、他の不動産投資手段と比較しながら、クラウドファンディングの強み(メリット)や弱み(デメリット)について紹介します。
3-1.丸々一部屋(一棟)買い
丸々一部屋買う時と比べた時の強みは初期費用の安さです。不動産を丸々買う時は仲介手数料や印紙税などを支払わなければなりませんが、クラウドファンディングの場合は初期費用がほとんど発生しません。少額投資ができる分、高級物件の投資にも関われるチャンスもあります。解約時も自身で不動産を売却する作業が発生しないためラクです。
しかし、出資の割合が少ない分リターンは小さいです。1つの不動産に対して複数人で出資している状態ですのであプロジェクトのみでの高収入は期待できません。また、自分好みの内装にアレンジできないのもクラウドファンディングの弱みといえるでしょう。
●(丸々一部屋買う時と比較した場合の)強み | ●(丸々一部屋買う時と比較した場合の)弱み |
初期費用が安い | 建物を自由に改造できない |
リターンが少ない | 解約が自由にできる |
高級物件の投資に関われるチャンスがある |
3-2.REIT
REITは別名「不動産投資信託」と呼ばれている投資方法で、証券会社で金融証券を買って投資を行うイメージです。REITと比べた時の強みは出資物件を自分で選んだうえで投資できることです。REITの場合は、投資信託と呼ばれる金融商品に対して出資する形になるため、出資金がどの物件の資金に使われるか分かりません。
一方クラウドファンディングの場合は各プロジェクトで投資物件が明確にされているため、自身が気に入った物件にのみ出資金を使ってもらうことが可能です。最低投資金額においても、REITより安く設定されている案件が多いため自己資金が少なくても投資しやすいといえます。
しかし、クラウドファンディングでは損失が発生した時のカバーが難しいです。プロジェクトでは出資対象となる不動産が決まっているため、他の不動産で得た収益で損失を補うことはありません。
たいしてREITの場合は、出資者から集めた資金を複数の投資物件に回しています。つまり損失が発生している不動産があったとしても他の不動産で収益が発生していれば損失をカバーできるためリスクヘッジの面で優れているといえるのです。
さらに、出資金を手軽に返金してもらえる面でもクラウドファンディングは劣っています。REITは証券取引所で売買されている投資信託です。証券取引所で取引が行われている時間帯であれば原則、証券を売却できるため出資金を取り戻しやすい取引といえます。
一方、クラウドファンディングでは出資を辞めたいと思った時に出資金を取り戻せないことがあります。プロジェクト期間が終了するまで返金に応じなかったり、詐欺目的でプロジェクトを立ち上げて出資金を持ち逃げされたりする例があるからです。そのため、クラウドファンディングのプロジェクトは慎重に選びましょう。
●(REITと比較した場合の)強み | ●(REITと比較した場合の)弱み |
最低投資金額が安い | 出資金の投資先物件が明確にされている |
損失が発生した時のカバーが難しい | 出資金を返金してもらうのが難しい |
3-3.不動産小口化商品
不動産小口化商品とは、1棟のマンションを小口化して複数の投資家に販売する商品のことです。たとえば1棟1億円のマンションであれば、100分割にして一口100万円で投資家に販売するイメージです。
不動産小口化商品と比較した時の強みは、一口あたりの単価が安いことです。クラウドファンディングでは一口あたり1万円で出資できるパターンが多いですが、不動産小口化商品では一口あたり100万円以上かかる商品が多いです。
さらに(任意組合型の)不動産小口化商品を購入すると登記に関する費用や手間が発生しますが、クラウドファンディングでは登記をする必要はありません。よって、クラウドファンディングの方が初期費用も安く済みます。
しかし、クラウドファンディングでは出資をしても不動産のオーナーにはなれません。(任意組合型の)不動産小口化商品を購入した場合は少額出資でも不動産のオーナーとして登録されますが、クラウドファンディングでの出資では不可能です。そのため相続対策をしたい人は、不動産小口化商品への出資がよいといえます。
●(不動産小口化商品と比較した場合の)強み | ●(不動産小口化商品と比較した場合の)弱み |
最低投資金額が安い | 登記による費用や手間がかからない |
不動産オーナーになれない | 相続税対策に役立たない |
※不動産小口化商品に関してより詳しく知りたい方は「不動産小口化商品とは?メリット・REITとの違い・取扱業者を紹介!」も御覧ください。
4.不動産クラウドファンディングを行う時の注意点
クラウドファンディングを活用して不動産投資を行う時の注意点を紹介します。
4-1.プロジェクトや会社によってルールが違う
必要最低投資金額や手数料は、プロジェクトやクラウドファンディングを展開している会社によって異なります。前述では1万円から投資できるプロジェクトがあると話しましたが、なかには最低投資金額を10万円に設定しているプロジェクトもあります。全てのプロジェクトに1万円から参加できるわけではないためご注意ください。
4-2.好きなタイミングで売却できない
不動産を売却したいと思っても、自身のみの意向で売却を決めることはできません。不動産の売却決定権は、あくまでプロジェクトを運用している事業者側にあります。
5.不動産のクラウドファンディングを取り扱っている企業を紹介!
有名な不動産クラウドファンディングには以下のようなサービスがあります。
5-1.CREAL(クリアル)
「CREAL(クリアル)」は、2019年6月期時点で、累計調達額15億円を突破し、配当金総額も2,000万円を超え、いま最も注目されている不動産クラウドファンディングサービスの一つです。
※CREAL(クリアル)についてより詳しく知りたい方は「CREAL(クリアル)の評判は?注目の不動産投資クラウドファンディングを紹介」の記事もご覧ください。
5-2.OwnersBook(オーナーズブック)
OwnersBook(オーナーズブック)は、マザーズ上場企業であるロードスターキャピタル株式会社により運営されている不動産投資型クラウドファンディングです。
2014年9月にサービス開始され、投資実行済案件総額は、約122億円を超えています。(※2019年7月23日時点)
※OwnersBook(オーナーズブック)についてより詳しく知りたい方は「OwnersBook(オーナーズブック)の評判は?上場企業が運営」の記事もご覧ください。
5-3.FANTAS funding
FANTAS fundingは、ファンタステクノロジー株式会社により運営されている不動産投資型クラウドファンディングです。
運用期間は、100日から1年の短い期間になっており、運用期間終了後、元金と一緒に配当金が受け取とることができます。
※運営会社であるファンタステクノロジー株式会社についてより詳しく知りたい方は「ファンタステクノロジーの評判・口コミ|1万円から始める不動産投資」もご覧ください。
5-4.i-Bond(アイボンド)
i-Bondは、「お金 第3の置き場」をコンセプトとして、低リスクで投資が可能な不動産投資型クラウドファンディングです。
東証JASDAQスタンダードに上場している株式会社マリオンによって2019年6月から運営されています。
※このサービスについて、より詳しく知りたい方は「i-Bond(アイボンド)の評判・口コミ|お金の第3の置き場とは?特徴は?」もご覧ください。
6.不動産クラウドファンディングのまとめ
最低投資金額が1,2万円からの案件も多いため、少額投資を行いたい人にピッタリな方法といえるでしょう。
国でもクラウドファンディングによる不動産活用は注目されています。
不動産投資に興味を持った人は、少額投資できるクラウドファンディングを利用してみてください。